めっきり日が短くなりました。
曇り空だと、なおさら夕暮れが早く感じられます。
・・・いずこも同じ秋の夕暮れ、ん? 上の句は何だったかな。
思い出せずにいるのは気持ちがよくないものです。
さびしさに宿を立ち出でて眺むれば・・・やっと思い出して、スッキリ。
思い出せぬことメッキリ多くなった人生の夕暮れ。
月みれば千々にものこそかなしけれ我が身一つの秋にはあらねど
これが蜀山人(大田南畝)の手にかかると、
月みれば千々に芋こそ喰ひたけれわが身ひとりのすきにはあらねど
春にはこう詠みます。
世の中にたえて女のなかりせばをとこの心はのどけからまし
本歌は、世の中にたえてさくらのなかりせば春の心はのどけからまし
さくらを女、春を男にしただけで一変するところが狂歌の面白いところです。
女がらみ?ではこんな狂歌も。
世の中は色と酒とが敵(かたき)なりどふぞ敵にめぐりあいたい
世の中つながりで次の一首。
世の中に蚊ほどうるさきものはなし文武といひて夜もねられず
狂歌の「狂」は、単に狂うということではなく、理想を求める心持ちをも意味するのだとか。
最後に蜀山人辞世の一首。
生き過ぎて七十五年食ひつぶし限りしられぬ天地の恩