最近、秋津食堂のオファーが増えて、1月から4月の間、制作兼任も含めたら、10公演に関わることに。
お家のご飯もそうだけど、やはり一汁三菜は欲しい。
うちは貧乏だったので、父がいない平日の食事は本当に寂しかった。
すいとんとか、おじやとか、おうどんとか。
もちろん多少の副菜もあったけれど、平日に倹約した分、父が帰ってくる週末はたくさんの料理が並んだ。
お客様がよく来る家で、そんな日もどこからか食材を調達してきて振る舞う。
そんな時の母はまるで魔法使いに見えたものだ。
たぶん、私もその遺伝子を受け継いでいて、美味しい顔を見たら幸せに思える。
毎回、自分が本番中だったらと考える。
役者の秋津ねをはあまり食べないタイプなので、そういう時に身体が何を欲しているかを経験上知っている。
温かいものだったり、野菜だったり。
もちろん、人それぞれだけど、基本的なことは変わらない。
食いしん坊の私は、その時に食べたいものを作るので、あらかじめメニューが決まっていないし、
あれもこれも食べたいので、自然に品数が増えていく。
今回の現場は、主宰の方に、たまたま冗談で言った事からお話が来たので、初めての方が多い。
嬉しかったのは、何回か現場で一緒になっているスタッフさんが
「炊き出しのイメージが変わった」
と言ってくれたこと。
初めて現場が一緒の役者さんに
「食べる事って大切なんだなぁと50歳にしてわかったよ」
と言ってもらえたこと。
「今回喉の調子が悪かったのに、ご飯のおかげで良くなって来ました!」
と報告されたこと。
いつもは食べない役者さんがもりもり食べていること。
毎回毎回嬉しい言葉をかけて頂いたり、本当に嬉しそうな顔を見ていると、ただ好きにやっているだけなのになーと思いつつ、
もっともっと喜んで欲しいと、どんどん貪欲になってしまうのです。
予算がなくても、少しの工夫と手間でなんとかなる、その工夫が新しいメニューを生んでいきます。
なので、うちの相方は食べたことのないメニューが結構あります。
しかも炊き出し期間中は家になんの食材もなく、一緒にご飯を食べることがないので
その間、家族をないがしろにしているわけです(笑)
家庭を顧みず、他の人の幸せな笑顔を見たい欲求の強さは、人としてちょっとどうかと思うけれど。
家族じゃなくても、ご飯の趣味が合う人は本当に貴重。
そしてやっぱり、ご飯のチカラは偉大だ、と思う。
今回は終演後お客様と一緒に劇場で飲んでいるので、その料理も担当中。
もし良かったら観に来てくださいね。
工藤俊作プロデュースKUTO-10「楽園!」
こまばアゴラ劇場にて、日曜日までやってます。
メニュー覚え書き
チキンカレー、菊菜サラダ、大根とリンゴのさっぱり和え、肉じゃが、鰆とお餅の野菜あんかけ、ポトフ、大根と挽肉の味噌煮
もやしの和えもの3種、切り干しときゅうりのポン酢和え、里芋煮、鶏大根、さつまいもと挽肉の煮物、鶏ハムサラダ、白菜おかか
さつまいものサラダ、肉豆腐、鶏唐、おふ入り親子丼、わんたん、餃子、きしめん、オムそば、煮込みハンバーグ・・・