でも、私の本当の目的は、ここ、龍山寺に行くためでした。

三十二年前、私はここ龍山寺へ行ったことがありました。
まだ若くて、OLをしていました。
その頃の私は、人生に何の目的も見出せず、
かと言って、何をしたらいいのかも分からずに、
五里霧中の状態でした。
そんな時に、映画館で、「カンフー・キッド」という映画を観たのです。
単純に子ども達がカンフーで悪い大人をやっつけるというお話なんですが・・・
その単純明快さに、頭の中で、ごちゃごちゃ考えていた私は、
やられてしまったんですね。
ああ、そっか…人生これでいいんだ。
何も難しく考える事はないんだと。
それから、毎日仕事が終わってから観に行って、
すっかり彼らの虜になった私は、
これが台湾映画だと知り、
友達を誘って、初めての海外旅行、台湾へ行ったのでした。
ろくに国内旅行だってしたことなかったのに・・・。
それはガイドさんが、びっちりついた二泊三日の旅でしたが、
その時に連れていかれたのが、この龍山寺だったのです。
とても静かなお寺で、門の側に平皿盛ったお花を売るおばさん達の姿しかなかったのですが、
ここで願い事をすれば何でも叶うとガイドさんに言われて、
真剣な面持ちで願いごとをしたのです。
私が最初に願ったことは、
その頃、すっかり台湾に夢中だったので、
私はここに住みたい!
住んでもいいですか?
という事でした。
願いごとを心の中でして、
そうして、丸い木を二つに割った物を、
地面に投げると、
同じ面が出たら、その願いごとは叶うのですが、
残念なことに私は、裏と表でした。
ちょっとがっかりしながら、
じゃあ、もう一度台湾に来たい!
ここ龍安寺に来てもいいですか?
と聞くと、今度はイエスでした。
なぜここへ来たかったかと言うと、
おみくじを引いたらば、
私は物凄い吉兆運だと出て、
それで私の沈んでいた気持ちが一気に復活したからです。
お寺の神様に励まされた気がして、もう一度、
今度は成功したら、お礼に伺います、
と思ったのです。
けれど、何十年経っても、成功する兆しは見えず、
でも、今回別居をしたついでに、節目の意味で、
台湾へお礼に行って来ようと思いました。
しかし、今回行って、がっかりしました。
写真は、まだ人が映っていない中門ですが、
外側はなんと、電飾掲示板が掲げられ、
思いっきり、ちかちかと、
「歓迎光臨」という文字が動いているではないですか!?
(うへ~…下品)
そして、中へ入ると、人、人、人・・・。
足の踏み場もないくらいです。
完全に観光地化しておりました。
だから、神様とゆっくり対話する、なんて雰囲気があろうはずもなく、
仕方なく、線香をあげて(一本は無料だった…)、
「約束通り、お礼に伺いましたよ。
有難うございました」
とだけ言いました。
でもそうすると、
その頃の辛かった思い、これからどうしようという
不安な気持ち…そんな思いが甦ってきて、
少し目頭が熱くなりました。
思えば、今の私は、あの頃と同じ。
不安なままで、この寺へやってきたのです。
癒されようと思って・・・。
でも、これはもう自分でやれよ、という事なんだと思いました。
32年経って、今の自分はあの頃の小娘ではない、
自分の足で充分立って行けるだけの力があるおばさんなんだ、
だから、何かに頼る必要などどこにもないんだと、
思いました。
(だから、あんなに俗化していたのか・・・?)
私の聖域は、私なんだ、
とそう思いました。
龍山寺にはお世話になったので、必ず禊には行かなければならなかったのですが、
それももう終わりました。
約束は果たしました。
さあ、これから私も新たな出発です。
気持ちも新たに頑張っていこうとい思いました。
色んな事を思い出した感慨深い台湾旅行になりました。
☆それでは今日もよい一日を。
※ちなみに、そのいい事を書いてあったおみくじは、
ある夜、酔っぱらって、財布ごと失くしてしまいましたとさ!
チャン、チャン!
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