別れの朝

日本から帰った日のこと。直行便は、早朝（AM4:35）にPNG首都ポートモレスビーのジャクソン空港に着きました。まだ周囲は暗く、空港周辺は治安が悪いので、明るくなるまで空港内で待機した方が安全です。到着ロビーと出発ロビーは同じ建物内にあるのですが、到着側には座る場所がなかったので、えっちらおっちら荷物を運び、出発ロビーで時間をつぶすことにしました。

出国審査前ロビーでは、AM6:40発のオーストラリア・ブリスベン行きの飛行機に乗る人と、その見送りの人が待っていました。出発時刻30分くらい前になると、チケットを持った人しか入れない荷物検査の場所で、行く人、見送る人が別れを惜しみ、抱き合い、涙しています。ただの旅行ではなく、進学や就職などで長期間この国を離れるのでしょう。顔が似ているので、家族が多かったように思います。男性は感情をぐっと押さえ、言葉少なに、女性（特に母親と思われる人）はハンカチを握りしめ、涙をぬぐいながら見送っていたのが印象的でした。その光景を見ていただけで、もらい泣きしそうでした。

さて、周辺も明るくなってきたので、タクシーに乗ってタウンへ向かおうとした時です。先ほど涙の別れをした人たちが、三々五々、空港の外の飛行機の見える場所で、飛行機が飛び立つのを見届けようと、芝生に腰を掛けているではありませんか。きっとそれぞれ、旅立つ人の無事を祈りながら、飛行機を見送るんでしょうね。機上の人は、家族がこんなところで見送っていることを知っているのかな。ひょんなことで厚い家族愛に触れ、胸がジーンとした朝でした。