以前、多肉植物のリトープスを紹介した時に、気孔を観察するつもりであると記しました。気孔を見るために大切なリトープスを切り刻むことは避けたいので別の方法で調べることにしました。
今回はその前段階として観葉植物のモンステラ、オリヅルラン、ベンジャミンゴムの葉を用いて、表皮を剥がしての検鏡と、レプリカ法による検鏡を比較してみました。
今回のレプリカ法では、無色透明なマニキュアを使用しました。以下簡単な手順・・
- 葉にマニキュアを塗り乾かす
- 透明な両面テープをスライドグラスに貼り付け、剥離紙を剥がす
- 2の両面テープ部分で葉上で乾燥したマニキュアを剥がしとる
- 顕微鏡で観察する
まずはモンステラ
写真の上が葉裏の表皮を剥離して検鏡したもので写真下がマニキュアによるレプリカ法で試料を作製し検鏡したものです。
気孔の周りはバラの花のように細胞が取り囲んできれいです。レプリカ法では細胞の並び方の像が剥離検体に比べてはっきりしていませんでした。
拡大して比較すると・・
オリヅルラン
写真の左が葉裏の表皮を剥離して検鏡したもので写真の右がマニキュアによるレプリカ法で試料を作製し検鏡したものです。
剥離とレプリカでは気孔の写り方がかなり違いました。
拡大して比較すると・・
最後にベンジャミンゴム
同様に写真の左が葉裏の表皮を剥離して検鏡したもので写真の右がマニキュアによるレプリカ法で試料を作製し検鏡したものです。
ベンジャミンゴムは剥離がなかなかうまくいかなかったため表皮以外の緑色の部分が紛れて観察しにくくなりました。その点、レプリカ法は試料作りに苦労することはありませんでした。
拡大して比較すると・・
【まとめ】
- マニキュアによるレプリカ法は試料作りに苦労することもなく簡単に検鏡できます
- レプリカ法では気孔の開閉の様子がはっきりわかります
- レプリカ法は細胞表面の凹凸に影響するので、剥離試料と像は異なります
- レプリカ法では葉緑体など細胞内構造を見ることはできません
- 気孔の様子を調べるのに、先にレプリカ法を試すのが合理的です
- マニキュア以外に液体絆創膏や接着剤、木工用ボンドが利用できるようです
次回はリトープスの気孔をレプリカ法で観察した結果を報告したいと思います。