聖地コンクの風景
フランス南部:(2)ミディ・ピレネー地方(La region de Midi-Pyrenee)
この地方の第2編として、2013年10月の巡礼で訪れたコンクに関する記事をアップします。
b. コンクConques(アヴェイロン県 Dep. d’Aveyron)
コンクは、オーブラック山地の西端を流れるウーシュ川の谷沿いに位置する小さな村です。
コンクの村の全景
コンクの起源は、7世紀の末に遡ります。その頃、ダドン(Dadon)と言う修道士が、この荒涼たる土地に単身で隠遁生活を開始したところ、同じ志の修道士が集まり、ベネディクト派の修道院が誕生したと言われています。
ところで、コンクは、モン・サン・ミシェル、ルルド、ル・ピュイ・アン・ヴレイなどと並んでフランス有数の聖地のひとつです。では、コンクはなぜ聖地と呼ばれているのでしょうか? その由縁は、8世紀に創立された由緒あるサント・フォア修道院(Abbatiale Sainte-Foy)の存在と、コンクの宝(Le tresor de Conques)と呼ばれる聖フォアの遺物 (Le replique de Ste-Foy) がそこに安置されているからです。
聖フォア遺物の像
聖フォアの遺物がコンクに持たされた経緯については、歴史的なエピソードがあります。
コンクから150kmほど離れたところにアジャン(Agen)と言う町があります。この町に生まれたフォア(Foy)と言う少女は慈悲深さで、貧しい人々に慕われていました。しかし、彼女はキリスト教徒であったため、ローマから来た総督により異端視され、4世紀初頭に若くして殉死しました。彼女の死後、数々の奇跡が目撃され、聖フォア(Ste. Foy)として、聖人に列せられました。そして、聖フォアの遺物は、アジャンの教会に安置されていました
ところが、 866年にコンクの僧侶がアジャンからひそかに聖フォワの遺物を持って来てしまいました。それ以後、現在までコンクの教会に聖フォワの遺物が祀られています。
サント・フォワ修道院は、フランスの歴史的建造物であるとともにユネスコの世界遺産でもあります。サント・フォワ修道院付属教会 は、11世紀から12世紀にかけて建てられたロマネスク様式の教会です。ドームの頂部は22mに達するので、この村ではどこからでも見ることができます。
教会西側正面のファサード扉口上部には目を見張るような立派な半円形のタンパン(tympan).があります。このタンパンには「最後の審判」(Jugement dernier)をテーマとした彫刻が施されており、12世紀前半におけるフランス宗教美術の最も重要な作品のひとつと言われています。
教会西側正面のファサード
タンパンには、124人の人物彫刻がありますが、中央部には玉座についたキリストの像(赤線で囲んだ部分)があり、その右側には天国(le Paradis)、左側には地獄(l’Enfer)が描かれています。また、タンパンは3層構造となっており、下段は過去(le passé)、中段は現在(le present)、上段は未来(le future)を表しているそうです。
ファサードの拡大写真
教会北側の正面 教会の南側にある回廊
サント・フォワ修道院には、付属の宿泊施設 (Centre d’Accueil Abbaye Ste-Foy)があるので、私はそこに投宿しました。このジットは、巡礼者向けの部屋と一般観光客向けがあり、食堂も別々になっています。巡礼者向け食堂に集まった巡礼者は約40人でした。食前にはミサがあり、その後修道士たちが用意してくれた料理を頂きました。中世の昔から、数えきれない多くの巡礼者がこの宿泊所のお世話になったことにことに思いを馳せ、敬虔な気持ちで夕食のひとときを過ごしました。
サント・フォワ修道院の食堂
この村には、中世の美しい街並みが手つかずに保存されており、フランスで最も美しい村(Les plus beaux villages de France)の一つに数えられています。
コンクの街並み
素晴らしい旅行記ですね。
感激しております。
これから、ゆっくり読ませて頂きます。