ふうたんがいて、ノワちゃんがいて

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冬の鷹(吉村昭) その2

2011-08-31 | 

Yさん、福井はいかがでしたか?

小浜藩の台場跡に行きましたか?

さて、いよいよ、小浜藩医の杉田玄白が登場します。

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 良澤の会得したオランダ語は、青木昆陽の「和蘭文字略考」におさめられた700語と、長崎でオランダ通詞から

習い覚えた300語がすべてであった。

彼は、1日5語を覚えることを自らに課し、外出の路上でも厠の中でも、単語を記した紙を手にして、脳にきざみつけることに努めた。

 

 明和8年3月4日、杉田玄白に誘われて、骨ケ原刑場での刑死人の腑分けを見る機会を得た。

良澤がターヘル・アナトミアを風呂敷に包んで持っていくと、奇遇にも、玄白もターヘル・アナトミアを持参してきていた。

さて、腑分けが始まったが、刑死人の身体の内部はターヘル・アナトミアの解剖図とまったく同一であった。中国から伝わって流布していた

五臓六腑説の解剖図とは全然違っていたのである。

 その帰り道、良澤、玄白、中川淳庵は興奮のあまり無言で歩き続けた。

不意に玄白が足を止めて、『ターヘル・アナトミアを翻訳してはいかがか」と言った。良澤も淳庵ももちろん同じ気持ちで、何度もうなずき、

早速明日から良澤の家で、翻訳を始めることにしたのであった。

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