私は自分の作品を願わくば多くの人に愛されながらお使いいただきたいと願いながら作っている。
でもただひとつ、自分の為にしか焼かないシリーズが有る。つまり非売品。
”ジュピター” と名付けたシリーズを私は自分の為だけに作り続けている。
昔、一人の女性がわざわざこれを見る為に海を越えてやって来て下さった事が有る。
非売品である事をくどくど説明したけれど「構いません」と。
その女性は4時間の間この焼き物の前に黙って座り続けていた。
「何か見えますか?」私は尋ねた。
その女性の答えは思いもかけないものだったけれど、その答えが気に入ってしまった。
帰って行く彼女に、遠くから尋ねて下さったお礼とともに、
「重いですよ」と言いながら、私は中でも一番好きな物を選んで手渡した。
そんな例外は数える程しか無くて、それさえもお金を頂いた事は一度もない。
大した作家でもないのに何故そんな生意気な事をするかと言えば、
この焼き物は私の土への祈りそのもので、他の誰の為にも作れないからだ。
器を作る時には使って下さる方のことをひたすら思いながら作るのが礼儀。
でもこの焼き物は違う。
この焼き物に込められた本当の意味は、私にしか解らないし、
それは私以外の誰にとっても何の意味も無い。
私は生涯このシリーズを焼き続けるつもりで、非売品である事も生涯変わらない。
思う所有って、私はこの焼き物を4年間封印して来た。
その封印を今年の終わり頃解こうと思っている。
楽しみでもあり、恐ろしくもある。
今の自分が見えるはずだ。
Are You Ready ?