OCTAVEBURG 外伝

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すずのこと 1

2017-12-02 | 日記

黒柴・すずが「うちの犬」になったのでちょうど1年経ったので、改めてこちらに書いてみようと思います。

ハナ(アメリカンコッカースパニエル)が旅立ってしまってとうとう犬がいない暮らしになって、寂しくって仕方なかった私は心を決めた。自分で責任を持って犬を飼おうじゃないか。だって犬が大好きなんだから。一生にあと何頭「自分の犬」と暮らせるのか...など考えれば考えるほど犬との暮らしに憧れが募り、(意外と)石橋を叩いて叩いて渡らない私が重い腰をあげて行動に出た。

昔、近所に元気で可愛い犬がいた。その犬を愛してやまない飼い主のおじさんも気さくないい人で、その犬に赤ちゃんが生まれた時に子犬を貸してくれたことがあった。私は小学生だっただろうか、その時はちょうど初代の犬が逝ってしまって羽石家・犬不在の時期だった。それでも「赤ちゃん犬」は初めてだったからその可愛さに心奪われ、ヨチヨチ、トコトコ散歩する姿に満たされたことをよく覚えている。白に黒の模様があるふわふわの犬だった。

この思い出もあって、もし自分が犬を飼うなら「近所の犬の子どもを譲ってもらう」のがベストな方法、という気持ちを持ち続けていたがなかなか近所の犬に赤ちゃんは産まれないようで。それでは保護団体から譲っていただく形がいいと思ってまずはネットで探し始めた。いろいろな条件の中から信頼できそうな保護団体を決めてそのページを眺めていると、予想以上の数の犬たちの写真がずらり、それもブランドの犬たちがほとんど。そこにはどんな経緯で保護されたのかという情報や、現在の状態などが書き込まれていた。日々サイトを閲覧していたが、犬種、年齢なども含め、気になる子が現れた。

ところでそこにはどんな説明が書かれていたかというと
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ブリーダー放棄犬。うまく産めないからという理由。過酷な環境から相当ダメージを受けているようで、人の注意を引かないように存在を消し、自分の唯一の安全な居場所のケージに一目散に戻りたがる。ケージの扉が閉まっているといつまでもずっと扉の前で待っている姿が可哀想なくらいでした。
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そして写真は、不思議なぼーっとした目をした犬だった。でもなんだか気になる犬だった。

最初にお見合をすることになっていたので、その日まで何度もこの説明文を読んだり、想像したり、関連することを調べたりしては、悲しくなったり嬉しくなったりまさに「期待と不安が入り混じった」思いで過ごしていた。この子だけじゃない、他の子の状況を読んでは胸が痛んだ。本当に止むを得ない事情はほぼ無いように思え、人のワガママが犬に押し付けられているように見えた。保護団体に渡しているからまだいい、ではない。命なのに。そしてこの犬の不安を自分が取り除けるかも不安に思った。できるのかな、自分。

など考えながら、お見合いの日取りが決まり有名な大きい公園で会うことになった。晴れていたけど風のある朝だった。預かりボランティアの方に連れられた犬は、毛並みはとってもよくて黒くてピカピカツルツル、でも身体が細くて、やっぱりぼんやりした目をして犬の快活さみたいなものはあまり感じなかった。存在を消す、そんな感じだった。犬は風の音に怯えて固まりながらも身体を触らせてくれて、その毛並みと温かさに会う前から決めてはいたけど、ぜひ一緒に暮らしたいと思った。立ち去る様子を見ていたが、犬は結局固まって歩けなくなっていて最終的に自転車のカゴに乗せられて帰って行った。笑...いや、これも後になってわかる、散歩事情の宣告だった。

その後、保護団体に2週間のトライアルを申し込み、我々も本格的に受け入れの準備を進めた。
名前も色々考えたけど、呼びやすさと黒っぽい音の感じから すず にした。

そして迎える日。

私は上越にいた。。。この段階でもう格付けが決まっていたことを後で知る。

もちろん、お見合いでニンゲン2人に会ったなんてことは犬は覚えているまい。

すず (新しい家にくる。日中1人に迎えられる。)
    ああこの方と私の新しい生活なのね。(散歩、ご飯。くつろぎ。)
私  (夜になって) ただいまー わー可愛いー嬉しいーすずーよろしくねー
すず あらっ?次の犬(私のこと)が来たわ?大荷物でガサガサとうるさいわね...
もう...カサカサしないで 怖いから!なんなのこの人...私たちの生活の邪魔をして...

的な出会いになってしまったことが決定的で、私はこの瞬間から下僕に成り下がりました。

飼ってみて、柴犬はさすが和の犬。やっぱり日本の魂を持ち合わせているようです。主人には忠実。それ以外(私)は下。
そして、色々な辛い経験もあってか、すずも生きる術を身につけたのでしょうか、大人の女のテクニックがすごい。ツンデレって言うやつです。すごいんです。もう、完全に負けてます私。

ところで私の趣味の1つで(?)ペットに「当てぶり」するのが好きなんですが、すずのキャラを決めかねていたのですが無事に決まりました。
時代劇風 奥様もしくは姫君。1人称は基本 わらわ です。私は「お付きの者」ですので基本「すず様」に敬語でお話ししています。

というように私の日常が少しだけ変わりました。もちろんお世話は大変な面もありますし小さな命に対して心配が増えたとも言えますが、それよりも喜びが増えた気がします。すず様が尻尾を振ってくれたとか。(私には基本3回までというクールな対応です)
写真はすず様が到着してすぐの写真。私が上越にいた時間帯に受け取った最初の写真。嬉しかったな。
この幸せが続きますように。

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