「『若き詩人への手紙』は、一人の青年が直面した生死、孤独、恋愛などの精神的な苦痛に対して、孤独の詩人リルケが深い共感にみちた助言を書き送ったもの。『若き女性への手紙』は、教養に富む若き女性が長い過酷な生活に臆することなく大地を踏みしめて立つ日まで書き送った手紙の数々。その交響楽にも似た美しい人間性への共同作業は、我々にひそかな励ましと力を与えてくれる。(裏表紙より)」
ライナー・マリア・リルケ(1875-1926)の『若き詩人への手紙 若き女性への手紙』(新潮文庫)。二人の相手に対し、非常に親密に、丁寧で、そして誠実に記された励ましと忠告の手紙である。私にとっては何度も読むことになる作品になるだろう。リルケのその高潔な生涯は、彼の作品の暗さと相反して、清らかな励ましを私達に与えてくれる。ブログを書いたり、何かを表現するにあたって、響いた一節を引用しておきたい。
「自らの内へおはいりなさい。あなたが書かずにいられない根拠を深くさぐって下さい。それがあなたの心の最も深い所に根を張っているかどうかをしらべてごらんなさい。もしもあなたが書くことを止められたら、死ななければならないかどうか、自分自身に告白してください。何よりもまず、あなたの夜の最もしずかな時刻に、自分自身に尋ねてごらんなさい、私は書かなければならないかと。深い答えを求めて自己の内へ内へと掘り下げてごらんなさい。(p.15)」