チャイコフスキー庵 Tchaikovskian

有性生殖生物の定めなる必要死、高知能生物たるヒトのパッション(音楽・お修辞・エンタメ・苦楽・群・遺伝子)。

「イョラーンタ#4/景と王のアリオーゾ(景)」

2005年08月01日 16時08分46秒 | イヨランタはまだスィスィ16だから
現在、BSジャパン(テレ東系)では、毎朝、「康煕王朝」という
50話シリーズの中国TVドラマを放送してる。
我が国の大河ドラマ同様、かなり脚色されてしまってて、史実を求めるむきには
勘弁ならないかもしれないが、お芝居としてはけっこうおもしろい。
康煕とは、清朝第4代皇帝であり、我が国の徳川5代将軍綱吉の時代とほぼ重なる。
大清国は漢人ではなく満州女真族愛新覚羅家が中国を支配した国家である。
その末期、義和団の乱が収束した年(明治34年)に、父が外交官だったために
大清国のアモイで生まれた日本人がいた。そのもっともポピュラーな俳句といえば、
 降る雪や。明治は遠く、なりにけり……中村草田男(なかむら・くさたお)
である。草田男の句集「長子」に収められてる句である。ちなみに、
今年の夏の甲子園の千葉県大会を勝ったのは、かつて、
あの「作新」江川を押しだしの四球で破った、古豪「銚子」商業である。
♪幾千年の、昔より、海と陸との、戦いの、
 激しきさまを、続けつつ、犬吠崎は、見よ立てり♪
相馬御風(詞)&東儀鉄笛(曲)というトウダイ一流の詩人と作曲家が作った、
あのアッケないほど短い、潔い、しかし感動的な校歌の高校である。それはさておき、
「長子」が納屋から飛び降りて死んでしまっても、
「次子」が立派な跡継ぎとして残ったのは「アルルの女」であるが、
あざとい自転車操業経営者が退陣しても変わらない社風を保ち続けるというのは、
日本の企業にも少なくない。
 古い雪印や。明治乳業との距は遠く、なりにけり……中まで・腐た蘇
「メグミルク」という命名からしてあざとさは相変わらずである。
日本ミルクコミュニティなどと変装しても、また、先日の自主回収騒ぎである。
ミルクの中に凝固物(ゲル)が混入してたらしい。「ゲル」に苦慮したのは、
モンゴルの一部族の長ガルダンに手を焼いた康煕帝だけではないようである。
ガルダンはジュンガル部の「オイラート」を「勝手に」略奪したのである。
♪オォ~イラァ~ト、みぃ~さぁきのぉ~~~~、トウダイもぉ~りぃ~はぁ~~~♪
無事を祈って灯をカザフスタン、治国の佐田啓二も警鐘紡もカネ次第、なのである。
さて、盲目の娘の無事を祈ってたのは、プロヴァンスのルネ王である。
(景)
イョラーンタを寝かしつけると、舞台には誰もいなくなる。
アッレーグロ・センプリーチェ(2♪=138)、C(12/8)、無調号。
低弦がdesとesのトリルを敷くと、
(実質)「変ホ長」(前曲の調)の角笛をホルンが吹く。
♪ド<レ<ミ|<ソーソ・ソーー・ーーー♪
それを受けて、木管が「ハ長」で前曲「子守歌」の主題の断片を鳴らす。
ハープのグリッサンド上昇。角笛も「ハ長」になる。すると、
「子守歌」断片は「イ長」となる。そして、角笛も「イ長」に転じる。
ルネ王がだんだんと「イョラーンタを隔離」してる「庭園宮」に近づいてくるにつれて、
「3♭」→「無調号」→「3♯」、なのである。さながら、
「調号のドップラー効果」である。話の舞台は
ハンガリーの田園ではなくプロヴァンスなのに、である。
→ポーコ・メーノ(2♪=116)。
マールタ(アルト)の亭主にして「NYシェイステイディアムを模した庭園宮」門番の
ベルトラン(バス)が登場する。
ビェルトラーン:「アポなしの来客とはまた、どなたでござろう?」
王の近侍アリミェーリク(テノール)が入ってくる。
→アンダーンテ・ノン・トロッポ(2♪=80)。
アリミェーリクはビルトラーンの質問に答えて、レチタティーヴォで、
前任のラーウリが殉職したことを告げる。海ゆかば「水」漬く屍。
8月1日は「水」の日である。信時潔先生の命日でもある。
大君のかたわらにこそ死なめ。のどかには「synergy」。対して、
主は臣下に恩を与える。これが主従の「相互作用」である。
それはともかくも、アリミェーリクはビェルトラーンに、
まもなく王がイスラム人の医者を連れてやってくることを伝える。
が、アリはこの「庭園宮」が誰の住処かも知らされてない。
このあとのふたり、そして、あとから加わるマールタの話で、
イョラーンタが盲目であることと光が存在するということが
本人には知らされてないいきさつが聴衆にも説明されることになる。
途中、マールタの登場時には、フルートが「イ長」そして「ニ長」の、
ハンガリー田園幻想曲の前半とは似てもにつかない明るいパッセージを吹く。
マールタが話すときには、クラリネットのさえずりが走り回る。
「イ長」のファンファーレ。王の到来である。
王に訊かれたマールタが、お嬢様はご就寝中だと答える。
王はマルタ&ビルトラーン夫妻に、
イスラム人医師イブン=ハキアを王女のとこに案内するように命じる。
→ラールゴ・アッサイ(♪=80)。
王:「サ・ストラーハム(恐々と)・ジドゥー(待っておるぞ)・
   リシェーニェ(診断を)・トゥヴァィヴォー(そちの)」
医:「アラーフ(イスラム教の唯一神は)・ヴィリーク(偉大なり)。
   ナヂェーィシャ(信頼なされよ)・ナ(を)・ニヴォー(彼=アラー)」
異端視した連中にイコンをかってたはずのロシア正教絶対体制下にあって、
このように歌劇な台本を書いたチャイコフスキー兄弟の、
うそいツァーリのない、皇帝をも畏れぬ振る舞いである。
「ハ長」のファンファが響きわたる。そして、
神への祈りともツブヤキともつかぬ王の脂漏性独り言がレチタで語られる。
(つづく「王のアリオーゾ」部、はまた後日)
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「アルルの女とマグダラのマ... | トップ | 「花火師アチャコは存在せず」 »

コメントを投稿

イヨランタはまだスィスィ16だから」カテゴリの最新記事