「イョラーンタ＃２（景と合唱）」

先週、スィアトルのセイフコウ・フィールドで、ヴィズィターであるＯ’ｓの
ラファエル・パルメイロ一塁手が二塁打を放ち、
「３０００本以上安打、うち５００本以上本塁打」の記録を作ったそうである。
大リーグの歴史上、これまで、アーロン、メイズ、マーリーしか達成してない。
パルメイロは、初めての「左打ち」である。さて、左打ち、といえば、
「フランス語は数を勘定できない言葉だから、
国際語として失格しているのもむべなるかなという気がする」
という発言に怒ったというフランス語教師らが「名誉を傷つけられた」として
石原都知事を提訴したそうであるが、そんなのははなから、
「民法」の「名誉毀損」たる構成要件を満たさないのが明らかであるからして、
彼らの行為の目的は他にあるとみるのが自然である。が、そんなふうに
「感情」的になったことによって、フランス人が数の「勘定」はできる
（８０＝４＊２０、９０＝４＊２０＋１０）、ということを
世間に知らしめてもらえたわけであるから、まんざら損でもあるまい。
それでも、小便しても手を洗わないヒトの「割合」が多いお国柄である。
ときに、イスラムやヒンドゥーの教えのとこでは、左手は「不浄」なのだそうである。
右手ばっかで用をたして左手を使わないでると、右脳の発達を妨げはしないかと
よけいな心配をしてしまいそうになるが、そうは【トンヤー】が卸さない。
暗算・数値ー女史のミャンマーと国境を接してるインド人の数学力は【零】を
発見しただけではない。いまや、ＩＴあるところインド人あり、である。
シリコンヴァリーや西葛西だけではない。六本木の
リーマン・ブラザーズ・アジア地区最高経営責任者もインド人である。
いずれにせよ、インド人の右手偏重慣習左脳発育が生みだした数学力は、
目が見えないヒトが他の感覚が発達することが多いのとおなじかもしれない。
（景）
アダージョ・コン・モート（３♪＝６０）、９／８、無調号。
目が見えぬイョラーンタを座らせて、
マールタ：（拙大意）
　　　　　もうおやめください。そんなにご自分を責めて
　　　　　おボヤきになると、閻魔さまにベロを抜かれますよ
と、実質ロ短でなだめてる。すると、舞台裏から、
ブリギッタ、ラーウらや他の娘どものキャアキャアいうキンキン声が聞こえてくる。
彼女らは花筐をたずさえてやってくるが、能が始まるわけではない。
木管のトリルが、彼女らがはしゃぐさまを表す。
→アッレーグロ（♪＝１５２）、６／８、３♯。
シンコペの♪○ソーソーソ・○ソーソーソ♪に導かれて、
♪ミーー＞レレー・＜ファーー＞ミミー｜＞レー＜ラーラー・＞ソーー＞ファ＞ミ｜
ミー＞レー＜ミ＞レ・レー＞ドー＞シ＞ラ｜＞ソー＞ファーファー・＞ミーーーーー♪
６／８拍子のスロウな「花々のワルツ」である。
キンポウゲ、ヤグルマソウ、ミモザ、バラ、ストック、ユリ、
スズラン、ホウセンカ、ジャスミンなど、百花繚乱である。
ここで、モデストは兄の愛花スズランをちゃんと特別扱いしてる。
→ポーコ・ピウ・ヴィーヴォ（♪＝１６８）。
♪シー＞♯ソー＞ミー・＜ラーーー＞ミー｜＞レーーー＜ミー・＞ドーーー＞ラー｜
＜シー＞♯ソー＞ミー・＜ラーーー＞ミー｜＜ミーーー＞レー・＞ドーーー＞ラー♪
という嬰ハ短の「プチ中間部」を経て、
→テンポ・プリーモ。
♪ミーー＞レレー・＜ファーー＞ミミー♪が戻り、イ長の主和で終わる。
その間の歌詞の拙大意は、
　花々の芳しい香が、春の陽射しが、優しく甘い夢を誘って、
　「苦しいの悲しいの、飛んでけぇ～」と邪悪なものを吹き飛ばしてくれるわ。
である。執拗に花を称えてる、ことは、
チャイコフスキーの（とくに晩年の）音楽を考えるときには、忘れてはならない。
ちなみに、露語の「花」：ツヴィトークは、「花」が「色づく」ゆえ、
「色」：ツヴィェートから派生した語である。が、
「ソヴィエト」：サヴィェートからは無駄花が咲いただけである。
いずれにせよ、このナンバーは無垢で邪気のない、
イョラーンタを元気づけようとする健気な気持ちがよく現れた曲である。