ゴールデンウィークらしからぬゴールデンウィークが始まりましたが、いかがお過ごしですか。
久しぶりに映画を観たのでその感想をば。
幸せな結婚生活を送っていたニックとエイミー。しかしある朝、妹の経営するバーから家に戻ってきたニックは、荒らされたリビングを目にして警察に通報。失踪の目算が強まってきたところで事態は一転、ニックに妻殺人の疑いが持たれ始めた。夫婦の幸せな生活の裏側にある闇が、少しずつあらわになっていくー
身も蓋もない言い方をすると、「全米ベストセラー作家の毒親(母親)に育てられて、鬱屈な状態になってしまった女が、楽天的な男に嫁いだら母親と同じことをしていることに気づかないまま暴走して、結局男(とその周り)を支配下に収めてしまった」お話です。
ちなみにR-15指定ですが、ショッキングというかグロい場面があるのでそりゃそうだよね。
で、観た直後のツイート
GONEGIRLを観た
— のヮの (限定解除) (@no05071730) April 29, 2020
・妹けなげ
・ネコチャンカワイイ
・血がどばー
・女たち(特に奥さん)は怖い
・男たち(特に旦那)はバカ
個人的にロザムンド・パイクの演技はすごいと思った
いやほんと、エイミー役のロザムンド・パイクの演技がすごい。結婚生活までは能面のような顔をしていたと思ったら、後半になるにつれて、エイミーの内面が、亀裂から水が漏れ出すかのように、そしてその亀裂が耐えきれなくなって崩壊していくようにあふれ出ていく描写は、圧巻であると同時に、ぞっとしますね。
エイミーは場面場面でいろんな「女」を演じて突っ走るわけですが、役者が演じる役どころが劇中でさらに役を演じて、しかもそれが若干サイコパス入った(苦しい日本語だ)役だったら、役者自体の自我があやふやになるんじゃないかなぁと思いながら観てました。
あと興味深く観ていたのは、失踪事件が起きたときに、次の日にはメディアへの露出やボランティアを擁しての周辺の捜索などが立ち上がっていたところ。スピード感が日本と全く違いますよねぇ。
細かい突っ込み所は結構あるんですが、まあ、ラストはホントにそうなるのか、それでいいのか、というのが一番です。ある意味続編への布石ともとれなくはないですが、誰も望まないストーリーになりそうだし、実現はしないでしょう。誰も救われていないですから。
復讐と救いを求めての逃避行のはずが、自分の理想からは逃げられずボロを出し始め、そうして戻ってきた夫の待つ家。バスルームでの台詞とその表情は覚悟を決めた強さをたたえていますが、実はエイミーですら救われていないのです。そこに流れているのは、ある種の「呪い」に見えました。
この映画はベストセラー小説の映像化作品です。監督は鬼才デヴィッド・フィンチャー。「エイリアン3」で酷評を受けましたが、「セブン」「ファイト・クラブ」「」「パニック・ルーム」「ドラゴン・タトゥーの女」など、癖のある大ヒット映画を生み出してきました。物語の陰鬱なトーンはフィンチャーならではなのかもしれません。
主演はベン・アフレック。その他の俳優陣も実力派がそろっています。洋画好き・海外ドラマ好きなら一度はどこかで目にした役者さんがたくさん出てきます。おっと思ったのはインタビュアー役のセーラ・ウォード。CSI:NYでジョーを演じた女優さんです。知ってる役者さんが出てくるとなんとなく嬉しいものですね。
どこかズレた人たちが自らの沼にはまり落ちていくこの映画。ハマる人にはハマるのかもしれません。
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