三島由紀夫:檄文。(抜粋)

2007-04-25 | 人物


沖縄返還とは何か? 本土の防衛責任とは何か?
 アメリカは真の日本の自主的軍隊が日本の国土を守ることを喜ばないのは自明である。

あと二年のうちに自主性を回復せねば、左派のいふ如く、
自衛隊は永遠にアメリカの傭兵として終わるであらう。

 われわれは四年待つた。最後の一年は熱烈に待つた。もう待てぬ。
自ら冒涜する者を待つわけには行かぬ。
 しかしあと三十分、最後の三十分待たう。
 共に起つて義のために共に死ぬのだ。

 日本を日本の真姿に戻して、そこで死ぬのだ。
生命尊重のみで、魂は死んでもよいのか。生命以上の価値なくして何の軍隊だ。
今こそわれわれは生命尊重以上の価値の所在を諸君の目に見せてやる。
それは自由でも民主主義でもない。日本だ。われわれの愛する歴史と伝統の国、日本だ。
これを骨抜きにしてしまつた憲法に体をぶつけて死ぬ奴はゐないのか。

 もしゐれば、今からでも共に起ち、共に死なう。
われわれは至純の魂を持つ諸君が、
一個の男子、真の武士として蘇へることを熱望するあまり、
この挙に出たのである。
三島由紀夫研究会