チャイコフスキー庵 Tchaikovskian

有性生殖生物の定めなる必要死、高知能生物たるヒトのパッション(音楽・お修辞・エンタメ・苦楽・群・遺伝子)。

「チャイコフスキー48歳の反行期/交響曲第5番にぞろぞろ」

2011年02月14日 00時05分55秒 | チャイコ全般(6つの目のチャイコロジー
土曜は大江戸探検隊の集まりだった。今回は、
下谷と東上野。柳河で「御花」を開業した
立花文子女史が100歳で亡くなって4箇月になる。
「稲荷町」こと8代目林家正蔵(彦六)の
「ぞろぞろ」の舞台にされた「太郎稲荷神社」は、
現在の台東区入谷2丁目にこぢんまりと建ってる。
そこは柳河藩立花家の下屋敷跡である。いっぽう、
女優の天海祐希女史が通ってた小学校は
少子化が進み、今では総合病院になってる。
その約150m南に、
旧柳河藩立花家の中屋敷跡がある。といっても、
こちらもわずかに小さな稲荷が残ってるだけである。
「西町太郎稲荷神社」である。
現在、戦国武将で人気の高い、
立花宗茂、伊達政宗、真田幸村(いわゆる信繁)の3人はみな、
永禄10年(西暦1567年)生まれである。
現在の数えかたで満48歳になる年の彼らは、
大阪夏の陣で相まみえた。立花宗茂は将軍秀忠の参謀として、
真田幸村は徳川に反抗し、徳川方伊達隊と実際に戦闘した。また、
伊達の重臣片倉小十郎に子女4人を託した。

「交響曲第5番」はチャイコフスキー満48歳のときの作品である。
チャイコフスキーの著名曲の中では、
「交響曲第5番」を知ったのは比較的遅かった。
はっきりとした時期は、
ムシャラフとムバラクとバラク・オバマの違いを寸時に識別できない
拙脳なる私には思い出せないが、
11歳のときだったことは確かである。が、
初めて聴いたとき、その"よく響く"サウンドに心動かされた。
脊椎が共鳴してるような感動を、
反抗期の年頃な子供ながらにも覚えた。

冒頭、2管のクラリネットのユニゾンがイデー・フィクスを吹く。その
伴奏をする弦群はvnプリーモのみが休みをとらされてる。
これは第6交響曲の冒頭でも同じである。それはともかく、
イデー・フィクスの後半は、
[Andante(4分音符=80)、4/4拍子、1♯(ホ短調)]
***♪『ラ』ー│>『ソ』ー・>『ファ』ー・・>『ミ』ー・>『レ』ー│>『ド』ー・ーー・・●●♪
という『下降音階』である。それぞれ1音ずつが、
[【レ】(<)シ(<)ファ(<)『ラ』](トリスタン和音)

[【ミ】(<)ド(<)ミ(<)『ソ』](平行調ト長調の主和音)

[【ファ】(<)ラ(<)レ(<)『ファ』](下属和音)

[【ソ】(<)ド(<)『ミ』](平行調ト長調の主和音)

[【♯ソ】(<)ファ(<)シ(<)『レ』](減7の和音)

[【ラ】(<)ミ(<)ラ(<)『ド』](主和音)
という和音で構成されてる。その最低音を受け持つ
コントラバスが奏するのは【】の音であり、
***♪【レ】ー│<【ミ】ー・<【ファ】ー・・<【ソ】ー・<【♯ソ】ー│<【ラ】ー・ーー・・●●♪
という【上昇順次進行】である。これは、
『旋律』に対して【反行】するものである。
ここにサウンドの妙が生まれる。
チャイコフスキーはその効果をウマク活用した音楽づくりを各ジャンルで試みた。
交響曲の分野でも、26歳のときに手がけはじめた
「第1番」の第2楽章で、弱音器具を装着した弦群が、
[Adagio cantabile ma non tanto(4分音符=63)、4/4拍子、3♭(変ホ長調)]
***♪ミー・・<ファー・<ソー│<ラー・<シー・・<ドー・<レー│<ミー・<ファー・・<ソー・ーー│ーー♪
という両翼vnが作る旋律ラインに対して、ヴィオーラ(とチェロ)が、
***♪ソー・・<ドー・ーー│ーー・>シー・・>ラー・>♭ラー│>ソー・>ファー・・>ミー・ーー│ーー♪
という反行を形作ってた。が、
48歳のときに作曲した「第5番」では、この
旋律線に対する反行バスが、各楽章にも現れるイデ・フィクス以外に
多数鏤められてるのである。

第1楽章主部第2主題[Allegro con anima(付点4分音符=104)、6/8拍子]
***♪ミーー・ーー、<♯ファ│<♯ソーー、・<ラー<シ、│<ドーー、・>シーー、│>ミーー・ーーー♪
***♪ミーー・ーー、>♯レ│>(N)レーー、・>ドー>シ、│>ラーー、・>レーー、│<ミーー・ーーー♪
同主題推移[Allegro con animaに対するUn pochettino piu animato]
***♪●ソ<ラ・<シ<ド<レ│<ミ<ファ<ソ・>ミー>レ♪
***♪●ミ>♭ミ・>レ>ド>シ│>♭シ>ラ>ソ・<ラ>♭ラ>ソ♪
同主題後副次主題(ここでは反行音型が第2主題の亜型を採ってる)
[Allegro con animaに対するUn pochettino piu animatoへのMolto piu tranquillo]
***♪●ミー・>レー>ド│●<ファー・>ミー>レ♪
***♪●ソ<ラ・<シー<ド│●>ソ<ラ・<シーー♪
第2楽章第2主題後半[Andante cantabileに対するPoco piu mosso、4/4拍子、2♯(ニ長調)]
***♪ミーー・<ファーファ・・ファーー・<♯ファー♯ファ│♯ファ<ソ・ソソ・ソ<♯ソ・♯ソ♯ソ│
  <♯ソーー・<ラーラ・・ラーー・<♭シー♭シ│♭シ<Nシ・シシ・シ<ド・ドド│ドーー♪
***♪レーー・ーーー・・>ドーー・ーーー│>シーー・ーーー・・>♭シーー・ーーー│
  >ラーー・>ソーー・・>♯ファーー・>Nファーー│>ミーー<ミーー・・>♯レーー・<♯レーー│>ミーー♪
第3楽章第1主題確保[Allegro moderato(4分音符=138)、3/4拍子、3♯(イ長調)]
***♪ミー・ー、>レ・>ド>シ、│>ラー・>ソー・ーー♪
***♪♯ファ<ソ・<ラ<シ、・<ドッ<レッ│<♯レー・<ミー・ーー♪
第4楽章第1主題推移[Allegro vivace(2分音符=120)、2/2拍子、1♯(ホ短調)]
***♪ミー・・<♯ファー<ソー│<ラー<シー・・<ドー<レー│
  <ミー>♯ファー・・<♯ソー<ラー│<シー<ドー・・<レー<ミー│
  <♯ファー<♯ソー・<ラー♪
***♪ミー)ー>レ・・>ドーー>シ│>ラーー>♯ソ・・>♯ファーー>ミ│
  <<♯ファーー>ミ・>レーー>ド│>シーー>ラ・・>♯ソーー>♯ファ│
  >ミーー>レ・・>ドー♪
など。
旋律が音階的な順次進行を採ることが多いチャイコフスキーの音楽においては、
それに反行するバスをつけると、じつに効果的なサウンドが形成される。
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