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エンセラダス地表のスペクトル(もどき)

2008-10-23 01:17:12 | オリジナル画像
No.337 2008/10/22作成

Spectrum of Enceladus surface

10月9日、NASAの土星探査機カッシーニが衛星エンセラダスに25kmの距離まで大接近しました。
そのとき撮影された2種類の紫外線、青、緑、赤、4種類の赤外線の画像計20枚を分析して、エンセラダスの地表のスペクトル分布(もどき)を作ってみました。
左下の擬似カラー画像に□で示したA~Iの9つの地域における、各波長域での相対的な明るさをグラフにしました。
実際には、各画像は幅をもった波長域で撮影されており、その中央波長をとってプロットしました。
本物のスペクトル分布ではありませんが、各波長域での明るさを示しており、グラフの形が表面を構成する物質の特徴を反映していると考えられます。

各地域のグラフを比較すると、紫外線ではあまり明るさに差がないのに対して、赤外線では地域による明るさの違いが大きいことが分かります。
赤外線で明るい地域と、①暗い地域(D、G、H)との2つに大きく分けられます。
さらに赤外線で明るい地域は、②紫外線では暗くグラフが右肩上がりの地域(A、B、C)と、③紫外線で比較的明るい地域(E、F、I)とに分かれます。
これを左下の擬似カラー画像でみると、①は青緑の地域、②はオレンジの地域、③はピンクの地域に対応していることが分かります。
特に赤外線で暗い①の地域は比較的新しくできた渓谷がある地域で、風化を受けていない物質が表面に露出していると考えられます。
逆に②の地域は比較的古い地表です。

このように、各波長域での明るさをグラフ化することにより、エンセラダスの地表の歴史をみることができます。

エンセラダスは大きさ512 x 494 x 489kmの中型の衛星です。
エンセラダスは太陽系の中でも最も白い物質で覆われており、恐らく雪のように細かい氷の粒で覆われていると考えられています。
タイガー・ストライプを初めとする溝や亀裂のような地形は、長年にわたるエンセラダスの地殻活動によって新たに形成されてきたものです。
また、その際に内部の氷の粒が外にふき出し、それが降り積もって表面を覆っていると考えられます。
エンセラダスの表面が明るいのはこのためです。
さらに、南極地域には4本の大きな渓谷があり、その亀裂からガスや細かい氷の粒を噴出するジェットが出ていることが確認されています。
これまでの観測で、ジェットが噴出する渓谷は高温であることが分かっています。
エンセラダスの南極地域は、現在も活発な地殻活動が続いているのです。
また、エンセラダスから放出された氷の粒は土星の周囲をドーナツ状に囲み、Eリングを形成していると考えられています。

元の画像:NASA/JPL提供


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