大正・昭和の偉大な作曲家「佐々紅華(さっさこうか)」ってどんな人?
一口に言って昭和後期~平成生まれの人には、ちょっと縁がないのかな? なんて思ってしまいます。この寄居の町に住んでいる人も同様だと思います。
どんな曲が有名ですか?
たとえば「君恋し」(1929年・昭和4年) ─ この曲は当時も大ヒットしましたが、リバイバルでフランク永井が歌って昭和36年の第3回レコード大賞を受賞しています。
よく見ると、この詩は時雨音羽(しぐれおとわ)という人の作詞ですが、今の歌謡曲や演歌のような「七五調」ではないのです。
よいやみ(4)せまれば(4)なやみは(4)はてなし(4)・・・といった具合です。
先日(5月6日2012)うかがった京亭の清島さんによれば、このときすでに佐々紅華は、アメリカンポップスやジャズを意識して作っていた。その土台は「浅草オペラ」の作曲・演出プロデューサーとして活躍して、様々な音楽様式を取り入れていた紅華の非才さではないかというのです。まさしくその通りですね。フランク永井が歌うこの曲もジャズっぽく歌われていて、私もたまにカラオケで歌うときは「ズジャッ」とアフタービートになってしまうから不思議です。
第3回レコード大賞受賞時のフランク永井
もう一曲。「祇園小唄」ではないかと思うのです。この曲は中学や高校の修学旅行で「京都」へ行ったことのある人でしたら間違いなく聞いている曲なのです。今もあるか知れませんが、「京都織物会館?」なるところへ連れて行かれて舞妓さんの踊りを見せられます。その時かかる曲がこの曲、「月は朧に東山~(長田幹彦作詞・佐々紅華作曲)」
1.
月はおぼろに東山
霞(かす)む夜毎(よごと)のかがり火に
夢もいざよう紅桜
しのぶ思いを振袖(ふりそで)に
祇園恋しや だらりの帯よ
2.
夏は河原の夕涼み
白い襟(えり)あしぼんぼりに
かくす涙の口紅も
燃えて身をやく大文字(だいもんじ)
祇園恋しや だらりの帯よ
3.
鴨(かも)の河原の水やせて
咽(むせ)ぶ瀬音(せおと)に鐘の声
枯れた柳に秋風が
泣くよ今宵(こよい)も夜もすがら
祇園恋しや だらりの帯よ
4.
雪はしとしとまる窓に
つもる逢(お)うせの差向(さしむか)い
灯影(ほかげ)つめたく小夜(さよ)ふけて
もやい枕に川千鳥
祇園恋しや だらりの帯よ
・・・いかがですか。少しだけ「佐々紅華」に興味がわいてきましたか。
『佐々紅華はその生涯およそ判っているだけで770曲のレコードを拵(こしら)えている。映画音楽(むかしの無声映画などのBGM)、舞台音楽、社歌、校歌などレコードになっていないものが入れば2000曲近くになるといわれている。特に力を入れたのが「新民謡」。そして「舞踊小唄」である。「新民謡」は日本全国にわたって盆踊りなどで歌われる。』(きよしま としすけ)・・・新民謡は今で云う「ご当地ソング」である。
昭和初期のご当地ソング、これが寄居(埼玉)にとってとてつもない文化遺産、そして東京から疎開していた画家や文化人と地元寄居の文学青年らとの交流の物語となっている。見逃せないが、文献等に残っていないので「語り部」の世界の話となる・・・。<つづく>
【再発見 佐々紅華の会】
大正から昭和に活躍した 寄居町・埼玉ゆかりの作曲家・建築家・デザイナー
佐々紅華
一口に言って昭和後期~平成生まれの人には、ちょっと縁がないのかな? なんて思ってしまいます。この寄居の町に住んでいる人も同様だと思います。
どんな曲が有名ですか?
たとえば「君恋し」(1929年・昭和4年) ─ この曲は当時も大ヒットしましたが、リバイバルでフランク永井が歌って昭和36年の第3回レコード大賞を受賞しています。
よく見ると、この詩は時雨音羽(しぐれおとわ)という人の作詞ですが、今の歌謡曲や演歌のような「七五調」ではないのです。
よいやみ(4)せまれば(4)なやみは(4)はてなし(4)・・・といった具合です。
先日(5月6日2012)うかがった京亭の清島さんによれば、このときすでに佐々紅華は、アメリカンポップスやジャズを意識して作っていた。その土台は「浅草オペラ」の作曲・演出プロデューサーとして活躍して、様々な音楽様式を取り入れていた紅華の非才さではないかというのです。まさしくその通りですね。フランク永井が歌うこの曲もジャズっぽく歌われていて、私もたまにカラオケで歌うときは「ズジャッ」とアフタービートになってしまうから不思議です。
第3回レコード大賞受賞時のフランク永井
もう一曲。「祇園小唄」ではないかと思うのです。この曲は中学や高校の修学旅行で「京都」へ行ったことのある人でしたら間違いなく聞いている曲なのです。今もあるか知れませんが、「京都織物会館?」なるところへ連れて行かれて舞妓さんの踊りを見せられます。その時かかる曲がこの曲、「月は朧に東山~(長田幹彦作詞・佐々紅華作曲)」
1.
月はおぼろに東山
霞(かす)む夜毎(よごと)のかがり火に
夢もいざよう紅桜
しのぶ思いを振袖(ふりそで)に
祇園恋しや だらりの帯よ
2.
夏は河原の夕涼み
白い襟(えり)あしぼんぼりに
かくす涙の口紅も
燃えて身をやく大文字(だいもんじ)
祇園恋しや だらりの帯よ
3.
鴨(かも)の河原の水やせて
咽(むせ)ぶ瀬音(せおと)に鐘の声
枯れた柳に秋風が
泣くよ今宵(こよい)も夜もすがら
祇園恋しや だらりの帯よ
4.
雪はしとしとまる窓に
つもる逢(お)うせの差向(さしむか)い
灯影(ほかげ)つめたく小夜(さよ)ふけて
もやい枕に川千鳥
祇園恋しや だらりの帯よ
・・・いかがですか。少しだけ「佐々紅華」に興味がわいてきましたか。
『佐々紅華はその生涯およそ判っているだけで770曲のレコードを拵(こしら)えている。映画音楽(むかしの無声映画などのBGM)、舞台音楽、社歌、校歌などレコードになっていないものが入れば2000曲近くになるといわれている。特に力を入れたのが「新民謡」。そして「舞踊小唄」である。「新民謡」は日本全国にわたって盆踊りなどで歌われる。』(きよしま としすけ)・・・新民謡は今で云う「ご当地ソング」である。
昭和初期のご当地ソング、これが寄居(埼玉)にとってとてつもない文化遺産、そして東京から疎開していた画家や文化人と地元寄居の文学青年らとの交流の物語となっている。見逃せないが、文献等に残っていないので「語り部」の世界の話となる・・・。<つづく>
【再発見 佐々紅華の会】
大正から昭和に活躍した 寄居町・埼玉ゆかりの作曲家・建築家・デザイナー
佐々紅華