今年は、「木曽紫かぶ」の1品種だけを育てました。
鮮やかな赤紫色をしています。タネの袋に書かれていた特徴は、
- カブの肉質は密で比較的かため
- カブは酢漬け、ぬか漬けに。茎葉も漬物に
だそうです。昨日報告した大根の「紅くるり」との比較・・
紅くるりの色は真紅。木曽紫かぶは、色の名前でいうと葡萄染(えびぞめ)に近いかな。この紫色は平安時代の宮廷でも好まれて高貴な色です。現在では葡萄の漢字は果物の「ぶどう」に当てられています。
断面はというと
木曽紫かぶは、紅くるりと違って中心部分には色がつきません。食べ方や調理の方法について。上記通りにタネ袋では漬物推しとなっています。ただ、色素がアントシアニンだから酢漬けにすると真っ赤になってしまうのですよ。せっかくの高貴な色が台無しに。加熱したら色は薄く青色方向に偏りました。この高貴な色をそのままに調理する方法はないかなぁと探っている最中です。そのまま食べるとボソボソでおいしくない。極薄にスライスして油分多めのドレッシングを和えればなんとかなりそうかな。今年タネを切らして作らなかった「スワン」は肉質が柔らかくおいしいし栽培もしやすいです。色物ではない蕪を栽培するのならスワンをお勧めします。
蕪と大根の違いについて。蕪は胚軸の部分が肥大し、そこが食べる部分です。写真にあるねずみのしっぽのようなところは根です。一方、紅くるりは大根であり、「ねずみの尻尾」(写真では尻尾を除去してあります)はもちろん、その上部も根に当たります。大根は根と共に胚軸も肥大して一体化しますが、根には側根が出た痕跡があるので区別できます。例えば青首大根の緑色で側根の窪みが無いところは胚軸になります。
ちなみに、蕪の「ネズミの尻尾」を食べると大根みたいな味で辛いですよ。
種子においても蕪と大根の違いが見られます。
左から順に、蕪「木曽紫かぶ」・二十日大根「コメット」・ミニ大根「紅くるり」・青首大根「源光」
タネのレベルでも蕪と大根が区別できます。収穫物では、二十日大根は蕪と変わらないように見えますが、正真正銘大根の仲間と分かります。
大根以外のアブラナ科野菜のタネは、蕪と同程度の大きさです。この小さなタネグループが好光性種子だと解説しているサイトがあるわけなのですが・・・
その根拠やエビデンスを探したのですがよく分かりませんでした。誰かが適当に載せた情報がコピペで増殖したということでしょうか。これらの野菜のタネは、土の中1cmの深さに播いても普通に発芽できます。なので現場ではこの情報は無視していいと思います。
【まとめ】
- 木曽紫かぶは葡萄染(えびぞめ)の高貴な色をしている。蕪の中心には色がない
- 肉質は緻密でかため。調理方法として漬物が薦められている
- 色素がアントシアニンなので酢などで酸性にかたむくと赤く変色する
- 蕪は胚軸が肥大した部分、大根は胚軸と根が肥大した部分を食べている
- 蕪、大根共に葉もおいしく食べることができる
- 蕪でも細長い根の部分は大根のような辛味がある
- 蕪と大根の違いはタネの大きさでも区別ができる
- アブラナ科野菜の小さなタネグループは深さ1cmに播いても問題なく発芽するため栽培品種において好光性種子とするのは正しくない
【今後の予定】
- ニンジンなどの好光性種子の発芽について、野菜栽培にメリットになる方法があれば確立してみたい。
- 大根やキャベツ、白菜は食べきれないほど穫れたので下処理して冷凍保存したいと思います。