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小林美樹 ヴァイオリン・リサイタル

2021年06月11日 |  pocknのコンサート感想録2021
6月9日(水)Vn:小林美樹/Pf:小林有沙
東京文化会館小ホール


【曲目】
1.ブラームス/ヴァイオリン・ソナタ第1番ト長調 Op.78「雨の歌」
2.     /ヴァイオリン・ソナタ第2番イ長調 Op.100
3.     /ヴァイオリン・ソナタ第3番ニ短調 Op.108
【アンコール】
♪ ブラームス/歌の調べのように

ヴァイオリニストの小林美樹は、音楽通の音楽仲間がずっと絶賛していて一度聴いてみたいと思っていたところ、ブラームスのソナタ全曲を東京文化会館小ホールで聴ける理想的なリサイタルを、3日前に見つけた。ピアノの有沙さんはお姉さんということで、姉妹によるデュオを聴いた。

小林のヴァイオリンは冒頭から音をたっぷりと保ち、朗々と歌い始めた。深いところに沈殿した粘っこい養分を汲み上げるような濃厚なアプローチはリサイタル全体を通して一貫していた。有沙さんのピアノが大きな波のうねりを作って、そこにヴァイオリンの美樹さんが骨太で男性的な歌を果敢に乗せ、更に有沙さんが大きな風を送って煽るといった相乗効果がパワーを高める。視覚的に例えれば、絵具をたっぷり使った荒々しい大海原を描いた油彩画を観ているようで、演奏からはダイナミックなムーブマンが伝わってくる。

低音ではヴィオラのような太くて渋い音をズーンと響かせ、音楽の重心を低くコントロールしている。聴かせどころでは、指板を押さえる指の移動を巧みに使ってこぶしを効かせるようにも聴こえるやり方は、往年の大家の演奏を思わせる。また、一度発せられた音が更に勢いを得て表情を変えながらうごめく様子は、ドクドクとした血流のような生命力を感じさせた。その歌は時にイタリアオペラのアリアのように情熱的だ。第3番のフィナーレの終盤は、怒濤のようなアグレッシブな攻めの演奏で聴き手を圧倒した。客席にいた小泉さんも「感動した!」と言っていたのではないだろうか。

熱くて濃い、スケールの大きなブラームスだったが、例えば「雨の歌」の3楽章なんか、もう少し哀愁帯びた陰影が欲しいし、2番のソナタは淡い色彩や香りがそこはかとなく漂ってきて欲しいとも思った。そんな濃厚なブラームスを3曲聴いてお腹いっぱいのところで出てきたデザートのアンコールは、これまた甘さたっぷりのティラミスといったところ。でも美味しくてペロリと食べてしまった。美樹さんに優しくて熱いハートで思いっきりハグされた気分で、これが自分には一番しっくり来たかな。

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