ゆるふわ読書日記

徒然なるままに読んだ本を紹介していきます。
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カザルス J.S.バッハ/無伴奏チェロ組曲(全曲) TOCE-8562・63

2024-01-26 06:12:12 | 日記
パブロ・カザルス J.S.バッハ/無伴奏チェロ組曲(全曲) TOCE-8562・63

今だに、よくCDで音楽を聴く。
ライナーノートで共感した一節を、共有したいと思います。文章は大久保喬樹氏です。
「彼にとって、音楽とは、なによりもまず音を通じて他人に、自分の感情や思想を語りかけていく、その意味での言葉であり、それによって、音楽という、あるいは芸術という枠を越えて、哲学や宗教や政治と同様に直接人々に働きかけ、動かすような力なのである。
このことは、カザルスに限らず、アフリカでの布教医療活動と並行してバッハ研究、バッハ・オルガン曲の演奏を続けたシュヴァイツァー等、今世紀(引用者注:20世紀)前半の多くの巨匠たちに共通してみられる音楽観であるが、その根底にあるのは、学問にせよ、芸術にせよ、それぞれあらわれ方、手段方法は異っても、本質は、すべて同じ普遍的な人間性の表現、人間性への奉仕であるとみなすヒューマニズムの思想に他ならない。
カザルスの音楽は一貫してこの思想の実践である。バッハの無伴奏チェロ組曲での厳しい、烈しい、重い響き、ティボー、コルトーとのトリオでの官能的な響き、カタロニヤ民謡での素朴な、自然の響きまで、カザルスの音楽は実に多様な表情をみせるが、それらはすべてカザルスの人間性の表現であり、伝達(ルビ:メッセージ)なのである。」