2018年も半年を経過した6月から7月にかけての土日は、わけあって登山はお休みで、
専らランニングで汗を流しておりました。
今日は、週末に読んだ記録小説についての四方山話です。
皆さん
最近、エネーチケーの番組などでも取り上げられた、富山県黒部市にある断崖絶壁の
水平歩道というのをご存じでしょうか?
この画像はネットから拝借した画像でToshiの記録にあるものではありませんが、
足がすくみませんか?
実は、ある登山好きの先達から、「縁があって今年あの水平歩道を歩くことになりました」
と伝えられました。
Toshi
「は~、あの〇玉が縮みあがるといわれる登山道ですね?」
先達
「いえ、実はあれは登山道ではなく日電歩道といって、戦前、あの黒部ダム建設の折に
物資運搬用に開削された歩道なのです・・」
もともとゼネコン出身のこの先達は、黒部発電所の建設工事で過酷を極めたトンネル工事の
話を熱心にされて、Toshiに『高熱隧道』という吉村昭という小説家が書いた本に登場する
その歩道の話をしてくれました。
『高熱隧道』(吉村昭著 新潮文庫 昭和42年刊行)
Toshi
「なるほどぉ~、そこを今年歩いてみるというわけですね」
先達
「そうなんです、歳も歳なのでもう行くチャンスはそうないと思いましてね・・」
その小説に登場する通称「日電歩道」といわれる断崖絶壁に削られた歩道の話もさることながら、
そもそもその歩道が作られた時のダム建設がいかに凄まじい工事であったかの先達の話に引き込まれ、
その後すぐにアマゾンでその本をクリックしていました。
黒部川下廊下_概念図
日電歩道と言われるものは、上の概念図(中央)にある毛勝岳(立山連峰)と唐松岳(後立山連峰)を
結ぶ直線上あたりにあって、現在は富山県黒部峡谷鉄道の終点駅「欅平」の上にあるようです。
上の概念図は北が左を向いている図なので、見やすいように北を上に90度回転させましょう。
北は富山県、南は静岡県、ご存じ北アルプスの北の北
短い小説ですが、綿密な取材と調査によって描かれているだけあって、とてつもない難工事で
あることと、世が戦争に向かう昭和11年~15年、国はこれだけの犠牲を払ってまでこのダム建設
を行わなければならなかった時代背景がよく分かって一気に読み進むことのできるものでした。
このダム工事の完成までの犠牲者は300人を超え、日電歩道から落ちて死んだ人も多数・・
(60kgの荷物を背負ってあの絶壁上の細い道を歩けるものか?)
小説を読み終えて思うのは、山岳小説としても十分に北アルプスの富山側から登る山域に思いを
はせることができ、Toshiも先達に倣って、いつの日か剣岳、立山連峰登山と組み合わせ、
この黒部峡谷件の水平歩道を歩いてみたい・です。
拡大地図
少し縮小
欅平駅から先は一般客の乗れない関西電力黒部専用鉄道
因みに日電歩道の標高は844mなので、断崖絶壁ながら眺めは果たして峡谷のダムを眺める
景色ぐらいのものなのでしょう。
でも、歩きたい
7月はこの日電歩道から直線距離にして40km南に聳える「槍ヶ岳(3,180m)」に登ります。