事故物件怪談 恐い間取り
事故物件住みます芸人松原タニシ
芸人の怪談本としては面白い というか 怖い。
特にラスト近くになるとネタバレになるが、本人松原自体が事故物件の磁場、というか、ある不明の環境に侵されて、カメラに写る自分の顔が他の人に比べ黒さが顕著になりついには真っ黒になっていってしまった、という部分が特に気持ち悪く怖い。
まるで恐怖新聞みたいじゃないか! 事故物件に一日住むと寿命が百日縮む、というのは実際にありそうな感覚である。
だが、その後、本書もシリーズ化されて、関連本やテレビ番組として採り上げられたり、恐い間取り2の続刊が出たりしているから松原氏はどうにか、この危機を脱したのだろう(いや、いまだ、生命の危機なのかも・・・)
芸人としても事故物件芸人として認知され仕事が来るようになったのだろうから、結果オーライである、芸人というのは命を削ってでもネタを当てたい、仕事が欲しい・と考えざる負えない、ある意味ホラーな存在なのだな・・と思った。
欲を言えば、この道の端くれとしてアドバイスさせていただくとすると
①恐い、ではなくて、怖い、だと思う。恐いの場合は存在自体が凶悪、怖いは受け手の心理状態。
今回の場合、間取り、事故物件の恐さよりも、そこに住んでみた筆者の体験談・恐怖体験が文章の主要部分であるから恐い、よりも怖い、が相応しい。
②恐い間取り、とあり、各体験談の冒頭に間取りが掲載されているのだが、関連性が微妙に薄い、ベクトルがきちんと合ってない気がした。
恐い間取り、であるならばやはり、この部屋とこの部屋のつながりがおかしい、とか、風水的にあり得ない場所に便所がある、とか、やたらモダンだけど夏は暑く冬は寒い大きなガラス建具、とか建築的なものと恐怖の源泉が合致していないとイケナイのである。
だから、本書のタイトルは、恐い間取り、では無くて、怖い事故物件に住んでみた、が正鵠を得ている。
まあ正しい、が、キャッチコピー的に正解か否か、という点では相応しくないかもしれない、この辺りが難しく、コワいところなのだろう。