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体外受精(通常媒精)について


みなさま、こんにちは

今回のラボ通信は『体外受精(通常媒精)』についてお話させて頂きます。

体外受精とは、体の外に卵子を採り出し、体の外で卵子と精子を受精させる治療方法です。

受精方法は2通りあります
 ●卵子に精子をふりかける方法通常媒精法
  (これがいわゆる体外受精です)
 
 ●卵子に精子を針を刺して入れる方法顕微授精法


体外受精は英語で『In vitro fertilization』といい、略して『IVF』とも言われます。体外受精は色々な言葉で表されて少しややこしいので、このブログでは『通常媒精(つうじょうばいせい)』と表記させていただきます

さて、自然(または人工授精)での妊娠の場合、排卵された卵子は卵管の中に取り込まれ、卵管の中で精子と出会って受精が起こります。通常媒精では、これを体の外で再現しただけなので、より自然に近い受精方法になっています。

具体的な方法は、『卵子1個につき、元気に動いている精子を約10万個ふりかける』だけです。


上の写真では、まさにふりかけているところを写したものです。写真の真ん中にある白いもやっとしたものが、卵子の周りにある細胞(顆粒膜細胞)です。その中にある黒い点が卵子です。右にあるピペットの中には調整した精子が入っており、顆粒膜細胞にまんべんなくふりかけます。


上の写真では、右端にある丸いものが卵子、その周りが顆粒膜細胞、左端にある黒い点々(見えにくいですが)が精子です。あとは精子が頭の中にある酵素で、顆粒膜細胞同士の結合を溶かしながら卵子に近づいていき、運の良い精子が卵子の中に入って受精が起こります。

その後、3~5時間卵子と精子を一緒に培養すると、下の写真のような状態になります。真ん中の丸いものが卵子、そのまわりには結合がほどけてバラバラになった顆粒膜細胞が散らばっています。顆粒膜細胞をキレイに取り除いて、新しい培養液の中にいれて、翌日受精しているかを確認します。



以上が『体外受精(通常媒精)』に関するお話でした
ご意見・ご質問等がございましたら、胚培養士までお声かけください
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