宮柊二は、戦後になっても、
必ずしも幸福にはなれなかった。
戦争での体験から、素直な悲しみや喜びにひたることができなかったのだ。
その一端として、
旧約聖書を題材とする作品がある。
詩編第80章を意識している。
古代イスラエルの教典からとり、日本の再生を願ったものといわれる。
……
なんぢ葡萄の樹をエヂプトより携え出しもろもろの国人を逐ひ退けてこれを植えたまゑり
汝その前に地を設け給へしかば深く根差して国に蔓れり
その影はもろもろの山を庇ひその枝は神の香柏の如くにてありき
その樹は枝を海にまでのべ其若枝を河にまで延べたり
汝いかなれば其垣を崩して路ゆく凡の人に摘み取らせたまふや
……
(詩編第80章)
イスラエルを養う方
ヨセフを羊の群れのように導かれる方よ
御耳を傾けてください
ケルビムの上に座し、顕現してください
エフライム、ベニヤミン、マナセの前に。
目覚めてみ力を振るい
わたしたちを救うために来てください。
神よ、わたしたちを連れ帰り
み顔の光を輝かせ
わたしたちをお救いください。
(以下略)
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