OCTAVEBURG 外伝

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話はまずいけどご飯は美味しい~愛しの・鴨のコンフィ〜

2020-06-28 | 日記

私は本当に食い意地が張っているので、食べることを考えて過ごす時間は他の人に比べて長いと思っています。
明日のお弁当はアレを作るから、食材はこれがあるから、買い物に行きたくないから、夜はあのワインを飲むから...。
最近はこのブログもお料理のことなんて書いていい感じの印象を生んでしまっているかもしれませんが、多分他の人の方が美味しく作ってると思う。笑 ただ私は食べる欲も作ってみたい欲も他の人より強いから、ということだけだと思っています。

ここ数ヶ月は外食する機会も限られ、自分でお料理するしかなかった。それはそれで別にいいのですが、当たり前の事に気が付きました。
食材がある時(豊富)とない(限られる)時の、料理の豪華さ(それはやる気・インスピレーションによる)が違う。
食材が豊富な時はアレもコレもとメニューも浮かびますが、時は缶詰と乾物の偉大さに頼るものの、これしかないか、みたいなメニューにはなります。でも、ない時のアイディア勝負は1つのトレーニングみたいなもので、自分の脳への刺激と今後の頼りになるストックの再確認みたいになるので、いいことなのです。その結果、メニューはそこまでマンネリではないと言ってもいいと思うけれど、買い物がマンネリになる傾向にあるかもしれないと思い始めました。
野菜などもやはり同じお店だと同じものが並びやすいし、お肉も使いやすいタイプのお肉を選びがち。この根本的解決は「お店を変える」が手っ取り早い。ですので、出来る限りは(気晴らしも兼ねて)変化をつけることにしています。

ところでいきなりですが、私は宣伝、広告、CMといったものが結構好きです。テレビのCMも好き、映画館でも最初の新作の予告が大好き、というように、広告といっても姑息なものではな、よくできてる!という宣伝に興味を持ってしまう人間です。私は凡人ですのでこの時期もSNSも結構見ていますが、それに挟み込まれる広告も(怖いですねえ、私の好みを知ってて。誰かに見られてる感は否めませんが)面白く見ることにしています。もちろんそこから具体的な行動に移るまでは注意深く検証してドキドキしながらクリックするわけですが。

その広告は突然私に「鴨」をすすめてきました。山形県産です。鴨...カモ...
そうです、私は「鴨のコンフィ」という殺し文句に弱いのです。すぐ「私はそれで」って言っちゃう。そのコンフィ用のもも肉もある...
ここで食べる欲と作ってみたい欲がムクムクと湧き上がります。
お店に行けないなら、作るか。やるしかないでしょ、これ。だって食べたい。作ってみたかった。しかも時を同じくして、好きな作り手さんのワイン(日常の私にしては高級)があって、相方を探していたところでした。
これは、ワインにも食材にも失礼のないように、やるしかないな。

*コンフィはちょっと気を使うけど、時間が調理してくれます。意外とできます。
一晩解凍して(冷凍で送られてきたので)、一晩味付けして(塩1.5%、砂糖0.3%)とハーブ(今回はローズマリー)、半日オイルで(70度をキープしつつ私は保温鍋)火を通して、最後はフライパンで焼き目をつけて、食卓にお連れしました。コンフィ!(焼き目をもっとつけたかった)

風味も味わいもしっかりしていて美味しくいただきました。それより、生のお肉を手に取った時の美しさ!マッチョさ!皮のハリ!大事に育てられて最後までキレイにしてもらったんだなと、生産者の方のお仕事ぶりと、大事な命に感謝をせずにはいられませんでした。その生産者の方のページには白い可愛い鴨たちの写真と動画もあって、ガアガアしているお姿を見てしまうと事実少し申し訳ない気持ちもチラッとありましたが。(生きているトリも好きなので。)
でも、その分、美味しくいただきました。ありがとう。

感動する食材を手に取った時の喜び。それを生かす方法を考えて「美味しい」に進んでいく期待。ただその「美味しい」は儚い。時間をかけて作ったのに一瞬で終わる。美味しければ美味しいほどに...。でもそれは食材を手にした時、またはその食材に「なるまで」(...人生、って言わないよな )を知ったり想像することができれば(そしてそれに納得できれば)、儚いけれど「美味しい」の余韻が長い。それって現在の食の楽しみ方の一つだと思っています。でも気をつけないと情報で食べちゃう。実際目の前の食事とちゃんと向き合うことが、食べる1番の礼儀。こんなことを「いっぷく亭」時代の父と何度も話したなー。

食に限らず、最近自分が大人になったからなのか、メデイアでも様々な職種の方を特集したりする番組があるからなのか(アレね、アレ)、全ては誰かの仕事でできている、と思うようになりました。なんでも黙って勝手にできたわけじゃない。だからパッとは見えないところの「誰か」のお仕事を想像できる人間でいたいなと思います。

まあ、今回は美味しい話で終わっておこうかしら。まずいのは、ますます美味しいものを食べたい作りたい欲が高まり過ぎる傾向にあるのと、お取り寄せに想いを馳せすぎて(結局そんなにしてないけど)悩んじゃったりする時間が長いこと。時間がかかるラーメンのスープも今ならいけるかも?「いっぷく亭」のレシピも入手済みよ。

+++ワイン+++
     オート コート ド ニュイ ルージュ オー ヴァロン 2016  ドメーヌ ミッシェル グロ
     Hautes C tes De Nuits Rouge Au Vallon Domaine Michel Gros
優しくシルキー。久しぶりに美味しいピノノワールを飲めました。こちらも感謝。

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