5月18日(土)小林研一郎 指揮 日本フィルハーモニー交響楽団
~コバケン・ワールドVol.4~
サントリーホール
【曲目】
1.ドヴォルザーク/チェロ協奏曲ロ短調Op.104
【アンコール】
鳥の歌
Vc:堤 剛
2.ドヴォルザーク/交響曲第8番ト長調Op.88
【アンコール】
ドヴォルザーク/ユモレスク
去年、コバケンが出演する映画「天心の譜」を観て、またコバケンさんのコンサートを聴きたくなった。去年から始まった「コバケンワールド」のシリーズは、コバケンの実力がフルに発揮されそうな曲目が並ぶ。前のvol.3のチケットを取ろうと思ったら既に完売。その後、今回の分をネットで予約しようとしたらこちらも売り切れ。日フィルに電話して、僅かに残っていたチケットを、奥さんの分と2枚ゲットした。
「コバケンワールド」は人気シリーズのようで、実際今日もほぼ満席。満員のお客の大きな拍手に迎えられて、コバケンさんと堤さんが登場。気合いの入ったオケの前奏に導かれて始まったチェロが、くっきりと深いラインを描く。堤さんのチェロは、いつもながら迷うことなくまっすぐに聴き手に向かってくる。芯のあるカキッとした音はとても艶やかで、明快な口調で語りかけてくる。この「語り」も、堤さんのチェロの魅力のひとつ。含蓄ある賢者の趣があって語る中味も魅力的。老若男女誰の心も捉えてしまう説得力がある。コバケン/日フィルのエネルギッシュで輝かしいオケとの理想的な共演で、素敵なドボコンが聴けた。アンコールの「鳥の歌」は、感傷に浸りすぎず、覚醒した目が一点を見つめ、先月亡くなった堤さんの師匠、シュタルケルの姿が重なった。
プログラム後半はドボ8。これはコバケン節全開の熱演!「炎のコバケン」と言われ続けているコバケンも、もう齢73になったが、若々しい熱気と勢いはいささかも衰えることはない。コバケンの棒から引き出される日フィルの演奏は第1楽章からエネルギーに溢れていて、輝きのある響きも素晴らしい。とりわけ、第2楽章後半の決然とした潔さが、強く心を掴んできた。フィナーレの、重量感がありながら思いっきり躍動するフットワークの良さもコバケンさんの面目如実たるところ。聴いていてグイグイと演奏に引き込まれていく。
第3楽章や、第4楽章の後半に現れる叙情的なフレーズのた~っぷりと深~い、濃厚で匂やかな歌もコバケンならでは。でも時として、音楽の持つ物理的に可能なテンポを越えてゆっくり演奏しているように感じることがあった。それに、第4楽章の歌わせるところで、弦がポルタメントを効かせていたようにも聴こえたが、ここまでやらなくても、この音楽は十分色気を出せるのでは?
コバケンさんのこの匂やかな歌心は、アンコールで更にロマンチック度を増して、悠久の世界を逍遙した。アンコールピースとしてならこのテンポや「歌」もありかな。コバケンさんの棒でたっぷりとセクシーに歌ったオケの演奏もよかったが、その前にコバケンさんのMCで促されて曲の触りだけ弾いたコンマスの扇谷さんのふくよかで滑らかでなヴァイオリンソロも素晴らしかった。
~コバケン・ワールドVol.4~
サントリーホール
【曲目】
1.ドヴォルザーク/チェロ協奏曲ロ短調Op.104
【アンコール】
鳥の歌
Vc:堤 剛
2.ドヴォルザーク/交響曲第8番ト長調Op.88
【アンコール】
ドヴォルザーク/ユモレスク
去年、コバケンが出演する映画「天心の譜」を観て、またコバケンさんのコンサートを聴きたくなった。去年から始まった「コバケンワールド」のシリーズは、コバケンの実力がフルに発揮されそうな曲目が並ぶ。前のvol.3のチケットを取ろうと思ったら既に完売。その後、今回の分をネットで予約しようとしたらこちらも売り切れ。日フィルに電話して、僅かに残っていたチケットを、奥さんの分と2枚ゲットした。
「コバケンワールド」は人気シリーズのようで、実際今日もほぼ満席。満員のお客の大きな拍手に迎えられて、コバケンさんと堤さんが登場。気合いの入ったオケの前奏に導かれて始まったチェロが、くっきりと深いラインを描く。堤さんのチェロは、いつもながら迷うことなくまっすぐに聴き手に向かってくる。芯のあるカキッとした音はとても艶やかで、明快な口調で語りかけてくる。この「語り」も、堤さんのチェロの魅力のひとつ。含蓄ある賢者の趣があって語る中味も魅力的。老若男女誰の心も捉えてしまう説得力がある。コバケン/日フィルのエネルギッシュで輝かしいオケとの理想的な共演で、素敵なドボコンが聴けた。アンコールの「鳥の歌」は、感傷に浸りすぎず、覚醒した目が一点を見つめ、先月亡くなった堤さんの師匠、シュタルケルの姿が重なった。
プログラム後半はドボ8。これはコバケン節全開の熱演!「炎のコバケン」と言われ続けているコバケンも、もう齢73になったが、若々しい熱気と勢いはいささかも衰えることはない。コバケンの棒から引き出される日フィルの演奏は第1楽章からエネルギーに溢れていて、輝きのある響きも素晴らしい。とりわけ、第2楽章後半の決然とした潔さが、強く心を掴んできた。フィナーレの、重量感がありながら思いっきり躍動するフットワークの良さもコバケンさんの面目如実たるところ。聴いていてグイグイと演奏に引き込まれていく。
第3楽章や、第4楽章の後半に現れる叙情的なフレーズのた~っぷりと深~い、濃厚で匂やかな歌もコバケンならでは。でも時として、音楽の持つ物理的に可能なテンポを越えてゆっくり演奏しているように感じることがあった。それに、第4楽章の歌わせるところで、弦がポルタメントを効かせていたようにも聴こえたが、ここまでやらなくても、この音楽は十分色気を出せるのでは?
コバケンさんのこの匂やかな歌心は、アンコールで更にロマンチック度を増して、悠久の世界を逍遙した。アンコールピースとしてならこのテンポや「歌」もありかな。コバケンさんの棒でたっぷりとセクシーに歌ったオケの演奏もよかったが、その前にコバケンさんのMCで促されて曲の触りだけ弾いたコンマスの扇谷さんのふくよかで滑らかでなヴァイオリンソロも素晴らしかった。