植物のふしぎ

植物をはじめ、生物のふしぎな生態をレポートします。
🌷ガーデニング・家庭菜園・草花と自然🌷

「ロマネスコ」とフラクタル

2024年11月20日 | 家庭菜園

みなさん、ロマネスコという野菜はご存知でしょうか?たいへんおもしろい形の花蕾をもったカリフラワーです。以前、苗から育ててみた印象は、菜園の占有面積にしては収穫できる花蕾が小さいなといったもの。さらにカリフラワーなので一株に一つしか収穫できないからブロッコリーに比べてコスパは良くないなぁと感じました。面白い形なので一度は栽培してみるのもいいかもしれません。苗だけでなくタネも売っています。今回、画像に使用したロマネスコは先日スーパーで手に入れたものです。

一つの花蕾は大きくみれば一つの円錐の形状をしています。さらに幾つもの円錐状パーツがくっついて一つの花蕾を形作っています。円錐表面にある粒々も円錐であり、それが渦巻き模様を作り目が回りそう。よく見ると、渦巻きは右回りと左回りのものがあります。そして各渦の本数は、以前に「すご〜い背の高いひまわり」で解説した通りにフィボナッチ数列と関係しています。

拡大してみると・・

美しい模様です。一つ一つの円錐表面に並ぶ粒々は、それも自体も円錐状をしており、その表面にも粒々があることがわかります。さらに拡大すると・・

さらに拡大して顕微鏡・・

小さな粒々にもさらに小さな粒々があり、これを含めると円錐状の繰り返しが6回でした。最後の一番小さな粒々の表面にはそれ以上の渦巻きは観察できませんでした。

これの花を咲かせてみるのも面白いかもしれませんね。花穂の出方ってどうなるんでしょう。渦巻き状にたくさんの花が咲くのでしょうか?


数学用語であるフラクタル(fractal)とは・・

フラクタルはマンデルブロ(B.B.Mandelbrot)によって作り出された語で、次の二つの性質を持つ形状のことです。

  1. 形状に自己相似性がある
  2. 形状を特徴づける長さを持たない

ここで「特徴づける長さ」とは、例えば球の半径や物体の長さのように、図形の特徴あるいは性質を決める長さをいいます。 フラクタルでは、いくら拡大や縮小をしても同じ相似図形が現れるので、 一つの長さでその図形を特徴づけることができません。 完全なフラクタルとは言えませんが、それに近い形状は雲の形、稜線や海岸線、植物の枝や葉の様子など自然界に実に多く見ることができます。一見複雑に見える植物の形でも基本となるルールは限られ、それが繰り返されているだけで、後は風などの物理的な力が加わったり、虫に食べられたり、光を受ける方向が偏ったりと外的要因によって形状に影響し複雑化していると考えることができます。

今回のロマネスコの渦巻きや円錐がマトリョーシカのように繰り返す様子も「フラクタル的である」と言っていいでしょう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

長野県の平地でも紅葉が見頃に

2024年11月19日 | 日記

久しぶりに川中島古戦場史跡公園で散歩しました。11月14日は暖かで気持ちの良い散歩日和でした。

以前、公園内の台座に佐久間象山像がありましたが、現在プレートに「信濃国 川中島古戦場」と書かれた台座には誰もいませんでした。2017年7月から公園名が「八幡原史跡公園」から「川中島古戦場史跡公園」に変更になって佐久間象山像は松代小学校に移されたようです。また、以前あった紅葉の木も見当たらず。年月立てば少しずつ変わっていくのですね。


長野市立博物館前の池ではガマの穂が見られます。

まるで串に刺したソーセージ。この穂をつまんでみると綿毛がブゥアって爆発して面白いのですよ。綿毛がもこもこと湧き出してくる感じになります。大人気ないのでわたしはやりませんでしたけれども・・

写真のように、綿毛がモコモコと自然に「爆発」している穂もありました。なぜそうなるかというと、ソーセージの形状のときは、綿毛がついた小さなタネがぎっしり詰まって支え合っている状態なのです。風や鳥がとまった刺激で、一箇所でも綿毛が飛び出すと、タガが外れたように次から次へと綿毛が湧き出すといったしくみです。

・・と書いているうちに、やっぱりモコモコやっておけばよかった。。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

キショウブのタネは軽い

2024年11月18日 | 野草・山野草

今回はキショウブのタネのお話。

タネだと見だし写真的にイマイチなのでお花の写真を載せようと思いました。しかし、川中島古戦場史跡公園で撮っていたはずの写真が見つからず。。しかたなく18年前の善光寺庭園のキショウブの写真としました。

2006年6月7日の写真。キショウブは明治時代に観賞用として日本にもたらされた外来種です。

ハナショウブやカキツバタと比べて栽培が容易なので日当たりの良い水湿地の植栽に利用されています。しかし、現在は侵略的外来種ワースト100に指定されており野生化には注意が必要です。


ある公園でキショウブの種がこぼれ出ているのを見つけました。半野生化している箇所でしたのでそれを採取させてもらいました。

果実はカキツバタに似ています。熟すと3裂します。上の写真、大きめの果実を解体してみると・・

中には66個のタネが入っていました。このタネはやや痩せ気味でした。

別の果実からの充実したタネをとってきて拡大して見てみると・・

タネは扁平で丸い缶詰のような形をしていました。直径7~8mm、厚さ2~5mm。非常に軽く水に浮く性質を持っています。これにより水に流されてタネが遠くまで運ばれるようにできています。

キショウブのタネは、どのくらいの密度か調べました。実験器具は0.01gまで量れる秤と10ml用の注射筒です。

タネの体積の求め方:

  1. タネ20粒の重さ(S)を測定。
  2. 注射筒の目盛10mlまで水を吸い上げ全体の重さ(a)を量っておきます。
  3. 次に注射筒にタネ20粒を入れ、注射筒に水を吸い上げできるだけ空気を除き目盛10mlのところに合わせます。その重さ(b)を測定。
  4. タネ20粒の体積(v)=a-b+S・・(水の比重1mg/mlを利用)
  5. タネの密度(d)=S/v

タネをかえて3回繰り返し測定、合計60粒の重さと体積を測定し密度を求めました。

タネ1個の平均の重さは、0.0668g

タネ1個の平均の体積は、0.136ml

タネの密度は0.491g/ml これは乾燥した檜材レベル。

タネを割ってみると中に空洞がありました。

タネの密度は水の半分以下であり、これなら難なく水に浮きます。


まとめ:

  1. キショウブは水辺に生きる植物で、観賞用として明治時代に日本に導入されました。
  2. キショウブのタネは、扁平で丸い形をしており密度が約0.49g/mlで水の半分以下です。
  3. タネを難なく水に浮かせて拡散させることで生育地域を拡大する戦略をとっています。地下茎でも増殖します。
  4. 侵略的外来種ワースト100に指定されています。
  5. タネが水に浮きやすいことから、栽培地域の水がそのまま外部に流れ出ないよう注意を払う必要があります。特に貴重な山野草が生育している地域に侵入させてはいけません。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

柿の季節・次郎柿と禅寺丸が甘くなるひみつ

2024年11月16日 | 家庭菜園

秋も深まり柿やりんごなどの果物がおいしくなってきましたね。今回は庭で育てている柿の2品種を紹介したいと思います。

本来、果実表面にはブルームがあるのでやや白っぽさが感じられます。この写真では磨いてから撮影したので実の表面が輝いています。

左二つが禅寺丸、右二つが次郎です。禅寺丸は丸みがあり、次郎は扁平でやや四角味を帯びた丸い形をしています。実の大きさは全体で比較すると次郎の方が大きめになります。上の写真で一番左の実は中央に亀裂が入っており、これは果頂裂果といいます。実にタネが多く稔るとそうなることがあり、その特徴は次郎についても同じです。写真の次郎は裂果していないので、おそらくタネの数は少ないはずです。熟す時期は禅寺丸の方がやや早く、現在が収穫適期後半です。次郎はもう少し先に収穫した方が甘くなるかも。果肉の固さは収穫時期にも影響しますが、両者とも固めの柿と言われています。現時点で比較すると禅寺丸の方がよりシャキシャキとした食感がありました。


次に果実断面の観察です・・

左が禅寺丸で右が次郎です。最初に禅寺丸について。この品種は鎌倉時代の1214年に神奈川県の王禅寺で発見されたと書かれていました。発見された年が正確に分かっているのってすごい。古文書ですかね。かつては関東で主要な品種でしたが現在では富有柿などの受粉樹として利用されることが多いとのこと。不完全甘柿であることがネックになったのかもしれませんね。不完全甘柿とは、タネが多く入った時にのみ渋みがなくなる柿のこと。タネの有無に影響されず常に甘柿になる完全甘柿が存在する現代では安心して販売できるのは後者の方ですから。

果肉の色については、タネが多く入ると写真のように実全体が褐色になり、反対にタネの数が少ないと次郎の果肉と同様な明るい黄色となります。褐色になることを「ゴマが入る」といってタンニンが不溶性になることで生じる色の変化です。すなわち、タネが多く入っている禅寺丸は果肉が褐色となり渋みが出ない甘柿になり、タネが少ないと果肉の色が明かるい黄色で渋みが残ります。その機序は、タネが分泌するアセトアルデヒドが可溶性のタンニンと縮合重合し不溶性にするので渋みが感じられなくなるということでした。

今年はこれまで十数個の禅寺丸を収穫して全て甘柿でした。これまで育ててきて これほど良い成績は初めて。ひどい時は甘柿率2〜3割だった年もありましたから。受粉時の気候が良かったからなのか?今年は6月〜10月の気温が平年より「高い」〜「かなり高い」で推移しました。それも良かったのかな?よく分かりません。

一方、次郎は完全甘柿です。写真を見るとわずかに褐色の斑点が見えるのでこれが不溶化したタンニンでしょう。でも禅寺丸がこんな色だったとしたら食べられないくらいに渋いです。完全甘柿はどういった仕組みで渋くならないのでしょうか。果肉の色との関係も興味あるところです。

調べた内容を簡単にまとめてみると・・完全甘柿ではタネからアセトアルデヒドが分泌される以前の段階で液胞中に貯められている可溶性タンニンが固化して不溶性になるようです。果肉が褐色になるのは重合不溶化したタンニンが酸化することによるそうですが、完全甘柿の場合は不溶化の機序が異なるので酸素と触れる機会が少なく褐色化しないということらしい・・(私もよく分かっていないのですが)

また、不完全渋柿(タネが十分稔っても渋い部分が生じる柿)の平核無柿を脱渋する技術についても面白い知見がありました。収穫後に二酸化炭素やエタノールによる普通の方法で脱渋した場合は果肉の色は黄色ですが、樹上脱渋といって収穫前からエタノールなどにより脱渋すると上の写真の禅寺丸のような褐色の果肉になっていました。まず脱渋の機序について簡単に述べると、二酸化炭素下では解糖系のピルビン酸が正常分解されずにアセトアルデヒドに変化し、エタノールの場合はエタノールの酸化物質がアセトアルデヒドである、というようにアセトアルデヒドを生じさせることが脱渋に欠かせません。収穫後に脱渋をした場合は不溶化タンニンが酸化する前に消費されるので果肉が黄色いままなのでしょう。一方、樹上脱渋では生命活動中の脱渋のため不溶化タンニンに酸素が触れる機会が生じて褐色に変化するものと推測できます。

タネの断面にも注目。この段階で胚乳の中に立派な子葉が作られているのですね。


次は実のつき方について・・

これは禅寺丸です。ひとつの果実を美味しく育てるのに必要な葉の枚数のことを葉果比といい、柿の場合は1果当たり葉が20枚あると良いそうです。いつだったかNHKの趣味の園芸で三輪正幸さんがそう言っていたような記憶があります(定かではありません)。禅寺丸の場合、見た感じでまあまあの葉果比かな。

そして次郎柿はというと・・

これは明らかに実のつけすぎです。適切な葉果比にするために摘蕾や摘果が必要なのに面倒なのでやっておりませんでした。どういう経過かというと・・

柿は、生理落果といって、受精していなかったり果実間での競争による栄養不足になった幼果が落果します。これが6月下旬ごろありますが、今年、莫大についた実がそれでは落下しきれずに8月を越してしまいました。9月に入り禅寺丸の方は理由は不明ですがそこからボタボタと多数の実が落果してほぼ適正な数になりました。一方で次郎柿の方は落果せずにたくさん稔ったままとなりました。多く実らせてしまったので隔年結果の習性により来年の実付きは期待できなくなりました。


次に病気について・・

 

左の写真(1枚目)は禅寺丸の葉です。手前の3つの黒いシミはうどん粉病の病斑痕です。柿のうどん粉病の場合、感染初期では白い粉にはならずに黒いシミになるようです。そして、右奥の黄色い葉にある黒く丸いのは丸星落葉病の病斑です。落葉病に感染すると文字通りに落葉が早まってしまいます。ひどい場合は9月中から落葉が激しくなるといった具合です。散歩中、手入れされていない柿の木で落葉病の病斑は見慣れていたので、柿はそうなるのが普通のことだと思って全く気にしていませんでした。しかし、自分で栽培して初めてこの病気の重大性に気づきました。落葉病になっても実は落ちませんが、柿が全然甘くならないのです。そのことがあってから毎年3〜4回、6月初旬からの農薬散布をするようになりました。しかし今年は防除時期を少しずらしたら普段より多めに病斑が出てますね。うどん粉病については2年前から禅寺丸で見られるようになりました。落葉病よりは影響力は低いと思われます。落葉病とうどん粉病の両方に適応のある農薬もあります。

次郎柿の方はうどん粉病は出ませんでしたが落葉病の病斑が禅寺丸より多く出てしまいました。

この後、感染した落ちた葉は拾い集めて廃棄しないといけません。それが翌年の感染源になってしまいますから。美味しいカキを食べるのも大変なのです。


結論

  1. 完全甘柿では、不完全甘柿とは異なる機序でタンニンを不溶化しています。それにより渋みがなくても果肉の色が明るい黄色になります。
  2. 不完全甘柿の甘柿率を上げるのは天候や送粉昆虫任せによるところが大きいかもしれません。今年の禅寺丸は良い出来でした。
  3. 不完全甘柿の場合タネが多く入ると渋が抜けるメリットがある一方、果頂裂果が起きやすくなります。自宅消費する分にはあまり問題にはなりません。
  4. 特に次郎柿は生理落果だけでは適した葉果比にならないので摘蕾、摘果しないと実がつきすぎる傾向があります。今年は成らせすぎたので来年の実付きは良くないと思われます。
  5. 落葉病の農薬防除は手を抜かず時期も回数も計画通りに実行したほうが良さそうです。そうしたとしても落葉病は発生します。
  6. 落葉病対策に落ち葉を放置せずに回収することも重要な作業になります。
  7. 柿の食べ過ぎは胃石(胃の中でタンニンが胃酸により変化し食物繊維を巻き込んで塊になる病気)を起こすそうです。ほどほどに。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ヒヤシンスの水栽培

2024年11月13日 | 園芸

11月はヒヤシンスの水栽培を始めるのに適した時期です。使用する液体は水道水だけでなく、ちょっと変わったものを水に入れてみたらおもしろいかも・・ということで簡単な実験をしました。

水栽培用の球根を三個買ってきて11月3日に開始しました。一つは水道水、そして100倍希釈のメネデール、それから500mg/Lのアスピリンとしました。メネデールを採用したのは製品のホームページの6コマまんがに「ヒヤシンスの水耕栽培」として紹介があったから。メネデールを入れると違いが出るのか、はたまた そうでもないのか?そしてアスピリンはどこかのネット情報で切り花が長持ちすると書いてあったので、ヒヤシンスの水栽培でも何か違いが出るかもと思い実験に入れました。アスピリンの加水分解で生じるサリチル酸は植物ホルモンの一種なので何らかの影響が見られるかも。。という期待。

11月3日、水栽培開始時の写真・・

左が100倍希釈メネデール入り、真ん中が500mg/Lアスピリン、右がコントロールとして水道水です。既に発根しているように見えますが、これは元々球根に付いていた枯れた根です。きれいに取り除いてから始めれば良かったかな、と少し後悔。


そして1週間後の写真・・この期間、水は換えませんでした。

左が水道水、真ん中がメネデール入り、右が500mg/Lアスピリンです。

水道水とメネデール入りは根の伸長具合は同程度のようでした。アスピリンでは根がほとんど伸びていませんでした。水の濁りについては水道水とメネデール入りで見られ、特に水道水の濁りが顕著でした。アスピリンでは、下の方にふわふわとした綿のようなものが・・これは何でしょう?球根の古い根にも似た感じで水カビのようなものが付着していました。

アスピリンの球根の根はどうなっているのか?と思い、球根をひっくり返してみると・・

アスピリン球根のお尻部分の写真です。実は開始後1日目では全ての球根で同程度根が伸長していたのです。しかし、アスピリンはそれから先、一切伸ばさなくなりました。根が傷んでしまったのかというと、写真のようにそうでもなさそうです。水を感じて根を伸ばし始めてみたものの、「ん?なんか変、伸ばすのや〜〜めた」と言った感じ。球根の気持ちを代弁してみました。


水が濁る原因について。考えられるのは、

  1. 球根の一部が溶解した
  2. 根から何らかの物質が出されそれが濁って見える
  3. 水が腐っており細菌や微生物が生じている。

ということで顕微鏡で濁った水を観察してみました。すると・・

写真のナンバー1〜3が水道水に見られた微生物、4がメネデールでみられた微生物です。2と3は同じ種類でしょうね。微生物の名前はちょっと分かりません。テトラヒメナ?とか?どれもすごいスピードで泳いでいました。ゾウリムシと同じく繊毛で泳いでいる繊毛虫門の微生物でしょう。その他にも小さな丸い粒が少しずつ動いていたりしたので他の微生物も存在しているのだろうとは思います。細菌に関しては100倍で観察しているので判別つかなく分かりません。少なくとも写真で示した微生物の数は圧倒的に多いので、これらの繁殖が水を濁らせている主因だということは言えます。

これらの微生物がどこからやってきたか?水道水やプラスチック製品に卵が付着していたとは考えられないので球根の底の部分にいたんでしょうね。漂白剤添加の条件も作っておけばよかったかな。


植物ホルモンの一つであるサリチル酸について、ネット検索した内容を書き留めておきますね。

植物は様々なストレスにさらされており、病原菌の感染、乾燥などの環境変化、虫からの食害のストレスに対してはそれぞれサリチル酸、アブシジン酸、ジャスモン酸をシグナル伝達物質として生合成してこれらのストレスに耐えるためのタンパク質合成を始めるそうです。感染に備える防御機構の一つである全身獲得抵抗性は、サリチル酸の生合成により誘導されますが、これは、アブシジン酸が誘導する環境ストレス抵抗性を抑えてしまうということでした。逆に環境ストレスによってアブシジン酸が合成されている状況では全身獲得抵抗性が抑えられるそうです。虫食いによるジャスモン酸も含め三種のホルモンは植物が受けるストレスの種類と大きさなど、その時々の緊急性にあわせて どのストレス抵抗性を優先させるか制御しているということが分かったそうです。

・同時に種類の異なるストレスがかかると植物にとっては対処できずに危機ということ。だから菜園でも野菜の気持ちになって幾つものストレスを与えないように気をつけなきゃ、ですね。

  • 2012年6月14日のNature

natureダイジェスト 「生死のスイッチ

プログラム細胞死(PCD)は病気になった細胞を死滅させて感染を広がらないようにする意味があります。PCDが起きないようにするためにNPR1という核内移行タンパク質が関係しています。関連タンパク質のNPR3とNPR4は、NPR1とタンパク質分解装置のプロテアソームを結びつけるアダプタータンパク質で これにサリチル酸が結合することで活性化し複合体形成に関与するということ。そしてサリチル酸は(NPR1+NPR3)複合体を促進する一方、(NPR1+NPR4)複合体を阻害し、さらにサリチル酸との結合親和性がNPR3 < NPR4であることから、

サリチル酸が少ない時であればNPR4と結合することで(NPR1+NPR4)が阻害されるのでNPR1がプロテアソームに分解されず細胞死は起こりません。サリチル酸の濃度が高くなると今度はNPR3に結合して(NPR2+NPR3)が促されNPR1が分解されることで細胞死が起きるということを突き止めました。植物体内でのサリチル酸濃度は感染部位から遠ざかるにつれて低くなるので、感染部分で細胞死を起こすことで局所免疫とし、それ以外の細胞は生きて全身性の免疫により抵抗性を上げているとのこと。

・ サリチル酸の濃度により細胞の生死が決まる。そうであれば、今回の実験でもアスピリンの濃度の違いが植物の反応を変化させる重要なファクターのようにも思えてきました。


結論:水は頻繁に換えたほうが良さそうです。水栽培用の充実した球根を用いればメネデールを用いなくても根の伸長は十分です。500mg/Lのアスピリンが培養液でも発根はしましたがその後の根の伸長が停止しました。


今後の予定:

アスピリンは伸長が休止しているので水道水に変えて様子を見てみることにします。メネデールはそのまま水を変えるたびに添加しておきます。そして開花まで水道水と違いが出ないか観察しようと思います。

個体差の影響を除くためにはひとつの条件に対してできるだけ多くの球根で観察する必要があります。薬品の適切な濃度を決めることに対しても複数の条件で調べるべきだとは思うのですが私にはそんな財力はなく無理というものです。さらに、部屋の中にヒヤシンスが何鉢もあると芳香を通り越して臭くなるだろうなと予想。三個でもちょっと心配になっています。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする