ピッピッピッ――と無人レジで大量の商品を何度もスキャンしていく草陰草案達。小さな物を大量に持ってきて、それはお菓子だったり消しゴムだったり……後は水とかもある。なんんでこんな悠長な事をやってるかというと――
「背に腹は代えられないな」
「それで本当に大丈夫なんですか?」
「支払いはこれで!」
「いやいやここは大人に任せるがよい」
「でも、俺達かなり稼いでますから! それに今だってほら!」
そう言って東海道馬脚がスマホを見せてくれる。てか大人の中でも一番お金を持ってなさそうな猩々坊主がそれを言って……でもある。今まさに彼らのチャンネル『ジパング魔法学園』には大量のスパチャ(スーパーチャット)と呼ばれる投げ銭が大量の視聴者から送られてる。それは数百円から高いのは数万円もある。
「なるほど、我々は期待されてると」
猩々坊主は機械なんて触りません――みたいな雰囲気を出してるが、実はそこそこちゃんと機械も使いこなす現代の坊主である。スマホも勿論持ってる。それでアンゴラ氏たちとは繋がった訳だし。
だからちゃんと東海道馬脚がなんで自分たちのチャンネルを見せてくれたのか……その理由も瞬時に理解したのだろう。
「金は心配なさそうだな」
「でも皆さんのお金ですからね。無駄にはできないってことですよ」
「任せろ」
そう言って大量に買ったものを袋に入れて外に……と思ったら既に外にはまだ草陰草案たちが正気なのが分かってるのか、おかしくなった人たちが集まってた。
「アンゴラ氏!」
そんな風にミカン氏が怯えながら叫ぶ。アンゴラ氏はさっき買った小粒なチョコの袋を開けた。そしてそれを一掴みすると念じる。そして合図を共に電源を切ってた自動ドアを手動であけた。
ここには既に人はいなくなってたけど、荒らされた形跡とかはなかったのだ。ここで働いてた人はどこにいったのだろうか? 疑問が湧いたが、草陰草案達もそれどころではなかったから気にしなかった。
そして手動で開けたドアから倒れ込むようにしておかしくなった人たちがなだれ込んでくる。その時にアンゴラ氏が握ってたチョコを投げつけると、これまでの小石と同じようにバチッと音がして前方の人が倒れていく。けどたくさんいる。
とりあえずアンゴラ氏には投げる事に専念してもらう。なので猩々坊主に今度はボトルタイプのガムをあけてもらって大量に渡した。そうやって草陰草案たちはなんとか駅構内の奥へと進んでいく。