のヮの@no05071730


五十路男の独り言集。
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黒い砂漠日記 ~冬の山異譚・再会

2022年05月15日 21時16分42秒 | ゲーム

 

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闇の精霊がいきなり言ってきた。新しい風を感じる、いまある依頼は中断して、この風を追おう、と。

いつもの気まぐれかと思ったが、妙に真剣な声だった。行く先は、ドベンクルンだった。ラフィーからの手紙には、「今回だけはイズレラに後れをとらない」そんな言葉が書かれていた。秘密守護団の会合とやらへの招集だった。

到着するやいなや、冬の山、イニックスの炎、シェレカン鉱山の爆発、雪原の六魔女、ラブレスカ…聞いたことのある言葉ない言葉が飛び交い、いつの間にか冬の山へは私一人で行くことになってしまった。彼らに会うと、いつもなぜか私が一番大変な道を行くことになっている。私がヤーズの助手だから、らしいが、そんな時はいつもオーウェンだけが苦笑いで肩をすくめてみせるのだ。わかってるでしょう? と。私としてはできれば止めて欲しいのだが。

傭兵事務所で、ランドというキツネ族に出会った。彼が今回の依頼主になるらしい。なんだかちょっと偉そうな態度をとるがどこか抜けている、人間で言うなら、いいトコロのお坊ちゃんという感じだ。

雪のちらつく関所を越えてバラクスキャラバンに入り、バレンシアのバルハン王子と対面した。アトイ・バラクスも一緒だった。私は二人の顔を見比べつつ話を聞いた。アトイの頬がなんとなく引きつっているように見えたのだが、気にしないでおこう。

バレンシアとカルフェオンの代表を繋いだのがドリガンだと言うが、はたして、そこで「彼女」に再会した。イソベル・エンカロシャー。なんとも胸の奥の方がかすかに疼く。彼女も私の顔を見た途端、一瞬眉が上がり艶のある唇が開きかけたが、すぐに複雑な表情になった。肩も少しちぢこまらせているようだった。その様子を見た隣のポビオスが、険のあるまなざしを向けてきたのが、なんとも懐かしかった。


雪が降り白くなった山道を抜け、シャルボノーの別荘に寄り、彼の炭工房近くの冬の木を浄化した。なんでも、この山を侵食し始めているそうだ。シャルボノーはランドに丁寧な言葉で話をしている。カーンの息子。そう言っていた。冬の山を歩き、ドラゴンと親しみ、エイル村を治めていた偉大なるカーンの息子。

当のランドはそれを当然のように受け入れ、しかし、自分の行動の拙さを指摘されると、自分は勉強していないから何も知らないんだ、と開き直っていた。このアンバランスな部分はどう解釈すればいいのか。何かを隠しているのか。

老人に諫められ、見張り台の上に独り佇んでいたランド。目の前に広がる厳静な深い山林を眺めながら、帰らぬカーンを探しに行った弟の話を聞いた。丘の規律を破った弟。

私にはもう一つ気がかりなことがあった。シャルボノーの炭工房近くで見かけた、襤褸を纏った男。行方知れずになっていた、アイツなのか。

風のノールの巣にほど近い場所に小屋があった。中でランドがわあわあ騒ぎ始めた。入ってみると、シャルボノーから盗んだと思われる、六魔女の本、ジャレット・ドモルガンからの手紙、カルフェオンに斧が突き立てられた地図。

そして。

「…君か…」

目深にフードをかぶった、ベルモルンの宿主、ジョルダイン・デュカスがそこに立っていた。

 



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