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写真、時々言葉。

美しいもの、心に響くもの、、、、を大事にしたい。

桜が散る夜の出来事。

2020年04月25日 | roll of film


Leica mp / 50mm / provia100f / hongochi, Nagasaki / 202004

外は暗くなり、雨は段々酷くなって行った。いつものように風が自分を傷つけながら建物にぶつける音に不安を感じる。

突然ノックの音、間髪を入れずドアノブを捻る音に椅子から飛び上がった。
こんな時間に来る人はいないし、それに許可もなしにドアノブを回してドアを開けようとする人なんっていない、、、。
”誰?” 自分の声が荒っぽく聞こえる。
しかし、それよりもドアを開けようとするおばあさんの声には、まとわりつく執拗さがあった。”〜〜です。ドアを開けて下さい”
一所懸命頭をまわすが、、、初めて聞く名前だった。
知っている人だとしても、こんな時間に強引にドアを開けろと要求する人はいない。
僕の返事を待つこともなく、ドアノブを何度も捻る、、、と同時に、”ドアを開けて下さい”と。

ドアを開けることが出来ないでいた。外の状況が全く分からない。ドアを開けたら、どんな人が立っているのか、一人か二人かも分からない。
しかも、この人は、玄関を通ってもう自分の部屋の前にいるのだから、、、ドアを開けることには相当な勇気が必要であった。

とにかく、”ドアから離れて下さい。玄関に行って待ってください”と何度も大声で伝えると、
やっと部屋のドアから離れたようだった。
恐る恐るドアを開ける。外には、ずぶ濡れのおばあさんが立っていた。

家に行くのだと言う。

でも、その住所と、その家のまわりにある小学校は、ここではなく車で三十分の距離。
この雨の中、歩いて来たと言うが、どうしても飲み込むことが出来なかった。
ここが、自分の家ではないことにはやっと納得したようで、おばあさんが外に出でいく。

でも、
一人で行かせるのが忍びなく、下まで一緒に降りてみることにした。
足が悪いので、僕の腕を捕まえ雨の中を必死で歩く。
容赦無く振り続ける雨に、服が濡れて来ていた。
雨が強ければ強いほど、おばあさんの腕の力も強くなってくる。
しかし、痩せ細った体の震えも一緒に伝わって来る。















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濃い霧

2018年07月18日 | roll of film


Nikon 28ti / Kodak E100VS / 201806, Nagasaki 飯香浦町

目が醒めた時から、頭の中がスッキリしない。濃い霧がかかったようなもやもや感に苦しんだ。
何をする意欲もなく、
今日1日は、このまま行くしかない、、、。

人に対して絶対的な信頼を持った時に、
濃い霧がかかったように、
理性を失うこともある。
いつもの明瞭さと、正しい判断が求められない。
確信に満ちた答えには脆さと、矛盾、そして感情が剝きだす。
結局それぞれの弱さの上に、砂で造られた大きな塔が立つのだ。

海岸に沿った道路、集落、遠く見える蒼い海に、心は洗われる。
滅多に動きもなく、
時々犬の鳴き声、鳥の囀りが聞こえ、
そして遠くの道をあるおばあさんが曲がってしまった腰に押しつぶされながらゆっくりと渡る。
心に大きな穴が出来た時には、よくここに来る。
美しし情景の中に、醜い日常が存在したとしても、それはそれでいいのだ。





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1日のはじめ。

2018年07月07日 | roll of film


Nikon 28ti / Kodak E100VS / 201806, Nagasaki 三ツ山

朝6時半のごミサに間に合うために、
全神経を使い、走り抜く。
6時の鐘の音を後ろに出発出来たら、経験上きっと大丈夫だ。
ラジオではクラシック音楽が流れ、いつもの通過点ではいつもの人とすれちがう。
車の窓を開け、朝の新鮮な空気に身をまかせる。

三ツ山の上り道の右にはバイパスが走る。
そして重なり合う山々、
季節によって、濃い霧に埋もれることもあれば、かすかに見える時もあって、
いつもここを通る時には、未知の世界に足を踏み入れるような感覚に囚われてしまう。

しかし、こんな景色が迎えてくれる1日のはじめは幸せそのものだ。









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人がいない写真。

2012年09月04日 | roll of film


LEICA M6TTL / Leica summicron M35mm F2.0 / Kodak E100VS
Japan 佐賀伊万里 大川内山 / 20120823

子どもの頃、現像された写真を取りに親と一緒に店に行く。
すると親は、プリントされた写真の中から二枚を取り出してから、店員さんにこう言う。
「人が写ってない写真は、持って行きません」。

その頃、親にとっては、
写真というものは人が写っているものだったと思う。

ところが、今の僕の写真は殆ど人が写っていない。
それも上手に。

子どもの頃の記憶にせいか、
今も人が写っていない写真を、店員さんが確認のために見せてくれると、
何だか、、、恥ずかしい。
















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出会い。

2012年08月29日 | roll of film


LEICA M6TTL / Leica summicron M35mm F2.0 / Kodak E100VS
Japan 佐賀伊万里 大川内山 / 20120823

出会いは、人との出会いだけに限らないと思う。
訪れる所との出会いもあると思う。

初めて、訪れたここ。
車で道を走りながら、歩きながら、、、
通り過ぎる風景や、奇麗なカフェーや、工房、店に出会った時に、

幸せだな~と思い。
今の一時が甘い~と思ってしまう。







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珈琲カップ。

2012年08月29日 | roll of film


LEICA M6TTL / Leica summicron M35mm F2.0 / Kodak E100VS
Japan 佐賀伊万里 大川内山 / 20120823

工房には誰もいない。
この時間にはいないのか、もうやっていないのか、、、分からない。
珈琲が好きだから、
目は自然と職人さんが作った陶器のカップしかいかない。

カップは高いけど、
目を張るように奇麗、、、。







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顔。

2012年03月24日 | roll of film


Leica M6 TTL / summicron M 35mm F2.0 / Kodak Ektar100 / Japan 佐賀県唐津玄海海中展望塔付近 

夕陽には、見る人の数だけの、、、
いろんな顔がある、、、。

だからこそ、人々は夕陽に見入ってしまう。








Leica M6 TTL / summicron M 35mm F2.0 / Kodak Ektar100 / Japan 佐賀県唐津 たまご色のケーキ屋さん





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来春。

2012年03月23日 | roll of film


Nikon F100 / 50mm 1.4D / FujiFilm SP400 / Japan Nagasaki 本河内

春が来た。でもただ嬉しいだけではない。
春は別れの季節だから、、、。
慣れ親しんだ人、クラス、職場、教会、家等々。

でも、ただ悲しいだけではないと思う。
人はいつも希望を夢見るから、、、。


















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一心。

2012年03月22日 | roll of film


Nikon F100 / 50mm 1.4D / フジフィルム / Japan Nagasaki 三ツ山原爆ホーム別館香部屋

ミサが始める前に、この椅子に座って暫く目を閉じる。
罪深い私というよりも、
神様のただの道具として使われることを望みながら、、、

ただその一心である。








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眠ること。

2012年03月07日 | roll of film


Leica M6 ttl / Carl Zeizz Planar F2 50ZM / Fuji RVP100 / Japan 三ツ山、201109

悲しい時には、
心に痛みが走る時には、、、私は眠る。

夢から覚めると、
元気になっている時もあれば、全然変わらない時もある。
でも、大抵はよくなっている。

それを信じて、今日も早くから眠るのだ。














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