荻伏共同育成場日誌

北海道浦河町にある競走馬育成牧場・荻伏共同育成場の場長が日々の風景をお届けする徒然日誌。

『東京優駿』の結果分析

2016-05-29 17:48:14 | 競馬
 群雄割拠、史上最高のメンバーが集結したと戦前から前評判が高かった第83回『東京優駿』(G1・東京芝2400m)。1番人気はハイレベルな『皐月賞』を圧巻の末脚で制したディーマジェスティで3.5倍。2番人気は『皐月賞』では一敗地に塗れたものの自在性が魅力のサトノダイヤモンドで3.8倍。3番人気は『皐月賞』を最速の上がりで追い込み2着になったマカヒキで4.0倍。4番人気は折り合いに不安はあるものの能力の高さは疑いようもない2歳王者リオンディーズで5.5倍。10倍以下はここまでで以下『毎日胚』『京都新聞杯』と重賞連勝中のスマートオーディン、『青葉賞』快勝のヴァンキッシュラン、強敵相手に負け続けているものの名手・武豊騎手を背に逆転を狙うエアスピネルと続きました。

 レースでは大方の予想通りマイネルハニーが単騎逃げ。有力どころではエアスピネルが5番手で、それを見る形でサトノダイヤモンド、マカヒキ、ディーマジェスティがひとかたまり。リオンディーズは1コーナーまでに頸を上げてかかりなだめるために後方2番手から。1000m通過は1.00.0ジャストの平均ペース。息を入れるためにペースが落ちるとアグネスフォルテがかかり先頭に並びかけたため再びペースが上がります。4コーナーを回り直線に入るとエアスピネルが早めに先頭に並びかけるものの外からサトノダイヤモンドが交わしにかかります。その2頭が壁になってマカヒキは出れず、ディーマジェスティは外に持ち出し、リオンディーズは真ん中をつきます。サトノダイヤモンドがわずかに膨らんだところをマカヒキが間を割って入り、残り100mでエアスピネルは力尽きます。外に膨らんだサトノダイヤモンドのあおりを受けディーマジェスティは大外へ。サトノダイヤモンドとマカヒキの激しい追い比べにディーマジェスティが強襲するものの届きません。2頭は鼻面を合わせたまま決勝線。写真判定の結果マカヒキがハナだけ競り勝っていました。勝ち時計は2.24.0。今週からCコース使用で外差しが全く決まらないレースが続いており川田騎手はこれまでのマカヒキの戦法である大外強襲をやめ馬群を割る戦法を選択しました。前が壁になった時は肝を冷やしましたが落ち着いて捌いたファインプレーでもあり、それに答えた馬のすごさでもあります。『凱旋門賞』に挑戦するというプランもあるようで今後がますます楽しみです。最後は屈したもののサトノダイヤモンドも力をあるところを見せました。レースが上手でルメール騎手も完ぺきな騎乗でしたが本当に惜しいなレースでした。3着のディーマジェスティは逆に伸びない大外で伸びてきてまさに負けて強しの内容でした。4着エアスピネルはこれもまた武豊騎手が素晴らしい騎乗を見せてくれましたが決め手と距離適性の差が出た感じです。5着リオンディーズは外の方の枠(12番)を引いた時点で前が壁にできずかかるのではないかという不安が的中。ある意味1コーナーで勝負が決した印象で能力は高いもののあれだけかかると位置取りを下げるか逃げるかしかなくなり、追い込んできたものの届く気配はありませんでした。

 勝ったマカヒキは父ディープインパクト、母ウィキウィキ、母の父フレンチデピュティ、全姉に『京都牝馬S』など重賞2勝のウリウリがいるという血統。安平町ノーザンファームの生産馬で馬主は金子真人ホールディングス。

 それにしても着順こそ違えど掲示板に乗った馬は『皐月賞』と全く同じという結果。ハイレベルなメンバーが見せたハイレベルなダービーを堪能できました。路線は分かれるかもしれませんが、秋もハイレベルな戦いを見せてほしいですね。

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