福島泰樹。
昭和18年東京生まれ。「月光の会」主宰。
歌集「バリケード・1966年4月」「茫漠山日誌」など。
福島泰樹は、学生として、60年代の学生運動にかかわった。
その経験から、多くの短歌を紡ぎ出した。
……
一隊をみおろす 夜の構内に3000の髪そよぎてやまず
60年代学生運動のさなか、指導者として、バリケードを築き、体制に抗した。
校舎の上に立てば、眼下には「構内」を埋め尽くした同志たちの「3000の髪」がそよいでいる。「髪」といえば、普通は、「美」や「やわらかさ」を表すが、ここでは「たたかい」や「意志」を象徴している。夜の中の髪、黒の中の黒、そこに青春の高揚と不穏な詩情があふれている。
………
その日からきみみあたらぬ仏文の 二月の花といえいヒヤシンス
学生運動の旗頭で会った作者に、同志がいた。ところが、いつもは講義に出るのに、今日もその姿が見えない。恋心とも詩情ともつかぬ思いが、頭をよぎる。
……
二日酔いの無念極まるぼくのためもっと電車よ まじめに走れ
激しい戦いの中で、傷つき、疲れている。そのような中でも、ユーモラスな感慨がわいてくる。何も感じてくれない電車にやつあたりしているのだが、いくら騒いでも、暖簾に腕押し、の当局へのいら立ちを言いたいのかもしれない。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます