幻想小説周辺の 覚書

写真付きで日記や趣味を書く

怪談逍遥 八王子怪談

2022-08-03 06:30:00 | 怪談
川奈まり子  八王子怪談逢魔ヶ刻編

暑いときは怪談!
地元の川奈さんが地元八王子の怪談を
地元ならではの捜査力でしっとりと語る

それよりも怪談の出来不出来よりも
アマゾンの紹介ページが、手が込んでいて
よくできていることに驚いた
みなさんもよろしければ訪問してみるといい
あ八王子心霊スポットにじゃないですよ
アマゾンのこの本のページにですよ
誤解と遭難 ありませぬように。。。。








マンガレビュー 三宅乱丈ユーレイ窓

2022-07-31 07:46:00 | 怪談
「ユーレイ窓」 三宅乱丈 208頁
あまり巷で見ることの少ない三宅氏(といっても妙齢の女性漫画家である)の短編集
先日の東洋文庫散策の折に駒込の小綺麗な古書店の「青いカバ」で購入しました。ここは坪数小さいものの品揃えが新刊から新し目の中古、レア物の古書、絵本、児童書まで幅広くそれでいて本好きのツボを押さえたセレクトでお洒落な外観からはなかなか侮れない店なのです。




帯に触るな危険、とあるように収録の短編はどれも破壊力抜群で、「なんか凄いもの読んじゃったな(;∀; )(;∀; )」という虚脱感というか疲労感がかぶさってきます。
一つ一つ読み終えたあとちょっと一服して気分を落ち着けないと次に進めないような感じです。

怖いのに笑ってしまう
笑っちゃいけないのに怖すぎて止められない
読んだあと一人なのに誰かが部屋に居るよう気がする

というわけでこういうのダメな方は
まさに「触るな危険」 触ったら障るヨ
な、取扱い注意な存在でございます








怪談 京都怪談おじゃみ

2022-07-21 21:22:00 | 怪談
「京都怪談 おじゃみ」 神狛しず  253頁
おじゃみ、トイウノハ京都言葉で言うお手玉のこと、或いは
もうちょっと大きくして小豆を中に詰めた小さめの座布団、枕などもおじゃみと言われる
しかし、この京都怪談においては「じゃみじゃみあみじゃみ」
と妙な音か鳴き声をあげて、
自分を月足らずの内に産み落とし物陰に葬った母親に
まとわりつく異形の幼態のもののけでございます

この本には怪談誌「幽」の怪談大賞の短編部門の入賞作
おじゃみ、を幕開けに他五編の怪談を納めています

「怖い」「怖いけど笑える」「怖いけど笑える、けどせつない」
というのは神狛さんの作品を推した高幡葉介さんの弁でした

いずれも登場人物が話す雅みやびな京言葉と、
怪や人に向けたえげつない悪意や攻撃心、
そして山場で発せられる雅とは程遠い魔が放つ絶叫
「ぐぎゃげごおお、おおぅぅぉおお、えあああうぅう」
(笑)、どこが京都弁やねん🎵(でも作者はお気に入り)








魔よりも人の心の方が闇
でもクソ明るいひなたよりも薄暗い物陰の方が好き💗
そんな御仁によくハマる作風です
作品を読むよりは一緒に町屋BARで冷酒でも
いただきながら一晩中語り合いたいと思わせる神狛さん
なのでした

怪談話 一行怪談 

2022-07-11 05:22:23 | 怪談
「一行怪談」 吉田悠軌    205頁

205ページの薄い文庫本に180編の怪談が詰め込まれている
一行怪談とあるが 短いものは確かに一行だが長いものは3行、4行になっていて、それでも一ページに一篇、文字よりも余白が多かったりする

で、これが短いから怖くないか?というと実はそうでもない。
怪談は長ければ怖くて、良いというモノではない。
怪談で本当にぞ~、っとする部分は長い話でも、その中のごく短い1点のツボだったりして、そのツボが読者(聞き手)の恐怖のブロック塀を崩壊させるのだ

「ついに水は言語を解すようになり、宣戦布告を世界に
 伝えた」
この一行を怪談として受け止めるか・
昨日の西日本集中豪雨のヴィジョンと重ねて、世界の終末を予感するのか・
それは読者の感性と、読まれた時の情勢、シチュエーションにより変幻することだろう

「このあいだ山奥に棄ててきた知り合いが、五箱の宅配便で
 いま届いた」

「自分が置いた焼香から肉の焼ける臭いが漂いはじめ、
 全ての参列者が悲鳴をあげて逃げ出してゆく」

「今すぐ家から出なさいッ!、と電話口のから叫ぶ母の声を
 聞きながら、すぐ横でテレビに笑う母の顔を見つめる」

この幾つかの例文のように、一行怪談というモノは怪奇物語とは少々異なる手法とアプローチにより怪談の中に存在する「怪のツボ」に迫ろうとする新しい試みなのだ。
このカタチが、展開する先はすぐにでも連想するようにツイッターやラインという電脳語界に親和性をもち、キャッチコピーやポップにも化けるだろう。
更に楽しいことには、うんこドリルに続く、一行怪談漢字ドリルといった意外な面に飛び出しているという。
小学生のちびっ子が生み出す至高の一行怪談が伝説の逸品となって僕の目の前に現れるのも遠い先では無いに違いない♠






怪談 怪談遺産 平山夢明

2022-07-06 22:08:00 | 怪談
「怪談遺産」 平山夢明 221頁
しばらく大人しくしていた平山夢明師の実話系怪談である。
あとがき、が真面目であり怪談愛がしっかり感じられて良い。

怪談は人類が物語を語り始めた時と同じくして生まれた最古の
口承文学だと思われる。
とんでもない数の作品が生まれて人の口に上ってきたが遺されるものはまさに一握り、一つまみにすぎない。
著名な文筆家が押並べて傑作怪談の作り手であることは間違いないが、さりとて世に残っている怪談には”詠み人知らず”のモノも数えきれない。
そして、それが残った理由も「怖いから・・」というものだけとは限らない
「なんとなく・・」とか「誰に聞いたか忘れたけど記憶に残っている・・」といった、その遺された理由自体が妖しい怪談が世の中には流通しているのである。






このように世に漂う怪談は、互いに呼び合うようにして
ある種の人の許に集まるようになる。
これからは平山氏はこのような種類のモノを怪談遺産として認定、登録していくのだそうだ
そんな訳で本作は、どこかで聞いたようでありながら、読んだことの無い一話数ページ毎の実話怪談が35作収録されている

平山氏もリスタートにあたり、収録作品の掲載順番や構成はしっかり考え抜かれて読者の魂を鷲掴む気まんまんの様だ。
スタートは、ほのぼの系とか。ほんわか癒し系の怪談も混じっていて、物足りないとか、とり付き易い、と思って舐めて読み進めるのであるが
やはり、そこは平山大天神サマである。行きはヨイヨイ、帰りはコワい!
ラスト三作品あたりになると、怖さフルスロットルで
「もうヤメテ、勘弁してっ!!」って感じで上下左右に揺さぶられてへとへとに疲れてしまう。
怪談読んで、爽快に怖がりたい方のみお薦めである

ラスト三作タイトル。
「殉死」⇒「死ぬほど好き」⇒「聖地巡礼」
 激辛 ⇒ 地獄級辛口  ⇒ 壊滅級辛口 
こんな感じです( 〃▽〃)