いするぎ便り

歴史を求めて季節を感じて…
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能 「巴」

2012-11-22 | 旅行

 


能楽鑑賞会(2012.12.1  in  クロスランドおやべ)で演目予定の「巴」は

木曽義仲と幼い頃からともに育ち、挙兵から上洛まで常に義仲に従い戦った女武将「巴御前」を題材にしています。

 

「巴」あらすじ

 木曽の僧が、京への旅の途中の近江の粟津が原の祭礼で涙を流しながら参拝している女に出会います。

不思議に思った僧がそのわけを尋ねると、女は、ここに祀られているは木曽義仲であると答え、僧に供養を頼み、自分は亡者だと告げ夕暮れの草陰に姿を消します。

近くに住む村人に、義仲と巴のことを聞いた僧が夜どうし、読経をあげていると、長刀に甲冑姿の巴が再び現れ、

巴は、女であるという理由で、義仲から、最期を一緒にむかえることを許されなかった無念を訴え、かつての戦から最後の戦いまでを語りはじめます。

 

礪波山や倶利伽羅志保の合戦に於いても。

分補功名のその数。

草の露霜と消え給ふ。

(倶利伽羅峠の戦いにおいてもだれも先をこされなかったが、木曽殿の運はつき、草の露と消えてしまわれた。)

 

今はこれまでなりと。立ち帰り我が君を。見たてまつればいたはしや。はや御自害候ひて。

根に伏し給ひ御枕のほどに御小袖。肌の守を置き給ふを。

巴泣く泣く賜はりて。死骸に御暇申しつゝ。

行けども悲しや行きやらぬ。君の名残を如何にせん。

梨打烏帽子同じく。かしこに脱ぎ捨て。御小袖を引きかづき。

その際までの佩添への。小太刀を衣に引き隠し。処はこゝぞ近江なる。

信楽笠を木曽の里に。涙と巴はたヾひとり落ち行きしうしろめたさの執心を弔ひてたび給へ。執心を弔ひてたび給へ

(形見の小袖を着て太刀を持ち、木曽まで落ちのびた。その後ろめたい執心をお弔い下さませ。お弔い下さいませ。)

 

静寂と幽玄、巴の哀切な心情が感涙を誘うそうです。


 

語りべとしての

 

 「源平盛衰記」伝巻弟三十五「巴関東下向事」には

「巴は泣々越中に超え、石黒は親しければ、此にして出家して巴の尼とて、仏に花香を奉り、主・親・朝比奈が後世弔いいけるが九十一まで待ちて、臨終目出たくして終わりにけるとぞ」との記述があります。

 

巴のものであるとされる庵や墓などの伝承地は北陸街道沿いに多いそうです。

巴が、かつて義仲に味方した北陸の部将たちに倶利伽羅合戦の様子を、供養の為に語って聞かせていたのでしょうか。

 

「まぼろしよ夢よと変わる世の中になど涙しもつきせざるらん」

巴の辞世の歌と伝えられています。

 

 

源平ライン入口付近にある「巴塚」「葵塚」

巴御前・葵<義仲と共に戦った女武将>

 

様々な巴伝説の一つに

巴が曹洞宗の開祖道元の母であるとの説が・・・

浄土真宗の盛んな北陸では、親鸞を心の支えにしていたとの説も・・・

 


いするぎ寺子屋 vol.5 

2012-11-12 | 日記

11月9日に開催された「いするぎ寺子屋vol.5」は満員御礼にて無事終了しました。

天侯の悪い中、お越し下さった皆様、本当にありがとうございました。

真中にある楽器は久乗編鐘。

仏具のおりんに音階をつけて中国古代楽器「編鐘」を現代風に復元したものです。

 

蝋燭がつけられ、電灯は全てOFF。

学校チャイム(おりん)が鳴らされて開演です。

 


 

1部

朗読「計略」    林恒宏

「無伴奏チェロ組曲第一番プレリュード」<バッハ>    永瀬拓輝

 

太田さんの軽妙なMCで、現在、放送中の林さん出演のTVのCMの紹介がありました。

聞き覚えのある生声に、思わず、あちらこちらから「あ~ あ~」 の声が・・・

続いて、バロックチェロの紹介。

バロックチェロには楽器を支えるエンド・ピンがないので両足で支えなければいけないそうで、これがなかな大変との事。

そして次の演奏曲「11のカプリスより第8番」の楽曲について、

この曲は、丁度、称名寺が現在の地に移転したころに作られ、その後、1900年代には 演奏されず、行方不明だった楽譜が発見されたのがつい2、3年前だそうです。

 「そして2012年、小矢部市の称名寺でこの曲をバロックチェロで聴くことができるんです!」 by 太田さん

 

「11のカプスより第8番」<ダッラーバコ>    永瀬拓輝

「おりん」独奏    太田豊

 

JR高岡駅の発車メロディー(おりん演奏)は太田さん作曲(驚)によるもの。生演奏のサービスがありました。

 

催馬楽「席田(むしろだ)」    太田豊

 

    


 

2部

朗読×おりん×バロックチェロ

「耳なし芳一」<ラフカディオ・ハーン>

 

 

 老若男女、約180人もの人々は、ゆらめく蝋燭の灯りだけのこの本堂で物音ひとつ立てずに朗読に聞き入っています。

鬼気迫る語りと琵琶やバロックチェロの音色に、次第に暗闇の向こう側に引き込まれていくようです。

 

「平家物語」や倶利伽羅合戦を伝える「源平盛衰記」はお寺に集まった人々を前に琵琶法師が語って聞かせたのが始まりだといわれています。

平家の悪霊にとりつかれた耳なし芳一もまた、平家一族の鎮魂と供養のため、琵琶を弾きながら物語を語り継ぐ盲僧でした。(あるいは、痛手を負った兵僧だったのか・・・)

 

ちょうどこの夜のように、人々は琵琶法師によって語られる「源平の戦い」に、夢中に聞き入り、そしてその無常に涙したのでしょうか。

静寂の中に余韻を感じた深秋の夜でした。

 

 

 

 


いするぎ寺子屋vol.5 駐車場のお知らせ

2012-11-08 | 旅行

いするぎ寺子屋vol.5 の開催がいよいよ明日、11月9日(金)19:00~ご住職お話 19:30~開演 になりました。

いするぎ寺子屋Vol.5

いするぎ寺子屋vol.5<朗読コンサート 小泉八雲「耳なし芳一」>

 

 

 

当日の駐車場は小矢部市役所の駐車場をご利用下さい。

夜間は冷え込みます。暖かくしてお越し下さい。


 

称名寺 真宗大谷派

「開基は有栖川栄仁親王の後胤房近で、蓮如上人に帰依して法名了祐を賜わり、明応2年(1493)市内芹川に創建し、寛永年中(1624~1643)に現在地に移転した。」<ふるさとガイド小矢部より>