唐衣きつつなれにしつましあればはるばるきぬる旅をしぞおもふ
分かち書きすると、
唐衣
きつつなれにし
つましあれ
ば はるばるきぬる
たびをしぞおもふ
古今集に採られた歌だが、
伊勢物語第9段に出てくるので有名である。
当時の短歌手法を、ふんだんに使っている。
各行の先頭を並べると「かきつばた」になるという趣向である。
「唐衣」は「着る」の枕言葉である。
「唐ころもきつつなれにし」は、
「つま」を引き出す序言葉になっている。
さらに「つま」は着物の「褄」(裾の端の部分)と
「つま」を掛けた掛け言葉である。
同様に、
「つま」は、着物の「褄」(裾の端の部分)と「妻」をかけた掛け言葉である。
同様に、「なれ」は「馴れ」の、
「はるばる」は「張る張る」と「遙々」の,掛け言葉である。
さらに「唐衣」「着つつ」「熟れ」「張る」が着物にかかわる
「縁語」である。
そして、2つのことを、
同時に歌っている。
<衣を着古したので裾を張って整えている>
<慣れ親しんだ妻をおいて出てきてしまったこの旅が悲しく思われる>
これだけ手が込んでいるのが、
当時の貴族たちには、戦いの手段として、極めて重要であった。
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