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タナゴ飼育まとめ 2015年 改定版

2015-06-10 00:08:12 | タナゴの飼育

上記は、黄色のバラタナゴ(特別変異したもの 

「2010年のタナゴ飼育まとめ」を改定しました。内容は大きくは変わっていません(写真は古いものを一部使っています)。

あくまでも個人的な意見にすぎません。科学的或いは理論的な根拠に基づくものではありませんので、参考程度とお考え下さい。

 

カワシンジュガイに興味を示す バラタナゴ(黄色)

 

「目次」

1  タナゴの産卵時期
2  産卵用の二枚貝
3  二枚貝を水槽に入れる時期
4  産卵した貝は別水槽に移動したほうが良いか
5  親タナゴは水槽に何匹くらい入れるか。
6  親タナゴは何歳位がよいか。
7  親タナゴは稚魚を食べるか
8  屋内水槽と屋外水槽はどちらがよいか
9  水槽の大きさは稚魚の孵化に関係するか。
10 水の濾過方法
11 補助用濾過器は必要か
12 水槽内の敷砂
13 水の交換。
14 器具の清掃
15 水槽を立ち上げる時の注意点
16 使用する水
17 水槽に雨水が入っても大丈夫か
18 水温合わせと水質合わせ
19 暑さ対策
20 稚魚の管理
21 稚魚の移動
22 水草について
23 何故タナゴを増やすのか。

1 タナゴの産卵時期(2017年 場所は都内豊島区)

今年2015年は、ヤリタナゴとバラタナゴとも5月中旬に稚魚が生まれました。


(昨年より2週間早め)。

2015年6月12日現在、ヤリタナゴ 70匹、バラタナゴが100匹程生まれました。

 

ヤリタナゴの稚魚 2015.6.12 

生まれてから1月近くが経過しています。


  
2 産卵用の二枚貝

カワシンジュ貝だけを使用します。一つの水槽に1、2個を投入し、1週間前後で別の稚魚用水槽に移動します。

いろいろな貝を試しましたが、カワシンジュ貝がタナゴの産卵にはベストだと思います。しかも、新鮮な貝のほうが孵化率が高いように

思えます。貝も貴重な生き物ですので、暑さ対策等には十分注意して無駄にしないように心掛けています(直射日光をさけて、できるだけ

日陰に置くようにしています)。





カワシンジュ貝に興味を示すヤリタナゴ


3 二枚貝を水槽に入れる時期

産卵時期は、タナゴの種類、地域、温度、その他の飼育環境により異なりますので、いちがいには言えません。

今年2015年に限っていえば、都内(豊島区、屋外水槽)では、稚魚の孵化が5月中旬でしたので,4月頃に二枚貝を入れて正解でした

(孵化の時期は、年によって時期が異なります。今年は昨年より2週間ほど早め)。


6月12日現在 

ヤリタナゴには未だ婚姻色が綺麗に出ています。綺麗なのはオスです。

 

4 貝の移動

貝を水槽内に放置すると産み付けた卵が多くなりすぎて、時には貝が窒息死してしまうと言われています。

タナゴが多い水槽では、幾つかの貝が死亡してしまいました(産み付けた卵が原因の一つと考えられます)。

また、水槽に放置したままにしておくと、生まれた稚魚がエサと間違えられて親に食べられてしまう危険があります。

そこで、ガラス水槽では、メスに産卵管が出た頃に貝をいれ、産卵管が短くなったのを見計らって貝を移し替えるようにしました

(卵を産み付けるとメスの産卵管が短くなると言われています)。

産卵管が見えない池などでは、二枚貝を入れて1,2週間してから、貝を別の水槽に移動し、新しい貝と入替えました。





産卵管が長く伸びたバラタナゴ(黄色)

貝の中に産卵管をねじ込んで卵を産み付けます。卵を産み付けてから約1か月後に稚魚が貝から出てきます。不思議です。



5 水槽内の親タナゴの数は何匹くらいが良いか。

タナゴの数を少なくするか、オス数匹に対し多数のメスを入れた方が(いわゆるハーレム状態)、なわばり争いが少なくなりますので、孵化

率が高いように思います。

今年は面倒なので、オスとメスを考えずに貝をそのまま入れました。

親の数が少ない水槽では、同じ親からの孵化をさけるために、親タナゴを時々入れ替えています。





6 親タナゴは何歳位がよいか。

生まれたタナゴは、1年経過した頃に、親タナゴの水槽に戻しますので、水槽には親と生まれたタナゴが一緒にいますので、何歳になると

繁殖できくなるのかはハッキリとしません。

そもそもタナゴの寿命もはっきりしません。少なくともメスについては、産卵管が出なくなると繁殖は無理です。 

昨年生まれたタナゴだけの水槽から沢山の稚魚が生まれましたので、1歳のタナゴでも産卵することは間違いありません。


7 親タナゴは稚魚を食べるか

タナゴがウジャウジャいる水槽内に貝を入れっぱなしにしましたところ、何匹か稚魚が生まれましたが、数日すると姿を消してしまいました。

多分、親タナゴに誤って食べられてしまったのではないかと思います。

ただ、1.5トンの池では、バラタナゴの稚魚が数十匹孵化し、元気に泳いでいます。

これは、池の場合、水量が多く稚魚が隠れるスペースがあるため、稚魚が生き残れたのではないかと思われます。

稚魚産卵用の水槽と、親タナゴの水槽は区別した方がよいと思います(貝を移動する)。

  
8 屋内水槽と屋外水槽はどちらがよいか

屋内外どちらの水槽からも稚魚が生まれました。

ただ、屋内水槽は暑さの管理が難しいため、大半の水槽は直射日光があたらない、風通しの良い屋外に置いています。


 水槽サイズと水深は孵化に関係するか。

関係しないと思います。以前は浅い水槽が良いと思って、イケスを使いました。

30から90センチまでの水槽、1.5トンの池、イケス等を使っていますが、水深に関係なく、稚魚はまんべんなく生まれています。

結局、水槽の大小、水深の深さ、水槽の場所(屋内外)は、稚魚の孵化にはあまり関係がなく、寧ろ、水質管理、二枚貝の種類、親タナゴの

数・年齢、貝とタナゴの元気度合などが孵化に大きく影響するように思えます。






90センチ水槽 この水槽から今年はヤリタナゴが約70匹生まれています。

水槽のタナは、ニッソーの90センチスチール棚、結構頑丈です。



10 水濾過方法

次の理由から、殆どの水槽を床面フィルター(同時に敷砂を大磯砂利)に変えました。

水作フラワーを大磯砂利に埋め込んで使うこともあります。






床面フィルター これにホースを繋ぎ、砂利の下に敷きます。






水槽に床面フィルターを設置した状態

(床面フィルターを使う理由)

自然環境に一番近いと言われていること、また、多くのショップが床面フィルターを使っているため信用性が高いこと

水質管理も時々汚れた水を交換するだけで比較的簡単

フィルターが砂利に埋もれているため稚魚が吸いこまれる心配がない。

大型のエアーポンプ(業務用ブロアー)を使うと、20個近くの床面フィルターを一挙に作動させることが出来るので、上部濾過器を使う場合

に比べると、電力代が節約できて経済的。

オ床面フィルターの値段も1個1000円以下と廉価。


 

安永の浄化槽用のブロアー 

浄化槽用ブロアーは、安永の製品を使っています。頑丈で今までほとんど故障がありません。

これに6連管をつけて各水槽にエアーを送っています。1台あると、沢山の床面フィルター等に強力なエアーを送れます。

 

11 補助用濾過器具


一つが故障しても酸欠にならないように、床面フィルターの補助として、スポンジフィルターや投込み式フィルター(水作など)を殆どの水槽

に設置しています。

中国製のスポンジフィルターも多用しています。特に、上部ろ過機等を使うと、稚魚がポンプに吸い込まれてしまいますので、稚魚用にはこ

のスポンジフィルターを使っています。





スポンジフィルター(2連)




水作フラワー

 


スポンジ フィルター(中国製)

  
12 水槽内の敷砂は何を使用するか。

大半の水槽を、大磯砂利(1分 細め)に代えました。

その理由は、床面フィルターとの組み合わせには大磯砂が比較的向いていること(田砂などを直接使うとフィルターが目詰りします)、さらに

人人工的なソイルは1,2年すると劣化しますが、大磯は砂利のため半永久的に使用できます。

細めの大磯(一分)をメインに使ったのは、二枚貝が砂に潜れるようにするためです。大磯砂利の量は、厚さ5センチ前後を目安にしました

(60センチ水槽で10キロ少々)。


13 水換えをする頻度は

1週間に1度位の頻度で、3分の1程度の水換えをします(全部は交換しません)。

水を交換してはいけない(追加するだけ)という人もいますが、暑い夏場は頻繁に水を補充してやり、水の交換もまめに行います。


14 器具はどのように清掃するか。

水を交換する際、交換する汚れた水を使って、その水で器具(スポンジフィルターや水作フラワーなど)を清掃します。

水道水でジャブジャブ洗うようなことはしません(水道水で洗うとバクテリアを洗い流してしまうと言われています)。


15 新しく水槽を設置する時の注意点

まず、床面フィルターを置き、その上に良く洗った大磯砂を5センチほど敷き詰め、水を注入します。その状態で1週間ほど床面フィルターを

作動させます。

その後、水を全面的に入れ替えて、さらに、数日経ってからタナゴを放流させるようにしています。真偽や根拠も不明ですが、新しい大磯砂

を使うと水質が変化すると聞いたことがありますので、そのようにしています。



16 水槽にどのような水を使うか
  
以前は、水道水を大きなバケツに汲み置きし、数日、日光にあてカルキを抜いてから使っていました。

しかし、水槽が増えると、時間的にも、体力的にも水の交換は大変な作業となります。特に暑い夏場はこたえます。

そこで、数年前に、水道水のろ過機(マーフィード製)を買って、それを使ってダイレクトに水道水を水槽に補給するようにしました。

いままでの水の交換がなんだったのかと思われるほど、便利です。ろ過機は、安いショップでは、1万円以下で購入できます。

マーフィードの浄水器

(汚れていますのでそろそろフィルターの交換時期)

 

これにゴムホースで水道に直接繋ぎ、この浄水器で水道水を透過した水をダイレクトに水槽に流し込みます。

フィルターの交換は、塩素の濃度を検査薬で測って、黄色の色が出たら交換するようにしています。昨年は1回だけ交換しました。

非常に便利です。


17 水槽に雨水が入っても大丈夫か

雨が降ったあと、池のヤリタナゴが何匹か浮上することがありました。

因果関係はわかりませんが、都心では酸性雨の影響も考えられましたので、屋外水槽は、全て、軒下に置くか、屋根をつけるかして、雨水

が直接入らないようにしています。






木の下に置いたイケス、屋根をつけています。


18 水温合わせと水質合わせの仕方

タナゴの移動寺には、必ず水温あわせと水質あわせをやります。

水温差がある水槽にタナゴを急に移動させると、病気になったり、時にはショック死することもあると言われています。

そこで、タナゴを水と一緒にビニール袋に入れて、移動先の水槽にしばらく浸しておきます(この時、酸欠にならないように注意します)。

30分から1時間ほどして水温が一致した段階で、今度は移動先の水槽の水を少しずつビニール袋に流し込みます。

水質に慣れた頃を見計らって新しい水槽にタナゴを放流します。面倒ですが、必ず行います。

二枚貝にもタナゴと同様、水温あわせをやるようにしました(必要か否かは不明です)。


19 暑さ対策

タナゴは比較的寒さに強いが、暑さには弱いと言われています。

二枚貝はタナゴ以上に暑さに敏感です。そこで、水温対策には次のようにしています。

① 直射日光対策

ガラス水槽に直射日光があたると、すぐに水温は上昇し、タナゴ、二枚貝に致命的な影響を与えてしまいます。

まず、水槽はできるだけ屋外の涼しい場所に設置するか、どうしても直射日光があたる水槽にはスダレをかけて水温が急激に上昇しない

ような工夫をしています。しかし、クーラー等の機械は一切使用しません。


② 蛍光灯

水草用に蛍光灯を使う場合も、水温の上昇をさけるため、タイマーを使って夜の涼しい時間帯に蛍光灯を点灯するようにしています。

(自然のサイクルが狂うことで、タナゴに悪影響が出るかわかりません)。

③ 水の補充

水を補充する場合も、急激な水温変化が生じないように、早朝に水を補充するようにしています。

④ スイレン鉢

ガラス水槽は、温度差がダイレクトに出ます。これに対し、スイレン鉢は、ガラスでないため温度差が急激には出ません。

日の当たる場所では、大きめのスイレン鉢を使うようにしています。


20 稚魚を管理する注意点

生まれたてのタナゴの稚魚は、針先位の小ささ。扱いには細心の注意が必要です。

① 水流

水流が強いと稚魚に余分な負荷がかかります。床面フィルターのエアー圧を弱くし、さらに、水流の出口をガラス面に向ける等して、できる

だけ水流を弱める方法を講じています。

また、水を注入するときも、ホースなどを使ってソーッと流し込むようにしています。

さらに、上部濾過器等を使用する場合は、吸い込み口に必ずスポンジフィルターを付けて、稚魚が吸いこまれないようにしています。





バラタナゴの稚魚

② エサ

稚魚用に、時々、ベイビーフライングシュリンプという極小の冷凍エサを与えます。このエサは高価なので、普段は、金魚用のベイビーフー

ドや、或いはフレーク状のエサ(テトラフィンなど)を細かく砕いて与えています。

また、他のメーカーのエサを複数使い、同じエサだけを与えないように注意しています。




ベイビーフライングシュリンプ(冷凍)



21 稚魚を移動する方法

稚魚は小さいため、大きくなるまで原則移動しないようにしています。

移動するときには、網で救うと網からこぼれ出る水圧でもストレスがかかると言われていますので、透明なビニールカップなどを使って水と

一緒に稚魚をすくって、他の水槽に移すようにしています。



22 水草について

水草は、酸素の供給、水質浄化、タナゴの隠れ場所にもなりますので、必ず水槽に入れています。

定番のアナカリス等のほかに、比較的育成が容易なセキショウモを植えましたが、これら水草は、水槽が外部にあるためか、冬を越せず毎

年新しい水草を買っています。





セキショウモ


ヤリタナゴ

 

23 なぜ タナゴを増やすのか

10年以上前に、息子と小川でタナゴを捕まえたことをきっかけに、タナゴの飼育を始めました。子供はいつものように途中で面倒を見なくなり、以後は、私が我家のタナゴ担当となりました。

日本の四季は変化に富んでいます。都心でタナゴが生きてい生態系を維持することは、非常に難しく、暑い夏や厳しい冬を乗り越えられないタナゴが何匹もいました。また、子供の頃、千葉の小川には、タナゴが捨てるほどいました。小学校の帰りに、近所の悪ガキと一緒になって、ドジョウ、フナ、タナゴをとったことを思い出します。タナゴは、トンボ、蝉などと同じく、子供の頃の大切な登場人物なのです。でも、昔遊んだ小川は、コンクリートの川に代わり、農薬汚染も加わって、二枚貝(ドブガイ、イシガイ等)が死滅してしまったため、タナゴは子孫を残すことが出来なくなってしまいました。かろじて生き残ったタナゴも、繁殖力旺盛な外来魚に駆逐され、あれほどいたタナゴは、現在では、一部地域を除き、壊滅状態になっています。滅び行くタナゴの話を聞くと、あたかも、学んだ小学校が取り壊され、或いは、子供の頃の懐かしい写真が捨てられてしまったような、とても哀しく寂しい気持ちになります。

今の環境破壊がこのまま進めば、アラスカの氷山と同じく遅かれ早かれタナゴも消滅してしまう運命にあります。早くタナゴが生き残れる環境が復元することを願っています。その時は、生態系を壊さないように注意して、増やしたタナゴをふるさとの小川に戻してやる予定です。

 

崩壊するアラスカの氷山(2005年訪問)

 

以上、参考程度に考えて下さい。


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