今回は、顕微授精の『IMSI(イムジー)』についてお話させて頂きます
ラボ通信#10では通常の顕微授精(ICSI:イクシー)についてお話させて頂きました。
今回のIMSIは何が違うのでしょう
IMSIはIntracytoplasmic Morphologically Selected Sperm Injectionを略したものです。高倍率で精子の形態を詳しく観察・選別を行い、顕微授精する方法です。精子を選ぶところ以外はICSIと同じです。
通常のICSIでは、下の写真のように200-400倍の倍率で精子を選別しています。しかし、この倍率では精子の形を観察するには限界があります。
IMSIでは1000倍の高倍率で観察を行い、精子の形態、特に頭部に空胞(穴が開いている状態または凹んでいる状態)がないかを確認することが可能です。
観察の方法は、まず低い倍率で元気に動いている精子を選びます。下の写真のように針で精子のしっぽを培養皿に擦りつけて動きを止めます。その後、倍率を高くして精子の頭部と頸部(くび)を詳しく観察していきます
下の写真の精子は、頭部中央に空胞がみられます。大きな空胞があると、精子の質が悪いと考えられています。また、頸部は太過ぎていないか、おたまじゃくしの形になる際に残ってしまった細胞の残骸がないかを確認しています。詳しくは『クルーガー検査』の記事をご覧ください。
下の写真は正常形態の写真です。こんなにキレイな精子がすぐ見つかれば、IMSIは卵子1個あたり3分程度で終わります
ですが、実際は頭部が大き過ぎたり、小さ過ぎたり、形がいびつだったり・・・空胞の有無以前に、キレイな形の精子を見つけるのにかなり時間がかかってしまいます。クルーガー検査の値が4.0%以下の場合は当日の精液所見によりますが、卵子1個あたり10-15分程度かかってしまいます
形のキレイな精子を選んだ後は、卵子の中に注入して、顕微授精終了です。
以上が、顕微授精(IMSI)に関するお話でした
当院では、顕微授精を実施する全症例に、このIMSIを適応させて頂いております。ご質問がございましたら、胚培養士にお声かけください。
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