レポート 新しい不登校対策「COCOLOプラン」の批判的検討 No3
3.「COCOLOプラン」の概要
では、「COCOLOプラン」とは、いったいどのようなものか。2023(令和5)年3月31日に文科省が出した通知「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策について」には、「目指す姿」として次のようにまとめている
1.不登校の児童生徒全ての学びの場を確保し、学びたいと思った時に学べる環境を整えま
す。
✓一人ひとりのニーズに応じた学びの場が確保されている
・不登校特例校、校内教育支援センター(スペシャルサポートルーム)・教育支援センター等、こども
家庭庁と連携し多様な学びの場、居場所を確保
✓学校に来られなくてもオンライン等で授業や支援につながることができる
✓学校に戻りたいと思った時にクラスを変えたり、転校したりするなど本人や保護者の
希望に沿った丁寧な対応がされている
2.心の小さなSOSを見逃さず、「チーム学校」で支援します。
✓1人1台端末で小さな声が可視化され、心の不安や生活リズムの乱れに教師が確実に
気付くことができる
✓小さなSOSに「チーム学校」で素早く支援することにより、早期に最適な支援につな
げられている
✓教育と福祉が連携し、子供や保護者が必要な時に支援が行われる
・子ども家庭庁と連携し自治体の教育部局と福祉部局等の連携・協働を強化
3.学校の風土の「見える化」を通して、
学校を「みんなが安心して学べる」場所にします。
✓それぞれの良さや持ち味を生かした主体的な学びがあり、みんなが活躍できる機会や
出番がある
✓トラブルが起きても学校はしっかり対応してくれる安心感がある
✓公平で納得できる決まりやルールがみんなに守られている
✓障害や国籍言語等の違いに関わらず、色々な個性や意見を認め合う雰囲気がある
具体的には、
〇「学びの多様化学校(不登校特例校)」の増設
〇校内教育支援センター(スペシャルサポートルーム等)、教育支援センター等の強化
〇一人台端末の利用
〇「チーム学校」(教師・スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー・養護教諭・学校医等)での支援
〇学校と地域・関係機関との連携・協働
〇学校を「みんなが安心して学べる」場所に(1人1台端末の利用・いじめへのき然とした対応・等)
である。
これらの支援は、これまで行われてきた支援と全く同じである。ただ、
〇これまで遅々として進まなかった不登校特例校を「学びの多様化学校」と名称を変更し、
300校という数値目標を設けたこと。
〇各自治体取り組んできた「適応指導教室」を教育支援センターという名称にしたこと。ま
た、小学校や中学校で取り組まれていた「別室」あるいは「保健室」「相談室」での指導・支援を「校内教育支援センター(スペシャルサポートルーム)」と名称を付けて、2024年度には5億円という予算措置をしたこと。
〇また、こども家庭庁を一緒に「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策推進
本部」が設置されたこと。
などが、これまでとは違った対応になっている。
「COCOLOプラン」を見てみると、ようやく本腰を入れて不登校対策に取り組もうとしているかのように見える。しかし、不登校の子どもたちが30万人を超え、文科省が取り組んでいた不登校対策を多くの子どもたちが利用さえしていない状況が明らかになり、やむを得ず、「新しい不登校対策」を講じなければならないまでに追い込まれたのである。
しかし、「COCOLOプラン」の内容は、これまでと同じ中身である。さて、どれほどの効果があるだろう。それは、すぐに明らかになるだろう。
なぜなら、子どもたちが学校に行けなくなるのは、子どもや家庭に課題があるからではなく、学校教育や教育制度に問題があるからであり、それを子どもたちが拒んでいるからであるという不登校問題の本質から目を背けた対策になっているからである。(私レポート「不登校問題の本質」参照を)
「COCOLOプラン」に関して、まだいくつかの点を指摘しなければならない。さらに、批判的検討を進めたい