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ERA検査 : 着床のタイミング

明けましておめでとうございます
皆様におかれましては、つつがなく新しい年をお迎えのこととお慶び申し上げます

さて、2018年1月より新しい検査、ERA検査(子宮内膜着床能検査 : Endometrial Receptivity Analysis)が始まります イーアールエーやエラといいます。

この検査のお話をする前に、【着床】についてご説明いたします。
子宮内に移植された受精卵は、胚盤胞になった時点で透明帯(卵子の殻)から出てきて孵化をします。孵化をした受精卵は、将来胎児になる細胞の塊(内部細胞塊、ICM)から子宮内膜に潜り込むようにして入っていきます。受精卵がすべて子宮内膜の中に入ったら、胎盤がつくられ、妊娠したときに出てくるホルモン(hCG)を分泌します。この一連の流れを着床といいます。妊娠が成立するには、受精卵が子宮内膜に着床することが必要です。

ところで、着床はいつでもできる訳ではありません。受精卵が着床する時期が決まっているのは、ご存知ですか?子宮の内膜には着床窓(implantation window)という、受精卵を受け入れる時期があります。子宮内膜が窓を開けて、受精卵においでおいでをしているイメージです。この窓が開く時期が決まっていて、その時期以外は閉じられているため、着床することができません。一般的に、排卵日(採卵日、黄体補充開始日)から5-7日目に、着床窓が開いていると考えられています。
ですが、この着床窓が開いている時期が個人によって違う可能性があるということが最近の研究で分かってきました。通常は排卵日から5日目であるのに対し、1日早かったり1日遅かったりとズレている人が約30%(54ヵ国、600以上の施設、25,000例以上のデータ)いらっしゃるそうです。

良い受精卵を何回移植しても、なかなか妊娠できない原因の1つに、着床窓が開いている時期がズレているということがひょっとしたらあるのかもしれません


その着床窓が開いている時期を特定することができるのがERA検査です


具体的な検査の手順は、
 月経開始後からホルモン補充を行います(凍結胚移植の周期と同じ方法または自然周期)
 仮想排卵日を特定し、黄体補充を開始します
 黄体補充開始日を0日目として、5日目に子宮内膜を生検します(麻酔なし)
検体を日本の代理店経由でスペインに送ります
 2-3週間後に検査結果が送られてきます
 早ければ、次周期の特定された着床時期に胚移植を行います

検査を行う上での注意点は、
 着床に関する236個の遺伝子の働き方を調べるもので、遺伝子の異常を調べる検査ではない
 検査を行う周期は胚移植ができない、避妊が必要
 着床時期がズレている場合は再検査や再々検査が必要
 検査結果は英語で返ってくる(医師が説明します)

検査の適応は、良好な受精卵を移植しているのに妊娠に至らない反復着床不全の患者様が対象となりますが、当院では希望されたすべての患者様に検査を受けていただくことができます。胚移植には胚盤胞移植を推奨しますが、初期胚でも日にちをずらして移植することは可能です。

検査についてご質問がございましたら、医師・胚培養士にお尋ねください




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