2月13日(土)Cl:東紗衣/Vc:山口徳花/Pf:守重結加
ベートーヴェン生誕250年
Lieber Ludwig〜ルートヴィヒへの手紙〜
ムジカーザ(代々木上原)
【曲目】
1.ベートーヴェン/クラリネットとチェロ(ファゴット)のための二重奏曲第3番変ロ長調 WoO.27
2.ベートーヴェン/「わが心はもはやうつろなりて」の主題による6つの変奏曲ト長調 WoO.70
3.ベートーヴェン/ピアノ三重奏曲 第4番「街の歌」 Op.11 変ロ長調
4.ベートーヴェン/三重奏曲第8番変ホ長調 Op.38(七重奏曲Op.20の作曲者編曲版)
同時期にドイツに留学していた3人の若手演奏家3人によるベートーヴェン生誕250年の記念コンサートが、昨年5月から延期となり実現した。アニヴァーサリーイヤーから年は改まったが、記念の誕生日からはまだ2か月足らず。ベートーヴェンイヤーはまだ続いていい。
そんな記念の演奏会でまたベートーヴェンとの新たな出会いがあった。作品番号のない曲が2つあったが、これらの作品群に名曲が隠れていることが多い。3人のアーティストは、”Lieber Ludwig”(親愛なるルートヴィヒ)と題してそれぞれが手書きでしたためた手紙を演奏会のウェブ上で公開し、ベートーヴェンへの親しみと敬愛を込めて演奏会に臨んだ。初期の作品が中心で、全ての曲に陽気なヴァリエーションが入り、しかめっ面とは異なるベートーヴェンの横顔に光が当たった。
最初のクラリネットとチェロによるデュオは、両者がテーマと装飾の役割を交替しながら軽快に進む。1つの変奏のなかでの役割の交替もある動きと変化に富む作品を、東さんと山口さんが自然な対話を楽しむように聴かせてくれた。多彩なヴァリエーションがとりわけ楽しかった。
次のピアノソロもヴァリエーション。様々な表情で変奏の妙を聴かせる魅力的な作品で、演奏も素敵だった。守重さんのピアノは滋養たっぷりに、ふくよかで、微笑みをたたえて語りかけ、聴き手の心をウキウキさせた。
前半の締めは「街の歌」。出演者全員が揃い、充実のアンサンブルを聴かせた。抑揚の効いた息遣いが楽しげな表情を生き生きと伝えた。守重さんの瑞々しく喜びを湛えたピアノにクラとチェロが呼応。山口さんの伸びやかなチェロは時にスウィングを加えて陽気な踊りの様子を伝え、東さんのクラリネットは、芯があって艶やかな美音と滑らかな呼吸で、細かいフレーズも大きく描いて行く。東さんは以前演奏を聴いたように思って自分の感想を検索したら、2011年の藝祭での演奏について名前を紹介して好印象の感想を書いていた。着実に活躍を広げているのは嬉しい。
プログラム後半は、有名な七重奏曲のトリオ版。ベートーヴェン自身によるアレンジとのこと。7人がときに芸達者ぶりを披露しつつ、多彩な音色の楽器が織り成す楽しみを持つ原曲の魅力が、3人の編成で十分に伝わるかとも思ったが、これが充実したピアノトリオに生まれ変わっていた。トゥッティとソロの対比で3つのパートが役割を交替しつつ、対話と調和を聴かせる。原曲よりも全体が引き締まったイメージで、娯楽性よりも純音楽としての魅力が増しているように感じた。
原曲でヴァイオリンが弾く高い音をアレンジ版のピアノが弾かないのは、ベートーヴェンの時代のピアノにその音域がなかったためだろう。ベートーヴェンはこれをハーモニーの他の構成音に単に置き換えるのではなく、ピアノならではのヴィルトゥオーゾなフレーズに書き換えている。ベートーヴェンが単なるやっつけではなく、新たなピアノトリオとして取り組んだことがわかる。3人の演奏は、こうした純音楽の良さと共に、親密な語りかけや、伸びやかで楽しくウキウキした気分も伝えていた。3人のLudwigへの親愛の情の現れだろう。
チェロの山口さんは、今夜の演奏を最後にドイツに活動拠点を移すという。益々のご活躍を願っています!
(出演者による過去の演奏会の感想)
山口徳花(Vc) Solo Bach Project – Vol.6 2020.12.28 ガルバホール新宿
佐原詩音・會田瑞樹・山口徳花 2020.9.13 ブックハウスカフェ・ひふみ座
Duo Axia (Pf:伏木唯 & Vc:山口徳花)2020.2.19 渋谷ホール
笠井誠一展記念コンサート ~山口徳花&守重結加 デュオ~ 2018.10.7 練馬区立美術館
コロナ禍で演奏会の中止が続く欧米、やっている日本
山口徳花さんの演奏 ~ブログ管理人の作曲のYouTubeチャンネルより~
トリオ「森の詩」(MS:小泉詠子/Vc:山口徳花/Pf:奥村志緒美)
「子守歌」(Vc:山口徳花/Pf:奥村志緒美)
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4.ベートーヴェン/三重奏曲第8番変ホ長調 Op.38(七重奏曲Op.20の作曲者編曲版)
同時期にドイツに留学していた3人の若手演奏家3人によるベートーヴェン生誕250年の記念コンサートが、昨年5月から延期となり実現した。アニヴァーサリーイヤーから年は改まったが、記念の誕生日からはまだ2か月足らず。ベートーヴェンイヤーはまだ続いていい。
そんな記念の演奏会でまたベートーヴェンとの新たな出会いがあった。作品番号のない曲が2つあったが、これらの作品群に名曲が隠れていることが多い。3人のアーティストは、”Lieber Ludwig”(親愛なるルートヴィヒ)と題してそれぞれが手書きでしたためた手紙を演奏会のウェブ上で公開し、ベートーヴェンへの親しみと敬愛を込めて演奏会に臨んだ。初期の作品が中心で、全ての曲に陽気なヴァリエーションが入り、しかめっ面とは異なるベートーヴェンの横顔に光が当たった。
最初のクラリネットとチェロによるデュオは、両者がテーマと装飾の役割を交替しながら軽快に進む。1つの変奏のなかでの役割の交替もある動きと変化に富む作品を、東さんと山口さんが自然な対話を楽しむように聴かせてくれた。多彩なヴァリエーションがとりわけ楽しかった。
次のピアノソロもヴァリエーション。様々な表情で変奏の妙を聴かせる魅力的な作品で、演奏も素敵だった。守重さんのピアノは滋養たっぷりに、ふくよかで、微笑みをたたえて語りかけ、聴き手の心をウキウキさせた。
前半の締めは「街の歌」。出演者全員が揃い、充実のアンサンブルを聴かせた。抑揚の効いた息遣いが楽しげな表情を生き生きと伝えた。守重さんの瑞々しく喜びを湛えたピアノにクラとチェロが呼応。山口さんの伸びやかなチェロは時にスウィングを加えて陽気な踊りの様子を伝え、東さんのクラリネットは、芯があって艶やかな美音と滑らかな呼吸で、細かいフレーズも大きく描いて行く。東さんは以前演奏を聴いたように思って自分の感想を検索したら、2011年の藝祭での演奏について名前を紹介して好印象の感想を書いていた。着実に活躍を広げているのは嬉しい。
プログラム後半は、有名な七重奏曲のトリオ版。ベートーヴェン自身によるアレンジとのこと。7人がときに芸達者ぶりを披露しつつ、多彩な音色の楽器が織り成す楽しみを持つ原曲の魅力が、3人の編成で十分に伝わるかとも思ったが、これが充実したピアノトリオに生まれ変わっていた。トゥッティとソロの対比で3つのパートが役割を交替しつつ、対話と調和を聴かせる。原曲よりも全体が引き締まったイメージで、娯楽性よりも純音楽としての魅力が増しているように感じた。
原曲でヴァイオリンが弾く高い音をアレンジ版のピアノが弾かないのは、ベートーヴェンの時代のピアノにその音域がなかったためだろう。ベートーヴェンはこれをハーモニーの他の構成音に単に置き換えるのではなく、ピアノならではのヴィルトゥオーゾなフレーズに書き換えている。ベートーヴェンが単なるやっつけではなく、新たなピアノトリオとして取り組んだことがわかる。3人の演奏は、こうした純音楽の良さと共に、親密な語りかけや、伸びやかで楽しくウキウキした気分も伝えていた。3人のLudwigへの親愛の情の現れだろう。
チェロの山口さんは、今夜の演奏を最後にドイツに活動拠点を移すという。益々のご活躍を願っています!
(出演者による過去の演奏会の感想)
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Duo Axia (Pf:伏木唯 & Vc:山口徳花)2020.2.19 渋谷ホール
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「子守歌」(Vc:山口徳花/Pf:奥村志緒美)
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