2月18日投稿の「水栽培中のヒヤシンスが咲き始めました」の継続レポートです。本日の様子が・・
前回と同じ順番に並んでいます。すなわち、使用の水は左からコントロールとして水道水、次がメネデール100倍希釈液、右がアスピリン処理後に水道水に換えたものです。
一番最初に咲いたのは右のアスピリン処理した球根で2月15日から。その後花茎が伸びて花が重くなったため傾いてしまい、何かの拍子に花茎がポキリと折れてしまいました。花瓶でもヒヤシンスの良い香りしています。
そしてアスピリン処理球根が咲き始めてから15日後の3月2日からコントロールが咲き始めました。一番コストをかけているメネデール株は咲くのが一番遅くなったという結果に。1球ずつの観察なので個体差の影響は排除できません。しかし いずれにしてもメネデールを使用する意味は全く無かったという結果です。
水栽培では根を詳しく観察できるという特徴があります。ヒヤシンスの根を見てみると・・
これはアスピリン処理球根の根。球根に近い方ではこのように根の横じわが目立っていました。このしわは根の先端側では見られませんでした。
メネデール株ではどうかというと・・
根の太さはアスピリン株(直径2.6mm前後)より細い(直径1.5mm前後)ものの、同じように球根に近い方の根で横じわが見られました。コントロール株でも微妙な違いはあるものの、メネデール株と同様でした。
どのようにしてこの横じわができるのでしょうか、また、この横じわは何の意味があるのでしょうか。
まず、どのようにして、ですが、日本植物整理学会Q&Aの登録番号3390で回答がありました。根の「皮層」が縮んだときでも その外側にある表皮は変化しないので表皮が弛んで横じわができるそうです。皮層が縮む原理は、皮層細胞が吸水すると細胞内を走るセルロース繊維の方向性から横方向に伸びるため、結果的に皮層が縮むということらしいです。厳密にはポアソン比的な考え方なのでしょうが、イメージとしては「横太りがするほど背が縮む」・・みたいな・・
この反応のタイミングについては、球根自身が地上に出てしまう懸念があるときだそうです。具体的には昼夜で大きな温度差を感知すると、球根自身が地表近くにいると判断してこの根を生じさせ土の中に潜ろうとします。逆に温度差が小さいと、地中深くにいると判断してこの根はできないそうです。この根のはたらきから牽引根または収縮根といいます。困難な環境でも生き延びようとする植物の面白い仕組みだと思います。
【まとめ】
- メネデール処理よりコントロールの方が先に咲き始めました。個体差は否定できませんが、早く咲かせるという観点ではメネデール処理のコストをかける意味はないと言えます
- アスピリン処理では根の数が減ったのでその分根の太さがコントロール、メネデール処理より太くなっていました。
- 水栽培でも球根に近い側に牽引根の特徴である横じわが現れました
- 特に根が太いアスピリン処理株で横じわが顕著でした
- 牽引根は球根が地面より上に出ないように引き留める役割があり、ユリやアヤメなどの球根にも見られるそうです
- 牽引根ができるタイミングは、球根が昼夜の温度差を指標にして地表近くにいると判断した時だそうです