10月7日(水)The MOST in JAPAN 2020 東京公演
東京文化会館小ホール
【曲目】
1.モーツァルト/アイネ・クライネ・ナハトムジーク ト長調 K.525
2.バッハ/2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV1043
Vn1:菊地万莉香、中村僚太、田中友梨/Vn2:福田廉之介
3.ドヴォルザーク/森の静けさ
Vc:佐藤晴真
4.チャイコフスキー/ワルツスケルツォ Op.34
Vn:福田廉之介
5.チャイコフスキー/弦楽セレナード ハ長調 Op.48
【アンコール】
♪ L.アンダーソン/プリンク・プランク・プルンク
【弦楽合奏】
Vn:福田廉之介、北田千尋、倉冨亮太、小島燎、小林壱成、周防亮介、竹田樹莉果/Vla:正田響子、田原綾子/Vc:上村文乃、佐藤晴真/Cb:岡本潤
東京文化会館小ホールで弦楽オーケストラによる魅力的なプログラムのコンサートを見つけた。メンバー表のチェロパートには上村文乃さんの名が。上村さんはこれまで室内楽やリサイタルを何度も聴いている注目のチェリスト。上村さんが参加する弦楽オケなら間違いないだろうと出かけた。
”The MOST”とは、Magical Orchestra of Special Talentsの頭文字で、ヴァイオリンの福田さんを中心に国内外で活躍する若手音楽家で構成された室内オーケストラが、クラシック音楽の普及と次世代音楽家の育成を目指すというコンセプトで、今回がその結成記念のツアーとのこと。
メンバーはMOSTの名の通り内外のコンクールやオーケストラで目覚ましい実績のある実力者揃い。更に大きく世界に羽ばたこうとする若いメンバーによる弦楽合奏は、その若さと実力を存分に発揮した。
最初は僕が幼い頃から大好きな「アイネクライネ」。この例えは誤解を招くかもしれないけれど、子供たちが一斉に「ワーッ」と駆け寄ってきて手をつかまれ、広い野原を一緒に笑いながら元気に駆け回るような体験型の演奏。明るく屈託なく遊びまわる子供たちの様子を、ただ眺めているのではなく、その子たちの輪の中に自分も加わり、あちこち走りまわっている気分。アンサンブルの充実ぶりも素晴らしく、艶やかな音色と溌溂とした生気に溢れ、遊び心を感じる歌いまわしやディナミークの変化も楽しい。音楽全体が笑っているような、モーツァルトの「陽」にスポットが当たった演奏だった。
続くバッハのドッペルコンチェルトは、”MOST”が掲げる未来のアーティストを育てるというコンセプトとして、小中高校在学の3人のジュニアたちが、セカンドソロの福田さんと共にそれぞれ1楽章ずつファーストソロを披露。曲はコンチェルトグロッソタイプで華々しいソロを披露する場面は少なく短いので、魅力の一端を垣間見る感じだったが、プロを目指して頑張っているであろう3人は、それぞれに光る個性を聴かせた。菊地さんはくっきり浮き立つ音で果敢なアプローチ、中村さんは繊細でピュアな感性、田中さんは柔らかく香り高い表情が印象的だった。これから大きな花を開くアーティスト達にとっては掛け替えのない体験になったに違いない。
後半はメンバーのソロが入る小品で始まった。ドヴォルザークの「森の静けさ」は佐藤さんの男の色気がムンムン漂う匂やかなチェロの演奏が、森の妖気を呼び覚ますよう。チャイコの「ワルツスケルツォ」は、ウィットに富んだ福田さんの遊び心溢れるヴァイオリンが、ワルツを踊りたくなる気分に誘ってくれた。
最後はチャイコのセレナーデ。これも若さと熱気に溢れていたが、モーツァルトでは無邪気に遊び回っていた子供たちが成長して若者になり、青春を謳歌しているような演奏だった。そこには熱い恋心やうっとりした憧れもあれば、破目を外した大騒ぎもある。若者たちの瑞々しい感性と赤裸々な情熱が一丸となって押し寄せてくるエネルギーと楽しさが弾けた演奏だった。終楽章の終盤ではテンションが最高潮に達し、一気に駆け抜けた。
そんなはしゃぎ気分を残したアンコールでは、小道具が加わったり、楽器をクルリと回転させたり、みんなの楽しそうな表情が手に取るように伝わってきて楽しさを共有した。
これからの音楽界を担い、引っ張って行く若いエネルギーと才能が奏でた楽しい時間はあっという間に過ぎて行った。
Vn:小川響子/Vc:上村文乃/Pf:秋元孝介 ~2017.1.29 尾上邸音楽室~
B→C 上村文乃 チェロリサイタル ~2015.12.15 東京オペラシティリサイタルホール~
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1.モーツァルト/アイネ・クライネ・ナハトムジーク ト長調 K.525
2.バッハ/2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV1043
Vn1:菊地万莉香、中村僚太、田中友梨/Vn2:福田廉之介
3.ドヴォルザーク/森の静けさ
Vc:佐藤晴真
4.チャイコフスキー/ワルツスケルツォ Op.34
Vn:福田廉之介
5.チャイコフスキー/弦楽セレナード ハ長調 Op.48
【アンコール】
♪ L.アンダーソン/プリンク・プランク・プルンク
【弦楽合奏】
Vn:福田廉之介、北田千尋、倉冨亮太、小島燎、小林壱成、周防亮介、竹田樹莉果/Vla:正田響子、田原綾子/Vc:上村文乃、佐藤晴真/Cb:岡本潤
東京文化会館小ホールで弦楽オーケストラによる魅力的なプログラムのコンサートを見つけた。メンバー表のチェロパートには上村文乃さんの名が。上村さんはこれまで室内楽やリサイタルを何度も聴いている注目のチェリスト。上村さんが参加する弦楽オケなら間違いないだろうと出かけた。
”The MOST”とは、Magical Orchestra of Special Talentsの頭文字で、ヴァイオリンの福田さんを中心に国内外で活躍する若手音楽家で構成された室内オーケストラが、クラシック音楽の普及と次世代音楽家の育成を目指すというコンセプトで、今回がその結成記念のツアーとのこと。
メンバーはMOSTの名の通り内外のコンクールやオーケストラで目覚ましい実績のある実力者揃い。更に大きく世界に羽ばたこうとする若いメンバーによる弦楽合奏は、その若さと実力を存分に発揮した。
最初は僕が幼い頃から大好きな「アイネクライネ」。この例えは誤解を招くかもしれないけれど、子供たちが一斉に「ワーッ」と駆け寄ってきて手をつかまれ、広い野原を一緒に笑いながら元気に駆け回るような体験型の演奏。明るく屈託なく遊びまわる子供たちの様子を、ただ眺めているのではなく、その子たちの輪の中に自分も加わり、あちこち走りまわっている気分。アンサンブルの充実ぶりも素晴らしく、艶やかな音色と溌溂とした生気に溢れ、遊び心を感じる歌いまわしやディナミークの変化も楽しい。音楽全体が笑っているような、モーツァルトの「陽」にスポットが当たった演奏だった。
続くバッハのドッペルコンチェルトは、”MOST”が掲げる未来のアーティストを育てるというコンセプトとして、小中高校在学の3人のジュニアたちが、セカンドソロの福田さんと共にそれぞれ1楽章ずつファーストソロを披露。曲はコンチェルトグロッソタイプで華々しいソロを披露する場面は少なく短いので、魅力の一端を垣間見る感じだったが、プロを目指して頑張っているであろう3人は、それぞれに光る個性を聴かせた。菊地さんはくっきり浮き立つ音で果敢なアプローチ、中村さんは繊細でピュアな感性、田中さんは柔らかく香り高い表情が印象的だった。これから大きな花を開くアーティスト達にとっては掛け替えのない体験になったに違いない。
後半はメンバーのソロが入る小品で始まった。ドヴォルザークの「森の静けさ」は佐藤さんの男の色気がムンムン漂う匂やかなチェロの演奏が、森の妖気を呼び覚ますよう。チャイコの「ワルツスケルツォ」は、ウィットに富んだ福田さんの遊び心溢れるヴァイオリンが、ワルツを踊りたくなる気分に誘ってくれた。
最後はチャイコのセレナーデ。これも若さと熱気に溢れていたが、モーツァルトでは無邪気に遊び回っていた子供たちが成長して若者になり、青春を謳歌しているような演奏だった。そこには熱い恋心やうっとりした憧れもあれば、破目を外した大騒ぎもある。若者たちの瑞々しい感性と赤裸々な情熱が一丸となって押し寄せてくるエネルギーと楽しさが弾けた演奏だった。終楽章の終盤ではテンションが最高潮に達し、一気に駆け抜けた。
そんなはしゃぎ気分を残したアンコールでは、小道具が加わったり、楽器をクルリと回転させたり、みんなの楽しそうな表情が手に取るように伝わってきて楽しさを共有した。
これからの音楽界を担い、引っ張って行く若いエネルギーと才能が奏でた楽しい時間はあっという間に過ぎて行った。
Vn:小川響子/Vc:上村文乃/Pf:秋元孝介 ~2017.1.29 尾上邸音楽室~
B→C 上村文乃 チェロリサイタル ~2015.12.15 東京オペラシティリサイタルホール~
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