結婚30周年を記念して2019年9月に出かけたドイツとイタリア旅行は、訪れたそれぞれの地でたくさんの発見と出会いと再会があり、思い出深い旅となりました。 一方で、個人旅行ならではのハプニングにも事欠きませんでした。それは不可抗力のせいだったり、自分たちの(だいたいボクの・・)不注意や勘違いが原因だったりいろいろですが、それぞれがドラマや謎を孕んでいます。ここではそんなハプニングを紹介していきます。 |
ドイツ&イタリア旅行2019 ハプニングシリーズ6
「鍵のミステリー」
旅行最後の一日をボローニャで楽しく過ごし、結婚記念日のお祝いに美味しいディナーを済ませたところまでは、ハプニング続きの旅行にしては珍しく順調だったことは前回の記事でレポートしました。しかしこのあと、とんでもない事件が待ち受けていたのです。
~9月23日(月)夜~ 「ドナテッロ」はすべてが申し分なしの素晴らしいレストランだった。しかも2人で79ユーロ、ひとり5000円に届かない値段でこれだけのディナーを頂けるなんて、さすがグルメの街ボローニャだ。 盛りつけも上品で最後まで美味しく頂くことができた。旅行中の食事は1品の量が多過ぎて苦しくて食べきれないこともしばしばあったので、プリモは頼まず、アンティパストとセコンドだけにしたが、ここのお店の定番と言われているらしいプリモのボロネーゼ(ミートソースパスタ)も2人でシェアすれば行けそうだった。 そもそもこういうレストランで一品を2人でシェアするなんてNGだと思っていたが、隣にいた夫婦も普通にやっていた。ここのボロネーゼを食べるためにまた来よう! |
ホテルにはバスで帰るつもりだったが、せっかくの旅行最後の夜なのでマッジョーレ広場まで夜景を楽しみながら夜のボローニャを散歩した。
マッジョーレ広場からバスに乗りホテルへ戻った。小さなB&Bなのでおもての扉はロックされていて持って出た鍵で開ける。そこを開けて階段を上がるとホテルエリア。部屋のドアは持って出たもう一つの鍵で開ける。ところがドアを開けようとした奥さんが「開かないよ…」
ヨーロッパの古めかしい鍵は慣れないと開けるのがタイヘンなことが多い。「どれどれ」と僕がやってみたがやっぱり開かない。どうしたんだろう… すると奥さんがキーホルダーに「6」の番号が印字されていることに気づいた。僕らの部屋は3番だ。持って出た鍵が別の部屋の鍵と入れ替わっている?「まさか!」けれど何度ガチャガチャやっても、どんなに力づくで回そうとしても開かない。
閉めるときはオートロックなので鍵は使わなかったがこの鍵を持って出たわけで、それがいつ、どこで入れ替わったのか?? これは困ったことになった。オーナーのアレッサンドロさんは夜はいないと言っていたが、管理人室のドアをドンドン叩いてみた。やはり返事はない。
自分たちが置かれている状況がだんだんわかってきたら、心臓の鼓動が速くなって顔が青ざめてきた。明日は帰国の日。アレッサンドロさんに早朝のタクシーを予約してもらっている。出発が早いので朝食は間に合わないと言われ、今朝、朝食用にパンやヌテラや果物を持たせてもらい支払いも済ませた。つまり、僕らが出発する時刻にはアレッサンドロさんはまだいない?部屋が開かなければ荷物も出せないし、タクシーが来たって出発できない。飛行機に間に合わないではないか!
奥さんがアレッサンドロさんの電話番号を控えていたので電話しようとしたが、スマホの電話機能が働かない。旅行中ずっと使えていたのに… どこかに合鍵がないかと、オーナーの机の曳き出しを無断で開けてゴソゴソと探した。鍵が一つあったが、それは朝食用のキッチンの鍵だった。
持っている鍵の6号室の人が何か知っているかも、と6番の部屋をノックした。返事はすれどドアは開けてくれず、英語は全く通じない。仕方なくドア越しにつたないイタリア語で訴えた。「6番の鍵、持ってます。僕たちの部屋は3番。」ドアの向こうのヌシは意味がつかめないようで「6番はこの部屋だ!」と返事したっきりで終わり。明らかに不審なヤツだと思われている。夜の10時過ぎに知らないガイジンの男がドアを叩いてわめいていたらそれも仕方ない。「聞いてください!僕たちの部屋は3番なんだけど、ここに持っている鍵は不思議なことに6番で部屋に入れないんです。アレッサンドロさんに電話してくれませんか。」
ようやく部屋の主はドアを開けてくれた。6番の鍵を見せると「Grazie」と一言お礼を言って鍵を受け取るなり、ドアを閉めてしまった。こりゃ困った。鍵を渡しただけでは何の解決にもならない。「アレッサンドロさんに電話してください!」とまたドア越しに懇願。
やがて部屋で怒鳴っている声が聴こえてきた。電話している様子。「どういうわけで知らない外国人がこの部屋の鍵を持ってたんだ!?」と文句言ってる感じ。そのうち声は聞こえなくなった。電話して文句言って終わり?こっちがすごく困ってるのはわかっているはず。何か説明してくれてもいいではないか。
こうなったら頼みはヒロコさんしかいないと思ったが、スマホの電話が機能しないので電話できない。もう一度6番のドア越しに「アレッサンドロさんに来るよう伝えてください!」と怒鳴ると、中から「Arriva adesso!(いま来るから!)」と返事があった。
それを信じて待つこと30分あまり。おもての扉の音がガチャンと聞こえ、階段を靴音が上がってきた。ドアが開いてアレッサンドロさん登場!助かった。「夜遅くゴメンナサイ。部屋に入れないもんで… どうして6番の鍵を持っていたんでしょうか。ケ・ストラーノ(なんて奇妙な…)」アレッサンドロさんも申し訳なさそうに「恐らくだけれど…」とどうしてこんなことが起きたかを推測して説明してくれているが、僕のイタリア語ではよく理解できない。
とにかく合鍵で3号室を開けてくれた。ひととおり部屋を見回したが鍵は見当たらない。「明日の朝、タクシーが来る7時までにまた来ます。おやすみなさい。」と合鍵を渡してくれた。アレッサンドロさんは穏やかで優しかった。こんな夜遅くに呼び出され、鍵がないと言われ、6番のお客には怒鳴られたのに。とにかくこれで早朝に発つための荷造りもできる。シャワーもできるし、眠れる!
シャワーをしていたら、奥さんが来て「あったよ!」と3番の鍵を目の前でプラプラ。つまり3番の鍵は部屋に置いたまま6番の鍵を持って出かけていたのだ。でもどうして6番の鍵?
今朝ホテルの支払いを済ませたとき、近くにあった鍵をうちのだと勘違いして持って行ってしまったか。或いは、アレッサンドロさんが領収書と一緒に、まだもう一泊するから鍵を渡しておかなきゃとそこにあった鍵を僕に渡してしまい、無意識に受け取ったか。いずれにしても鍵は部屋に忘れていたと知ったら、温厚なアレッサンドロさんも呆れはてて怒るだろうな…
~9月24日(火)~
翌朝7時前、アレッサンドロさんはもう来ていた。昨夜借りた合鍵と見つかった鍵を「ありました」と渡すと、ホッとした表情でにっこりと受け取ってくれた。おまけに奥さんにプレゼントと言って、可愛い小さなストラップをくれた。タクシーが到着。アレッサンドロさんは重いスーツケースを持って階段を下り、タクシーまで運んでくれた。お礼を言って握手をしてタクシーに乗り込んだ。天気は快晴。ボローニャに着いてから初めて見た太陽、ちょっと悔しい。
渋滞もなく15分で空港に到着。チェックインも出国手続きもスムーズに済ませ、空港内のBarでカッフェ・マッキアート(ミルクを垂らしたエスプレッソ)を頼み、アレッサンドロさんから朝食用にもらっておいたブリオッシュを食べ、最後のイタリア気分を味わった。
そしてトランジット地のパリへ向かう飛行機に搭乗した。
その後、定刻通りにパリのシャルルドゴール空港に到着、トランジットも至ってスムーズで成田へ。行きは届かなかった荷物も、帰りはちゃんと成田まで一緒に届いていた。四半世紀ぶりの夫婦2人の旅行は、数々のハプニングに見舞われながらも大過なく楽しく、無事に帰宅に至った。
なんでこんな何の変哲もないことをダラダラ書くのかって?それがですねー、ハプニングはまだ続くのです。このあと、旅行中に予期せぬ大事件に巻き込まれていたことが発覚するのでした。
(もう一話続くハプニングシリーズ)
ドイツ&イタリア旅行2019 ハプニングシリーズ 1「誤算続きの旅行初日」
ドイツ&イタリア旅行2019 ハプニングシリーズ 2「どうなってんの?DB ~その1~」
ドイツ&イタリア旅行2019 ハプニングシリーズ 3「どうなってんの?DB ~その2~」
ドイツ&イタリア旅行2019 ハプニングシリーズ 4「どうなってんの?DB ~その3~」
ドイツ&イタリア旅行2019 ハプニングシリーズ 5「憧れのフレッチャロッサが・・・」
ドイツ&イタリア旅行2019 ハプニングシリーズ 6の前に…「ボローニャでの一日」
ドイツ&イタリア旅行2019 ハプニングシリーズ 7(最終回)「帰宅後に発覚した事件」
ベルリン町中探訪 2015
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