カオールのロット川に架かるヴァラントレ橋
(Le pont Valentré sur le Lot, Cahors)
フランス南部: (2)ミディ・ピレネー地方(La region de Midi-Pyrenee)
d. カオール Cahors(ロット県 Dep. de Lot)
カオールと言えば、知る人ぞ知るAOCワインの著名な銘柄の一つです。マルベック(Malbec)種のブドウから作られる赤ワインですが、色合いが濃いので、“黒のワイン”(vin noir)とも呼ばれています。タンニンが豊富で、フル・ボディの重厚な味を楽しめます。このワインはポリフェノールが多く、健康志向の愛飲家にもフレンドリーなワインです。
"AOC Cahors"の呼称が許さるワイナリーの範囲は、下の地図に示される通り、カオール西側の地域です。
"AOC Cahors"の呼称が許される領域
ワイン製造の歴史は古く、この地方にローマの軍団が入って来た1世紀から、ブドウの栽培が始まっています。12世紀になると、カオール・ワインは広く知られるようになり、ボルドーの港を経由して、北ヨーロッパ各地へと輸出されて行きました。その後もさらに名声は高まり、例えばロシアでは、皇帝によって公式ワインに採用されていたそうです。
私は、カオールを訪れる前から、ワインの産地であることは知っていました。しかし、その場所が南西フランスのどこかにあると言う程度の漠然とした知識しかありませんでした。ですが、偶然にカオールを訪れる機会がやって来ました。それは数年前のことですが、サンティアゴ巡礼の開始地点として、この町を選んだのです。パリから列車で直行できる巡礼道の宿場町は、カオール以外にはなかったからです。
さて、カオールの所在地ですが、パリのオステルリッツ(Austerlittz)駅から南に向かう急行で約5時間の場所にあります。ロット県の県庁所在地で、人口は、2万人強です。ロット川(le Lot)の河畔の抱かれた町で、中世に栄えた歴史を持っています。
列車でカオールに到着したのは、15 :30頃でした。
カオールの駅
予約していたホテルは、駅から5分ほどのところでした。ここに泊まるのは、一泊だけです。明日の朝から、徒歩で巡礼を始めるので、カオール観光は、到着日の半日だけでした。チェックインを済ませると、すぐに旧市街に出かけました。12世紀から14世紀かけて、黄金期(Age d’or)を迎えたこの町は、今でも中世の面影を残す街並みが残されているのです。
旧市街の中心には12世紀に建てられたサン・テティエンヌ大聖堂(Cathédrale Saint-Étienne)があります。それはフランスで最も大きなペンデンティブドーム建築(言い換えるとビザンチン様式)のひとつだそうです。
サン・テティエンヌ大聖堂
一方、カオールの西側に位置するロット川には、14世紀に建造されたヴァラントレ橋(le pont Valentré)が、当時のまま保存されています。英仏百年戦争が繰り広げられていた時代に建造された、堅固な砦を備えた橋です。
ヴァラントレ橋
カオールのサン・テティエンヌ大聖堂とヴァラントレ橋は、ユネスコにより世界遺産「フランスのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」の一部として、登録さています。
尚、カオールは中世の街並みを留めているだけでなく、美味しいワイン、トリュフ、フォアグラなどの美酒・美食にも恵まれているので、”芸術と歴史の町”(Ville d'art et d'histoire)にも登録されています。
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