「中学校でのバスケットがあと1ヶ月あまりで終わるかもしれないというのに、その、いいかげんなプレイでいいのか?」
今日のテスト明けの練習での第一声でした。
そして、紘子の話をしました。
紘子は、たくさんの子供達と関わってきたなかで、ただひとり、天国にいった子です。
紘子が亡くなって5年になろうとしています。
高校2年の時に病気が見つかり、入退院をくりかえしながら、保育士になろうと、一生懸命病魔と闘いながら、勉強していた彼女。
病気と闘っていた時、2度彼女と遭遇しました。
1度目は、近所のコンビ二で。
おばあちゃんに赤ちゃんのようにだだをこねている彼女。しかし、自分がいると気付くと顔を覆うように立ち去った彼女。
2度目は、日赤病院のエントランスで。
何度も何度も自分に会釈する彼女。
彼女には、ほんとうに申し訳ないことをしたのは、紘子と気付くのに遅れ、2回とも言葉をかけるどころか、反応すら、できなかったこと。
ほんとうに悔やまれてなりません。
「紘子ごめんな。紘子の成人式の着物姿の写真は、大切にかざってあります。」
死を予感していたかどうかは、さだかではないけれど、最後のさいごまで、夢に向かって生き抜いたすばらしいそんな先輩がいたことを、彼ら、彼女らに伝えました。
夢に向かって、残り少ない(このコートでの、このゴールと、このボールとの、そして、この仲間達との)時間を大切に、そして一生懸命丁寧にと。