5月4日(金)都立新宿高校管弦学部(SPO) 
~第33回 May Concert~
国立オリンピック記念青少年総合センター大ホール
【曲目】
1.ビゼー/「カルメン」前奏曲
2. プロコフィエフ/組曲「ロメオとジュリエット」~モンターギュ家とキャピュレット家
3.チャイコフスキー/組曲「眠れる森の美女」~序曲・リラの精、第1幕のワルツ
4. ドヴォルザーク/交響曲第8番ト長調Op.88
【アンコール】
オッフェンバッハ/「天国と地獄」序曲~後半部分
【指揮】高橋里那(1~3)/大高早也香(4,E)
我が家と親しいご近所のお嬢さん、さっちゃんが出演する高校のオーケストラの定期演奏会を聴いた。ブラバンならいざ知らず、1、2年ではなかなかモノにはならない弦楽器が主体のオーケストラとなると厳しいものがある、というのが、これまで何度か高校生のオケを聴いての感想。けれど一曲目のカルメン前奏曲が始まるや、そんなイメージは瞬時に消え去り、演奏に引き込まれてしまった。
音のボリューム感は十分で響きも充実している。颯爽とした足取りで前進する演奏に心が踊った。パンチの効いた金管、殆んどが初心者とは思えない力強くしなやかな弦には驚くばかり。シンバルの音がちょっと弱かったが、これは大太鼓との兼務で撥で鳴らされていたため。もしかしてこれがオリジナルの姿?
続くプロコフィエフ、この曲は弦がしっかりしていないと訳がわからないことになってしまうが、そんな心配はこのオケには無用。力強い弦楽器の応酬に低音の金管の咆哮が加わり、激しく火花を散らし合うストーリーがリアルに伝わってきた。冒頭の不協和音はやや控え目に聴こえたが、ここは野放図なほど思いっ切り叫んでもいい。3曲目のチャイコでもオーケストラならではの華やかなサウンドを聴かせてくれた。響きがとても良く、ウキウキしたノリのワルツもメルヘンチックで素敵だった。学生指揮者の高橋さんの指揮姿にも「ワルツ」が感じられた。
後半のドボ8もとても立派な演奏だった。第1楽章では金管と弦のバランスがもう一歩と感じる場面があったり、第3楽章では音程に慎重になり過ぎてもうひとつ歌いきれていないと感じるところもあったが、第4楽章ではSPOの実力が見事に実を結んだ。団員の思いが演奏に直結し、メンバー全員が一丸となってひとつの歌を熱く歌い上げた。骨太でパンチの効いた演奏には底力があったし、緩やかな場面でもアンサンブルが脆弱になることなく、ふくよかな表情を湛えていた。冒頭の決然とした明るいトランペットや、アンサンブルを彩ったフルートの活躍、魂を燃え上がらせたホルン、がっしりとした骨格を築いたトロンボーンやチューバなど、各プレイヤーの健闘も光っていた。感動!後半に指揮を受け持った大高さんはこの大曲を暗譜で振ったが、後姿からもオケに向けられた熱い眼差しが感じられた。
殆んどが初心者で始めた高校生達が勉強も大変ななか、ここまでの演奏を聴かせてくれたことは驚嘆に値する。団員の熱意と並々ならぬ努力の積み重ねによる賜物だろう。それと同時に、優れた指導者の存在もあるに違いない。そして、先輩達から受け継がれ、33回という演奏会を重ねて築き上げてきたSPOの伝統の力も大きいはず。会場に居合わせた人達にたくさんの感動を与えてくれた演奏会だったが、これは団員たちにとってもかけがえのない体験となったに違いない。ここまでのことを成し遂げて引退する3年生は、受験勉強でもきっと力を発揮することだろう。大学でまた本格的に楽器を再開するためにも、楽器から離れてしまわないでほしい。
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~第33回 May Concert~
国立オリンピック記念青少年総合センター大ホール
【曲目】
1.ビゼー/「カルメン」前奏曲
2. プロコフィエフ/組曲「ロメオとジュリエット」~モンターギュ家とキャピュレット家
3.チャイコフスキー/組曲「眠れる森の美女」~序曲・リラの精、第1幕のワルツ
4. ドヴォルザーク/交響曲第8番ト長調Op.88
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【アンコール】
オッフェンバッハ/「天国と地獄」序曲~後半部分
【指揮】高橋里那(1~3)/大高早也香(4,E)
我が家と親しいご近所のお嬢さん、さっちゃんが出演する高校のオーケストラの定期演奏会を聴いた。ブラバンならいざ知らず、1、2年ではなかなかモノにはならない弦楽器が主体のオーケストラとなると厳しいものがある、というのが、これまで何度か高校生のオケを聴いての感想。けれど一曲目のカルメン前奏曲が始まるや、そんなイメージは瞬時に消え去り、演奏に引き込まれてしまった。
音のボリューム感は十分で響きも充実している。颯爽とした足取りで前進する演奏に心が踊った。パンチの効いた金管、殆んどが初心者とは思えない力強くしなやかな弦には驚くばかり。シンバルの音がちょっと弱かったが、これは大太鼓との兼務で撥で鳴らされていたため。もしかしてこれがオリジナルの姿?
続くプロコフィエフ、この曲は弦がしっかりしていないと訳がわからないことになってしまうが、そんな心配はこのオケには無用。力強い弦楽器の応酬に低音の金管の咆哮が加わり、激しく火花を散らし合うストーリーがリアルに伝わってきた。冒頭の不協和音はやや控え目に聴こえたが、ここは野放図なほど思いっ切り叫んでもいい。3曲目のチャイコでもオーケストラならではの華やかなサウンドを聴かせてくれた。響きがとても良く、ウキウキしたノリのワルツもメルヘンチックで素敵だった。学生指揮者の高橋さんの指揮姿にも「ワルツ」が感じられた。
後半のドボ8もとても立派な演奏だった。第1楽章では金管と弦のバランスがもう一歩と感じる場面があったり、第3楽章では音程に慎重になり過ぎてもうひとつ歌いきれていないと感じるところもあったが、第4楽章ではSPOの実力が見事に実を結んだ。団員の思いが演奏に直結し、メンバー全員が一丸となってひとつの歌を熱く歌い上げた。骨太でパンチの効いた演奏には底力があったし、緩やかな場面でもアンサンブルが脆弱になることなく、ふくよかな表情を湛えていた。冒頭の決然とした明るいトランペットや、アンサンブルを彩ったフルートの活躍、魂を燃え上がらせたホルン、がっしりとした骨格を築いたトロンボーンやチューバなど、各プレイヤーの健闘も光っていた。感動!後半に指揮を受け持った大高さんはこの大曲を暗譜で振ったが、後姿からもオケに向けられた熱い眼差しが感じられた。
殆んどが初心者で始めた高校生達が勉強も大変ななか、ここまでの演奏を聴かせてくれたことは驚嘆に値する。団員の熱意と並々ならぬ努力の積み重ねによる賜物だろう。それと同時に、優れた指導者の存在もあるに違いない。そして、先輩達から受け継がれ、33回という演奏会を重ねて築き上げてきたSPOの伝統の力も大きいはず。会場に居合わせた人達にたくさんの感動を与えてくれた演奏会だったが、これは団員たちにとってもかけがえのない体験となったに違いない。ここまでのことを成し遂げて引退する3年生は、受験勉強でもきっと力を発揮することだろう。大学でまた本格的に楽器を再開するためにも、楽器から離れてしまわないでほしい。