On The Road

小説『On The Road』と、作者と、読者のページです。はじめての方は、「小説の先頭へGO!」からどうぞ。

5-43

2010-03-05 19:32:37 | OnTheRoad第5章
 妊娠中のアネキとユリナちゃんはジュース、僕たちはビールでカンパイした。ヨシユキさんは気持ちよさそうに酔っていて、山梨にいる両親やお兄さんのことをしきりに話した。
ヨシユキさんは「生まれたときからずっと弟だったから、お兄さんと呼ばれたのはじめてで」とお父さんたちに、「コージ君、私こそありがとう」と僕に言った。僕も生まれつき弟だから、お兄さんと呼ばれる気持ちはわからない。

 ユリナちゃんがアネキのお腹にいることがわかったときはこんなになごやかなムードじゃなかったのに、同じシチュエーションでみんながうれしそうで、あのときブツギをかもしていたユリナちゃんが一番うれしそうで不思議な気がした。

 ユリナちゃんに「弟と妹とどっちがほしい?」と聞いたら、「赤ちゃんもまだ決めてないのにユリナが決めちゃいけないんだよ」と言われた。「どっちかって言ったら、ちがったときかわいそうでしょ」

 まだ3歳だけど、ユリナちゃんはすごい。そんなユリナちゃんを育てたアネキたちもすごいと僕はカンドーした。お腹のなかの赤ちゃんは男だからとか女だからなんて考えてないし、スポーツの得意な子になるか本が好きな子になるかもわからない。きっとどっちでもいいんだ。

 レリビー、赤ちゃん、とつぶやいて僕はビール1杯で部屋に引き上げた。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。