世の中、世間一般はすでに「お盆休み」に突入しているようです。寄居町の近くの関越自動車道花園インター付近もそろそろ混雑し始めることでしょう。
さて、何故に「お盆休み」に大方の方が「ふるさと」を目指していわゆる「帰省」をするのでしょう。ふるさとがあるから「帰省ラッシュ」、先祖のお墓があるから「お墓参りラッシュ?」、「実家の義姉さんに迷惑がかかるから」と遠慮を盾に「せっかくの休みだから・・・レジャー優先ラッシュ?」いやいや、単なる「帰巣本能」か?
高速道路がどんなに渋滞していても「帰るのだ!」とにもかくにも、ふるさとに帰れば迎え盆、送り盆がさまざまな形で地域の文化として残っている。うれしいことです。たとえば盆棚です。日本には「仏壇」というお墓とは別のスペースがあるので、昨今の住宅事情や伝統行事の簡略化などの風潮で仏壇を盆棚にしつらえるお宅も結構多いのも事実です。私どもの家も親父の時代からそうでした。
家中総出でというか、主に男性陣が打ち揃って、盆棚を組み立て始めます。むかしの大工さんや建具やさんが作ったものは、ほとんどホゾが切ってある縦棒横棒を「符丁」通りにはめ込み(釘は使っていない)茅(ちがや)でよった縄でしっかりと絞めで組む。棚には「盆ござ」を敷いたりマコモで編んだ筵を敷いてお供物を置く。また縄には地域によって差がありますが、七夕紙、杉の葉や驚くなかれそうめんを束のまんまつるしたりする地域もある。またお供えには、イメージの刻み昆布を甘辛く煮たものやさつま揚げ油揚げと合わせて調理したものあげる。
※一般的なつくりかたは、
マコモのゴザを敷いた台の四隅に青竹を立て、その上部に縄を張って結界とします。縄にはホウズキ、アワ、キキョウ、山ユリ、盆花(みそはぎ)などを吊るします。マコモの上には位牌、ローソク立て、香炉、花立て、お供え物などを置きます。
※位牌の前には、なすやきゅうりで作った牛や馬を供えます。これは先祖の霊が「きゅうりの馬」に乗って一刻も早くこの世に帰り、「なすの牛」に乗ってゆっくりあの世に戻って行くようにとの願いを込めたものといわれています。そのほか、香・花・灯明・浄水・盛物・果物・野菜、それに、そうめん・餅・団子・故人の好きだった食べ物などを供えます。また、洗った米に、なす・きゅうりなどを賽(さい)の目に刻んだものを混ぜて、蓮の葉の上に盛り付けた、水の子と呼ばれるものも供えます。花も季節のものを生けて、欠かさないようにします。
※仏壇の前に精霊棚(しょうりょうだな)を設け、初物の農作物でつくったお供物(きゅうり・なす)を飾り、供養膳に精進料理を盛り、白玉・だんご・果物・故人の好物なども供えます。
なお、このお供物は墓前にも供えるので用意します。
また、お盆の間は精霊に自分の家を教えるために、仏壇のそばとか軒先に新盆堤灯を飾るものとされています。
盆棚を設けるスペースがない場合は、仏壇で精霊棚を兼ねます。仏壇の上部にホウズキを飾り、手前にマコモのゴザを敷き供物類を供えます。
■精霊馬(しょうりょううま)=キュウリとナス■
※キュウリとナスビに割り箸を刺して馬と牛に見立てたもの。
【キュウリ】は【馬】の例えです。
お盆のときに、少しでも早く迎えられるようにとの願いを表現しています。
【ナス】は【牛】を表現しています。
お盆が終わって、帰るときはのんびりと。
一説には、「精霊がキュウリの馬に乗り、牛には荷物を乗せて楽に帰れるように」
という意味が込められているとも言われています。
【パンカップ店主的私見◆なぜか刻み昆布にそうめん━盆棚(精霊棚)】
お盆は精霊祭りであり、正月とお盆にご先祖様とともに世の平安と家族やその家の平安を祈るお祭りとも考えられています。仏教の行事だからといってすべてがしめやかなものとは限らないようです。家族の長寿を祈る習わしとして「細く長く」でそうめんや刻み昆布がお供え物としてあげられたようです。また、特に昆布は「子生婦」とあてられ(当て字)、一家の繁栄を願ったものと思われます。