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裾貧乏(すそびんぼう)だった家康
写真㊤:日光東照宮
日光東照宮は、元和3年 (1617)徳川家康公を奉祀し創建された神社
裾貧乏としては、歴史上家康がとくに有名だ。
我が国の支配階級のうち、とくに武家は全員上から下まで裾貧乏だった。
家康だけが裾貧乏だったわけではない。ただ飛び抜けていただけだ。
ところで、裾貧乏とは近頃あまり耳にしない言葉だ。しかし昔はよく使われた言葉である。 広辞苑によれば……
【裾貧乏】 すそびんぼう: 性欲の強いこと。好色なこと。また、その人。浄瑠璃、新版歌祭文「裾貧乏のはった行き過ぎ丁稚め」
……とある。(下記 ★参考 を参照)
しかし、家康時代の【裾貧乏】の持つ意味を現代の基準で判断すると大きな間違いを起こす。
遠く戦国時代以前から、武家が生存競争に勝つには裾貧乏でなくてはならなかったのだ。
武家の場合、家を継ぐのは男子に限られていた。男子が絶えれば、家も絶えてしまう。養子を娶(めと)ってでも、お家の継続を図るという日本独特の制度だ。 裾貧乏の第一の理由である。
それだけでなく、子供は多ければ多いほど良かった。男子でも女子でも、政略の道具として他家へ養子や嫁にやり、お家の安泰を図らねばならなかったのだ。 裾貧乏の第二の理由だ。
裾貧乏は生存競争のためとはいえ、現代の常識では理解しがたいものがある。しかし……
徳川の三百年近い政権安泰も、元はといえば、家康の裾貧乏のおかげである。
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★参考 (広辞苑)
【裾張り】 すそばり: 性欲の強いこと。また、その人。多く女性にいう。すそっぱり。吉原徒然草「女房をうまく拵え、裾張りなる者引こみ」
【裾分限】 すそぶげん:精力の強いこと。また、その人。多く男性にいう。強蔵(つよぞう)
06.11.23