岩山の上に建つサン・ミシェル礼拝堂 Chapelle de St-Michel sur le Rocher St-Michel
さて、ル・ピュイ巡礼路の起点であるル・ピュイ・アン・ヴレ(Le Puy-en Velay)(以下、ル・ピュイと略称)は、どのような街でしょうか?
フランスの地図を広げると、ル・ピュイはパリから南に向かって直線距離で440kmほどのところにあります。地域的には、オーベルニュ地方(Region Auvergne)に属し、オ-ト・ロワール県(Departement Haute Loire)の県庁所在地です。県名が示す通り、ロワール川の源流が流れている地域です。
この町に行くには、パリのリオン駅(Gare de Lyon)からTGVに乗り、リヨン・パールデュー駅(Gare de Lyon-Part-Dieu)でTERと言うローカル線に乗り換えて、合計で4時間半ほどかかります。
私は4年ほど前にスペインのサンティアゴ巡礼路を歩きました。その時に,ログローニョ(Logrono)までの行程を1週間一緒に歩いて親しくなったフランス人が、この町に住んでおります。その友人の好意で、彼のお宅に2泊しました。そして、彼の案内で、ル・ピュイ観光を楽しみました。
ル・ピュイは、フランスの聖地のひとつです。聖地の由縁ですが、”5世紀の頃、聖母マリアが現れて一人の女性の病を癒した”との話が広がり、大聖堂の前進となるロマネスク様式の教会が、5世紀に建造されました。その後、9世紀、11世紀、12世紀と少しずつ拡大していき、17メートルもの高低差を埋める為に、正面にあるような階段が出来上がったそうです。
またル・ピュイは、司教座都市として1000年以上の歴史を持っていますが、この地の司教が950年頃にスペインのサンチャゴまで巡礼の旅を行い、サンチャゴ巡礼の先駆者のひとりとなったと言う話も残っています。
「フランスのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」は、ユネスコの世界遺産に登録されておりますが、この地のノートルダム・ドュ・ピュイ大聖堂(Cathedrale de Notre Dame du Puy)とサン・ジャック施療院(Hotel-Dieu Saint-Jacques)もその一部として登録されています。
大聖堂の正門
大聖堂入り口のフレスコ画
黒い聖母の祭壇
大聖堂のステンドグラス
大聖堂の回廊
回廊の柱頭(Chapiteau)にある彫刻
他にも、大聖堂の裏手の岩山に建つ18mの「フランスの聖母像」(Statue Notre dame de France)とか、標高82mの火山岩尖の上に10世紀に建造されたロマネスク様式の礼拝堂、サン・ミシェル・デグイル(Saint Michel d'Aiguilhe)などが、ル・ピュイのシンボルとなっています。
市街地から眺めた聖母マリア像が建つ丘
聖母マリアの巨像
聖母マリア像の建つ丘の上から見たル・ピュイ市街の景観
サン・ミシェル礼拝堂の正門
礼拝堂内部の祭壇
また、この町には中世~近世を偲ばせる旧市街が保存されています。
旧市街の中心にあるプロ広場(Place du Plot)
タウン・ホール(Hotel de ville)
プロ広場から伸びるメイン・ストリート
旧市街のアチコチにあるサン・ジャックの像
1600年代に建造された建物(1)
1600年代に建造された建物(2)
さてここで、サンティアゴの言葉の意味について、説明をします。日本語では聖ヤコブです。サンティアゴと言う言語は、スペイン語です。フランス語ではサン・ジャック(Saint Jacques)と言い、英語ではセント・ジェームズ(Saint James)です。ドイツ語ではザンクト・ヤコブ(Sankt Jakob)と言うので、日本語はドイツ語に似ています。
参考までに、”巡礼者はなぜホタテ貝の貝殻を身に着けているか?”を説明しましょう。フランス語で、「コキーユ・サン・ジャック(Coquille Saint-Jacques)」はホタテ貝のことですが、同時に「聖ヤコブの貝」を意味するからです。面白い話ですね!
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